大きなうねりの中で
例えばライブ・エイドでの見事なパフォーマンス。
グルーヴの発生源であるバンドは、演奏していてとても気持ち良いものだったでしょう。
しかしグルーヴはバンドに限らず、場内の観客、さらには中継を観ていた人々も巻き込みました。
コールアンドレスポンス、合唱、手拍子により、グルーヴはさらに高まります。
世界中を巻き込んだ大きなうねりを生み出す中心にあること。
それは、味わった者にしかわからない、震えるような体験であったに違いありません。
そんなことを成し得るのは、このバンド以外にない。
そう実感したからこそ、待った時間が報われた時、まるで魔法が働いたかのように感じたのです。
クイーンが生み出す魔法
そう考えると、聴衆にとっての「魔法のようなもの」は、彼らの音楽でもあったのです。
音楽で心が一つになる。
そんなフレーズは、言葉だけでは胡散臭く響きます。
しかし彼らは「一つになろう!」などと強く呼びかけたわけではありません。
音楽とパフォーマンスの力で、大勢の人の心を掴み、一つに"した"のです。
それほど強い力であったからこそ「魔法」という人智を超えたものに例えられるのも納得ですね。
魔法使いのそれから
生きてこそ掴めるもの
No mortal man can win this day
出典: A Kind of Magic/作詞:Roger Taylor 作曲:Roger Taylor
「生きてなきゃその日は掴めないぜ
それは魔法のようなもの」
一行目は直訳すると「死にかけの人間は誰一人その日を勝ち取れない」。
ここで語られる"生死"は精神的なもののことでしょう。
目標に向かいたい、その気持ちがなければ、魔法ははたらきません。
気持ちが「生きて」いるからこそ、目標に向かっていけるのです。
しかし、このアルバム以降のバンドの足跡を思うと、本来の"生死"を示唆しているようにも聴こえます。
生き続ける魔法
病を抱えていたフレディは、体調の許す限り楽曲制作に参加し続けました。
フレディを失った後、他の二人にクイーンとしてのアルバム制作を呼びかけたのは、他でもないロジャーでした。
バンドを生き続けさせるために、「魔法のような」力を働かせ続けるために。
バンドを動かし続けることを選択したのです。
その気概は並大抵のものではなかったでしょう。
けれどそれを成し遂げられたのは、彼自身が「魔法のようなもの」の力を信じていたからに違いありません。
音楽を続け、その火を絶やさずにいる。
そうすれば「魔法のようなもの」の中で、かつて一つになった"俺たち"も、生き続けることができる。
彼が求め続けているのは、待った分と同じだけ、またはそれ以上の「魔法のような」時間なのかもしれません。
そんな「魔法」の続きを示唆するかのように、この曲のフレディの歌声が加えられた別の曲があります。
合わせて聴いてみると、また違った響き方が発見できるでしょう。
QUEEN【I Was Born To Love You】歌詞を和訳&意味解釈!伝えたい愛の深さとは - 音楽メディアOTOKAKE(オトカケ)
映画「ボヘミアン・ラプソディ」で再び脚光を浴びたクイーン。特に日本で人気が高いこの曲の歌詞を和訳しながら、込められた意味と魅力について考えてみましょう。
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