二人だけの国
『瞬間的シックスセンス』
2019年2月に早くも2枚目のフルアルバムをリリースします。
育った環境と先天的な男臭さからくる、「ギスギス」「ギトギト」のイメージ。
そこからさらに脱皮した、あいみょんがアルバムに顕れているのです。
今回その中でもシックスセンスと響きあう、「二人だけの国」に焦点をあて歌詞の意味を考察します。
本人も発売当初「アルバムで鍵になる曲」とインタビューで語っています。
なぜお経を唱えるのか?二人だけの国が象徴するものとは、一体何を示しているのか?
読解不可避な歌詞を、独自の解釈で掘り下げていきます。
シンプルなラブソング?
あいみょんの歌詞は、いつもどこか「ジュブナイル」や「モラトリアム」を対象としているのでは?
それを想像させる作品に定まっているような気がします。
このタイトルだけを見ると、単純にラブソング?国民的アイドルグループが歌うような...?
まさか、そんなはずはありません。あいみょんですから。
「二人だけの国」は映画、『失楽園』からインスパイアされて制作した楽曲です。
イントロから仏教用語を繰り返し、不可思議でかつ複雑な歌詞から始まり展開されていくのです。
中盤からラストにかけては五感を刺激し、艶かしく婀娜な内容になっています。
まさしく「あいみょん」そのもののイメージでしょう。
安定の「あいみょんらしさ」を否応なしにこれでもかと、魅せつけてくれます。
ナンマイダ
運命共同体同士
ナンマイダ ナンマイダ
現実逃避の最終回
ナンマイダ ナンマイダ
的確計画根拠はなく
ナンマイダ ナンマイダ
有言実行あしからず
ナンマイダ ナンマイダ
出典: 二人だけの国/作詞:あいみょん 作曲:あいみょん
「ナンマイダ」とどのつまり、お経の南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)のことです。
では、なぜお経を唱えるのか?
なぜお経?
イントロからフラットな4ビートで、曲を展開していきます。
「ナンマイダ、ナンマイダ」と、J-POPではあまり耳にすることのない言葉で始まるのです。
目の前で木魚を打ち、読経するお坊さんが頭に浮かびますよね。
怠惰で単調な、飽きのくる歌詞とメロディが連なります。
ここでいう、「ナンマイダ」は意味として為さずあまり重要ではない気がするのです。
『失楽園』に影響を受けたあいみょんが、衝動的に浮かんだ言葉でしょう。
ですが、その読解不可避の歌詞にはその先の見えない何かが潜んでいるように思えてなりません。
デビューシングルの、「貴方解剖純愛歌 〜死ね〜」を永らえるかのごとく惹きつけ、なお魅せつけてくるのです。
発表当初、激しい歌詞がメディア全般に拒絶され、しばらく放送を見送られたアノ曲を思い出します。
少々オカルト感があり、歌詞こそ違いますが「あいみょんらしさ」が同等もしくはそれ以上に感じられました。
あいみょんが表現する、「ナンマイダ」については、全てを踏まえたうえで後半に詳細を解説いたします。
絡みつく歌詞 言葉
「ナンマイダ」へ絡みつく歌詞が、尋常ではないくらい際だっているのです。
4つのキーワードが、どこか韻をふんでいるようにも聴こえてしまいます。
言葉を羅列したのではなく、このプロセスを経て次へ進化させていこうとも聴こえるのです。
ただ言葉を並べているように聴こえますが、歌詞の羅列どうこうではありません。
むしろ、各キーワードこそがこの曲の本質なのだと解釈しました。
起承転結かのごとく、4つのキーワードをご覧ください。
運命共同体同士
運命共同体とは、生死を共にする間柄のことを言います。
ここでいう、「運命共同体同士」とは?
運命共同体のみで成立するはずなのに、何ゆえあえて同士を付け足す必要があるのか?
二人で生きていくと決めた者同士、どんな困難や不幸も腹をくくり乗り越えましょう。
あたかも、これから二人に困難が待ち構えていることを予測しているとも捉えられます。