札幌といえば恋、恋といえば札幌
世代によっては、札幌といえば思い浮かぶこの曲。
ご当地ソングの先駆けとして、1972年に誕生しています。
恋の町といえば札幌、札幌といえば恋の町。
今回は石原裕次郎のヒットソング「恋の町札幌」の歌詞について深読みしていきます。
スターが歌う曲
この曲が誕生した時代とはいったいどんな雰囲気だったのでしょうか。
甘いムードで
若者の憧れる代表といわれ、スターとなった石原裕次郎。
この歌を歌った1972年のころは、40歳前でした。
若者の元気さ、無謀さ、まぶしさだけではない大人の魅力が輝いていたころではないでしょうか。
1972年といえば札幌冬季オリンピックが開催された年です。
日本全体が札幌の町に興味を持っていたころにこの歌が生まれました。
戦後の高度成長期の終わりにあたるこの時期は旅行に出る人も多くなり出した時代でしょう。
札幌は訪れてみたい憧れの地のひとつだったのではないでしょうか。
注目を浴びた北の町を舞台にした恋物語を成熟した石原裕次郎が歌う。
その世界を覗いてみます。
恋の始まり
時計台の 下で逢って
私の恋は はじまりました
だまってあなたに ついてくだけで
私はとても 幸せだった
夢のような 恋のはじめ
忘れはしない 恋の町札幌
出典: 恋の町札幌/作詞:浜口庫之助 作曲:浜口庫之助
札幌の観光名所のひとつ「時計台」。
主人公と恋人の恋物語はそこからスタートしたようです。
めぐり逢い
恋人になった人、恋人だった人と初めてデートをした日のことは忘れられないものです。
初デートであっても、その後進展がなかったお相手の場合であれば、現金なもので記憶は薄れるもの。
好きだった人、後に好きになった人と初めて待ち合わせをしたときの緊張はいつまでも色あせることはありません。
札幌時計台といえば言わずと知れた観光地。
札幌の事情と、この時代の背景はわかりません。
しかしながら、有名な場所を待ち合わせ場所にするならお相手もしくは主人公が札幌の人ではない。
そんな風にも感じられます。
人が行きかう札幌の時計台の下で、好きな人を待つ主人公。
その胸の高鳴りを想像するとこの歌を聞く者もドキドキしてきます。
一緒の時間がすごせるだけで
ラインやインターネットが普及した現代と違い、1970年代は通信手段が限られていました。
家族と共用の電話や手紙など。
そうやって手を尽くして連絡を取り合いやっとこぎつけたデートは喜びもひとしおでしょう。
静かに前を歩く好きな人の背中を見ながら主人公は、ただドキドキするばかり。
後を追いかけるのが精いっぱいで何もできずに歩いています。
好きな人を目の前にすると話したいと思っていたことも頭から消えてしまうかもしれません。
うまく話すことが出来なかったとしても、ただ一緒にいられるその時間だけで幸せ。
同じ時間を好きな人と共にしていると思うだけで夢見心地であることは想像に難くありません。
恋の始まりの日から時間が経っても、その場所を通る度にそのときの高揚感は蘇るのではないでしょうか。
大人の恋の始まり
はじめて恋を 知った私
やさしい空を 見上げて泣いたの
女になる日 だれかの愛が
見知らぬ夜の 扉を開く
私だけの 心の町
アカシヤも散った 恋の町札幌
出典: 恋の町札幌/作詞:浜口庫之助 作曲:浜口庫之助