自分の弱さと向き合う大作
2020年7月にリリースされた【シンガーソングライター】。
大森さんといえば、公私ともに話題性に富む歌手といえます。
凛として時雨のピエール中野との結婚も記憶に新しいのではないでしょうか。
また、【死神】では日本のモンスターロックバンドメンバーとの共演を果たしています。
嗚咽から魂の叫びまで。
様々な世界観で聴く人を虜にする大森さん。
今作では「弱い自分と向き合う」ことをテーマにしています。
早速、歌詞を見ていきましょう。
幻想的なイントロ
悲しい現実世界
ゆれる やれる 電車もビルもおわりの道具に見えたら
出典: シンガーソングライター/作詞:大森靖子 作曲:大森靖子
まるで夢を見ているかのようなイントロから曲が始まります。
よく聴くと、逆再生したディレイ(エコー)を使っています。
大森靖子が表現したいのは、夢なのか。
それとも夢から覚まされた現実なのか。
現実や悲しい事実と向き合う歌詞となっています。
朝、会社に出勤しようとしたら中央線が止まっている。
見知らぬ人が、向かいのビルの屋上にいる。
そんな状況になった時、どんな想像をするでしょうか。
悲しいですが、恐らく「自殺」の二文字が頭をよぎることでしょう。
典型的な死に方をよくある現実だと受け取ってしまうこと。
それはきっと、当たり前なようで一歩引くと異常に見えます。
自分の中の常識は本当に常識なのか。
歌い出しから考えさせられる一節となっています。
間接的に傷つけている
ぼくも なんか 生きてるだけで 加害者だってわかった
出典: シンガーソングライター/作詞:大森靖子 作曲:大森靖子
飛び降りや電車への飛び込み自殺。
見たことがある方もいらっしゃるかもしれません。
そのせいで電車が大幅に遅延してしまいます。
会社や学校に急いでいて「あぁ、また人身事故か」と思ったことはないですか?
人が一人死んでいるのに。
自分のことだけで精一杯で、些細な軽口で他人を傷つけてしまう。
人と肩がぶつかっても何とも思わない。
このような小さなことの積み重ねが人を自死に追い込んでしまいます。
なのに「またか」と他人事でいられることは異常なんじゃないか。
誰もが優しい世界ならいいのに、そうはなっていない。
厳しい現実を表現しています。
特に、首都圏の方は思い当たるのではないでしょうか。
薄っぺらい嘘はやめて
気休めは気休めにしかかならない
野菜や肉 断面をラップ ポカリで全部治りゃしない
尻拭いをさせられるほうが楽
出典: シンガーソングライター/作詞:大森靖子 作曲:大森靖子
生き死にに、鈍感になっていく人々。
植物や他の生き物を犠牲にして人の生活は成り立っています。
そんな当たり前のことさえ考えることをやめてしまいます。
至高停止中におぼろげに聴こえてくるのは流行り歌。
共感しやすい耳障りの良い音楽をなんとなく聴いてしまいます。
一時期は「流行っているから」という理由で音楽を聴く方もいることでしょう。
ただ、共感しやすい反面薄っぺらい。
心は満たされません。
スポーツドリンクでは、傷を治すことはできない。
それなら、嫌なことでも自分で選んだことをやったほうがいい。
流されている人に対するアンチテーゼとなっています。
異常と感じる私が異常?
もっと 人でなしの感情は心じゃないのか
ミラクル馬鹿者丸腰
出典: シンガーソングライター/作詞:大森靖子 作曲:大森靖子