「契り」が意味する楽曲に込められた想いと真意とは
独特な表現で織りなす詞が印象的で、一度聴けば決して単純ではないことが理解できる楽曲です。
今回は様々な角度から意味や真意が読みとれる、「契り」をご紹介いたします。
五木ひろしといえば真っ先に思い浮かぶ楽曲として、ご存知の方も多いのではないでしょうか?
作詞は、数々の名作を世に遺した阿久悠氏。
2人は「契り」で初めてパートナーを組んだ作品なのです。
歌謡界において並外れた歌唱力で地位を築きあげてきた、五木ひろし。
作曲でも非凡なる才能を発揮していることに驚きです。
高音域や幅広い音階で歌いあげるのも納得してしまいます。
「契り」とは聴く人により解釈が変化する楽曲?!
「契り」は1982年7月にリリースされています。
とあるインタビューで、「詞があまりにも素晴らしいため作曲に苦労した」と語っているのです。
それほど阿久悠氏の作詞は、楽曲に込められた想いが深いのだということがうかがえます。
では、聴く人によって歌詞の捉え方が変わる「契り」の真意とは?一体何を意味しているのでしょうか。
1982年8月に公開、第二次世界大戦を背景にした戦争映画「大日本帝国」の主題歌に採用されています。
昨今、結婚式などお祝いの場で歌われることが多いため意外に思った方が大半でしょう。
「契り」という言葉は、濃密で重たい表現ですのでやはり戦争をテーマにした楽曲だと言わざるを得ません。
五木ひろしの代名詞「右手こぶし」...?

最初に所属した事務所の関係でボクシングの経験があるという、五木ひろし。
当時得た経験によりグッと握る右手こぶしは、リズムをとるためでもあるそうです。
まずは何の先入観もなくお聴きになってください。
歌詞解釈をお読みいただいたあと、あなたがもつ「契り」へのイメージが大きく変化するでしょう。
今のご時世だからこそ絶対に聴くべき「契り」を余すところなく紐解きます
濃密で重たい言葉
あなたは誰と契りますか
永遠の心を結びますか
出典: 契り/作詞:阿久悠 作曲:五木ひろし
イントロからインパクトのある言葉が耳に飛び込んできます。
「契り」という現代ではあまり耳にすることのないフレーズで、楽曲は展開していくのです。
ともすれば、私たちには乱暴で時に荒々しくも聞こえたりする言葉ではありませんか?
ドラマや映画などで飛び交うイメージは義理と人情、仁義や任侠の世界観を想像させるのです。
契りとは、大まかに分けて2つを意味します。
「約束」、「男女の関係」(婚姻関係を含む)、お互いが決して裏切ることのない誓約を結ぶことです。
楽曲でいう契りとは、その誓約を誰とどう結ぶのかが大事だといっているのでしょう。
契りを結ぶかたちとは、現世であろうが来世であろうとも結ぶことこそが大切だと伝えているのです。
とどかない嘆き...
波のうねりが岸にとどく
過去の歌をのせて
激しい想いが砕ける 涙のように
出典: 契り/作詞:阿久悠 作曲:五木ひろし
主人公のやるせない悲痛な想いを物語り、誰かに訴えかけているような歌詞が続きます。
波のうねりとは、自身の心の叫びを表現しているのでしょう。
心の奥底から自然と滲み出る、どうしようもない葛藤がうかがえます。
悲鳴ともとれる主人公の想い。
とどくはずのない誰かが待つ向こう側へ、届いてくれと祈っているのでしょう。
いつか皆で聴いた歌を想い起こし、楽しかった頃を慈しんでいるのです。
もう一度あの頃に戻りたい。なぜ今自分はここに居るのか?
どこにぶつけてよいのか分からない苛立ち。
ことごとく目の前にある現実という壁が立ちはだかるのです。
しかし、現実と直面する主人公。
どんなにあがいても、自分の意志ではどうしても抜け出せないことに気づかされます。
想いが激しければ激しいほど、それはもろく儚い涙へと変わっていくようだと。