出会ってから付き合うまでのあの感じ
「ふぇのたす」の解散を経てボーカル「みこ」が新たにMICOとしてソロプロジェクトSHE IS SUMMERを始動したのは2016年。
この「出会ってから付き合うまでのあの感じ」は、翌年の2017年6月にリリースされます。
ミニアルバム「Swimming in the Love E.P.」の1曲目としてのリリースでしたが発売の3日前にYouTubeでMVが配信されました。
もっと遡るとライブでは2月ごろから披露されているようですので、イチオシのリードトラックということですね。
作詞はMICOとヤマモトショウの元ふぇのたすコンビで、作曲は釣俊輔。
この組み合わせはどこかデジャブと思ったら「とびきりのおしゃれして別れ話を」と同じチームですね。
更に、今回はアレンジャーとしてORESAMAの小島英也が加わって、よりキュートでグルーヴィーな作品に仕上がっています。
オフィスでやりたい放題なMV!
コンセプトは「エクストリーム残業」
午後7時過ぎのオフィスで一人残業しているつまらなそうな表情のMICOが登場します。
そして、突然歌い始めるのですが、結構スリリングなフレーミングやカット割りの映像です。
MICOには殆ど動きのない冒頭のシーンでも、ズームしたり、右に回り込んだカメラで横顔を捉えたりと、カメラはトラックに合わせてダンスしています。
注目したいシーンとしては、一つは1:50頃の「顔コピー」のシーンですね。これは私もやってみたことがあります。
そして、クライマックスは3:19頃にMICOがメガネを外すシーン。
この後、何か憑き物が落ちたように、いや、むしろ憑りつかれたように踊り始めます。
監督の杉山弘樹は、このMVの初期コンセプトを「エクストリーム残業」と呼んでいますが、ここからは、もうノリノリで観ていて非常に爽快です。
そして楽曲が終わることには、時計は7時55分くらいを指しています。
約50分間のエクストリーム残業の間、くるくると変わるMICOの表情や動きなど、見どころが多いMVです。
でも、なるべく残業は早めに切り上げたいものです。
歌詞について
作詞としてクレジットされているのは、MICOとヤマモトショウの2人です。
MICOは元々シンガーソングライターの八雲みことして活動しており、作詞も作曲もします。
しかし、ふぇのたす時代はヤマモトショウ(当時は「山本奨」)がほとんどの作品の作詞と作曲を手掛けていました。
もちろん、SHE IS SUMMERはMICOのソロプロジェクトですので、MICOが一人で作詞をしている楽曲もたくさんありますが、この楽曲は共作となります。
女の子目線の恋の歌で、夏の始まりと共に恋に落ちた二人の関係性について、女の子が要求を突きつけている歌に仕上がっていますので、歌詞を見ていきましょう。
あの気持ちの賞味期限
二人の今の関係性について歌われます。
当たり前に会って、当たり前にキスして、恋人同士としての仲はとても良いようです。
だんだんと馴れ合いに向かっていく途中という話ではありますが、はたで見ているとすごい仲が良いカップルのようです。
その中で本人たちにしかわからない様子が描かれています。
土曜日は あえることが 当たり前になって
不安からの あの気持ちが きえてちょっと寂しいの
一生分のキスの回数 すぐに超えちゃうよ
まだすこし まだもっと
特別でいたい
出典: 出会ってから付き合うまでのあの感じ/作詞:MICO/ヤマモトショウ 作曲:釣俊輔
少しずつ消えることが「寂しい」という「あの気持ち」と「特別でいたい」というのは同じ気持ちのことを指しているのでしょう。
ここは少し面白いのですが、「あの気持ち」が消えかけているのは女の子の方に見えます。
自分の中から気持ちが消えかけているのを「寂しい」と表現しているようです。
一方、続く歌詞では「特別でいたい」と、男子の心の中での話になっています。
女子側と男子側の視点が混ざっている。
あるいは、もう、二人の視点は同じものになっているのでしょう。
「出会ってから付き合うまでのあの感じ」という感じ
楽曲のタイトルにもなっている「出会ってから付き合うまでのあの感じ」というキーフレーズはサビで出てきます。
具体的に言ってどのような感じなのかは歌詞の中でも言及されませんが、なんとなくわかるフレーズです。
ずっと
出会ってから付き合うまでの あの感じでいよう
わかってるふりなんて 100年後もいらない
二人の合図が増えたって 大事なこと言おう
夏の日のはじまりを 季節が変わっても覚えてて
出典: 出会ってから付き合うまでのあの感じ/作詞:MICO/ヤマモトショウ 作曲:釣俊輔
相手の気持ちがわからないからこそ、わかろうとして探る努力をする。
また、自分の気持ちをが伝わらないからこそ、伝えようと言葉にする。
こういう感じを「出会ってから付き合うまでのあの感じ」というフレーズに込めています。
より短く表現するのが困難な「感じ」なんです。
そして、それを100年経っても続けたいということです。