『ぶらっくパレード』
『ぶらっくパレード』は、ゲスの極み乙女。の1stミニアルバムに収録されています。
1枚目の作品でありながら、非常に攻撃的とも受け取れる歌詞が描かれた『ぶらっくパレード』。
この楽曲のリリースは、音楽界に衝撃を与えるものでした。
アルバム情報
『ぶらっくパレード』が収録されているのは、「ドレスの脱ぎ方」というミニアルバムです。
このアルバムは、2013年3月6日にリリースされました。
ゲスの極み乙女。がメジャーデビューを果たしたのは2014年。
この『ぶらっくパレード』は、インディーズ時代に作られた楽曲となります。
しかし、この曲からはインディーズの頃の作品とは思えない完成度やクオリティが感じられます。
すでに彼らの世界観がしっかり確立されていることが感じられるのも、この楽曲の魅力です。
この曲からは、彼らが描く世の中や人間の深い闇が感じられます。
『ぶらっくパレード』が描く世界とは
『ぶらっくパレード』は、戦争について描いた歌であると言われています。
この曲の作詞・作曲は、ボーカル兼ギターを務める川谷絵音が担当しました。
彼は長崎県出身で、故郷での悲しい戦争の過去をこの作品に込めたとされています。
実際に歌詞の中には、「キノコ雲」という言葉が出てきます。
これは、過去に長崎に落とされた原子爆弾をそのまま表したものとされているのです。
私はこの歌の歌詞から、実際に過去に起こった戦争のことはもちろん、日常に潜む小さな戦争というものを感じました。
戦争が終わり、日本は平和な国と言われています。
しかし、そんな平和に見える日常の中にも凶器は隠れ、小さな戦争が潜んでいる。
そういった日常を描いているように感じたのです。
歌詞を解釈
ここからは、気になる『ぶらっくパレード』の歌詞をご紹介していきます。
先ほどお話した日常に潜む戦争という視点から、独自に意味を解釈してみました。
そちらも合わせてご紹介していきたいと思います。
1番の歌詞
すれ違ってもアレ怖いから 目をそらしてた みんなそうだろ?
刺し違えてもしょうがないのが 文化だったろ? あれ、違ったか?
出典: ぶらっくパレード/作詞:MC.K 作曲:MC.K
他人に批判されたり、攻撃を受けたりするのが怖いから目をそらしてやり過ごす。
目が合っただけで一方的に傷つけられることも、実際に世の中では起こっています。
少しでも面倒なことに、恐ろしいことに巻き込まれないために、人間は見て見ぬふりをして生きているのです。
私たちにも、見て見ぬふりをしてしまう日常に思い当たることがあると思います。
そもそも文化とは相容れないもの。
それは個人も同じで、1人1人の文化を持って生きている人間同士も、完全に分かり合うことはできないのです。
それでも歩み寄るのが大切という風潮。無理に近寄ることで起こる摩擦。
そもそも文化とは刺し違えてしまうものなのに、それすら見て見ぬふりをして正義を主張する。
そんな世の中を描いているように、私は感じました。
現代に潜む闇
まだ寝てんのか、もう時間だろ? 晒し合いならみんなやってる
無意識なんだお前らのアレ さっきとっくに誰か刺したぞ
出典: ぶらっくパレード/作詞:MC.K 作曲:MC.K
急激に発達したネット社会。そこにも潜む戦争。
悪者を晒し上げ、自分が悪いと思うものを晒し上げ、自分が気に入らないものを晒し上げる。
そして、それを頭ごなしに批判し、否定する人々。
ネットの世界でのそういった攻撃は、ある種無差別的なものです。
無差別に、気の合うもの同士で弱者を徹底的に攻撃する。
その光景は、まさにまるでネットの世界で繰り広げられる戦争のようではないでしょうか。
平和ボケをして、安心しきって眠っている。
その間にも、もしかしたらあなたの個人情報が晒され、攻撃の対象となっているかもしれないのです。
埋もれていく言葉
ああ言うならこう言うのがしきたりとかほざいてるから
最後まで気付かないふりするの上手くなっただけだよ
どうやら彼らのせいでさキノコ雲が上がったようだ
なんとなくなんとなくなんとなく悲しい
出典: ぶらっくパレード/作詞:MC.K 作曲:MC.K