「DA DA DANCE」と新時代

BABYMETAL【DA DA DANCE (feat. Tak Matsumoto)】歌詞を解説!の画像

2019年4月1日発表、BABYMETALの通算3作目のアルバムMETAL GALAXY」。

このアルバムに収録された「DA DA DANCE (feat. Tak Matsumoto)」についてご紹介しましょう。

楽曲の表記でお分かりいただけるようにB’zの松本孝弘がギターで参加しています。

松本孝弘らしいディストーション・ギターの音色にハッとさせられた人も多いでしょう。

YUIMETAL脱退後の初のアルバムということでリスナーの皆さんは多少の不安を抱えていたはずです。

しかし周囲の心配をよそにバラエティあふれる素晴らしいアルバムを届けてくれました。

もちろん新機軸への挑戦をしたために賛否両論があります。

しかしアルバムのセールスは快調で彼女たちが世界に求められていることがハッキリしました。

楽曲「DA DA DANCE」もBABYMETALにとって新しい挑戦になります。

「FUTURE METAL」というオーバチュアの直後に収録されている楽曲です。

これが未来のメタルの在り方だと力強く宣言するメタル・ダンス・ミュージックになっています。

ここでお気付きになられるでしょうがメタル・ダンス・ミュージックという造語は奇妙です。

ヘヴィメタルのライブでは激しいモッシュがよく見られます。

さらに以前からヘッド・バンギングというメタル・ミュージック固有のノリ方がありました。

しかしここまでダンスに特化したメタル・ミュージックというものは珍しいです。

BABYMETALがメタル・アイドル・ダンス・ユニットというこれまた不思議な存在だからこその醍醐味。

歌詞の中でもSU-METALはダンスフロアに訴えるかのような内容を歌い上げます。

往年のディスコ・ミュージックに固有の言葉も使うのです。

そろそろ実際の歌詞をご覧いただいて未来のメタルの姿を確かめてみましょう

メタルとハウス

かつての大ヒット曲の面影

Dancing Dancing わかってない
Show me Show me ホントのココロ
Get up! Get up! Get up!
レボリューション ワタシ IN DA HOUSE

出典: DA DA DANCE (feat. Tak Matsumoto)/作詞:Kanata Okajima 作曲:Kanata Okajima, MEGMETAL

歌い出しの歌詞になります。

登場人物はワタシひとりで、ひたすら彼女の独白が続く歌詞です。

この歌詞を読んでどこかで聴いた気がすると思われた方も多いでしょう。

1987年に森川由加里がリリースしたシングル「SHOW ME」というダンス・ナンバー。

大ヒット作になった楽曲の歌詞に似ているのです。

ダンス・ナンバーの日本でのヒットシングルということでこの曲にあやかった可能性があります。

しかし元ネタをご存じの方はもう歳を重ねていらっしゃるでしょう。

バブル世代にとっては懐かしい曲であることは間違いありません。

不思議なことにメタル・ミュージックが日本で市民権を得たのもこの頃です。

バブリーなダンス・ナンバーとメタルの融合の際に制作陣は何かの符号を見たのかもしれません。

いずれにせよSU-METALはメタル・ダンスの権化として自らを見てと歌います。

そしてこれこそメタルの革命だと歌い上げるのです。

さらに驚くのは実際のサウンドでしょう。

ハウス・ミュージックとヘヴィメタルを融合させました。

BABYMETALでなければ考えられない音楽がここに誕生したことをワタシは宣言するのです。

鎮魂歌という特別なもの

おとぎ話ばかりじゃ イヤ
とどろけ 愛の
レクイエム!

出典: DA DA DANCE (feat. Tak Matsumoto)/作詞:Kanata Okajima 作曲:Kanata Okajima, MEGMETAL

この奇跡があくまでも現実のもとに行われていると宣言します。

鎮魂歌(レクイエム)という言葉にはドキッとされる方も多いでしょう。

2018年に事故でこの世を去った神バンドギタリスト・藤岡幹大のことを思い出させるからです。

この鎮魂歌にSU-METALはありったけの情熱を捧げると歌うのですから胸が熱くなります。

自分たちが成してゆくことはあくまでも現実を変えてゆく力を持つのだと誓うのです。

心の有り様はまだMETAL RESISTANCEのままなのでしょう。

新章に入ってさらに前進してゆく思いを歌います。

歌は主に人の意識の中に働きかけるものだと思われがちです。

しかし音響という現象は実存そのものを揺らすものであります。

特にダンス・ミュージックはダイレクトに人の体を揺らすのです。

ファンタジーではないのだと強調するのはこうした音楽の実際の在り方に確信があるからでしょう。

特にBABYMETALは身体表現にこだわったユニットなので音楽というものの肉感には敏感です。

身体を揺らすギター

ファンタジーは要らないから

BABYMETAL【DA DA DANCE (feat. Tak Matsumoto)】歌詞を解説!の画像

DA DA DANCE DA DA DANCE
ゆめ まぼろし
DA DA DANCE DA DA DANCE
消えてゆけ

出典: DA DA DANCE (feat. Tak Matsumoto)/作詞:Kanata Okajima 作曲:Kanata Okajima, MEGMETAL

ここでBABYMETALはイリュージョンなど売らないと宣言します。

きちんと実態のあるものだけをあなたに贈りたいと願っているのです。

ヘヴィメタルのザクザクとしたギターによって肉体を裂かれる思いをさせたい。

ちょっと物騒ですがそのくらいに身体性というものに訴えかけます。

アイドルという言葉は偶像という意味のカタカナ英語です。

偶像が約束するものはときに現実感に乏しいものが多いでしょう。

一般的なアイドルが語る夢というものはキラキラしたものでもあります。

しかしBABYMETALはそうしたものを売りにはしないと歌います。

とにかく肉体というものを自覚してギターの音色に合わせて身体を揺らして欲しいと願うのです。

松本孝弘はかつて浜田麻里のバックでギターを弾いていてジャパメタルの世界には馴染みが深い人。

またいまではメタル専門誌がB’zを特集したり表紙にしたりする時代です。

ハードロック・ヘヴィメタルの観念はかつてよりも柔軟になってきています。

BABYMETALもB’zもともにこうした柔軟化に寄与したアーティストです。

踊りこそ彼女たちの原点

BABYMETAL【DA DA DANCE (feat. Tak Matsumoto)】歌詞を解説!の画像

DA DA DANCE DA DA DANCE
譲れないシルエット
DA DA DANCE DA DA DANCE
いざ踊れ!

出典: DA DA DANCE (feat. Tak Matsumoto)/作詞:Kanata Okajima 作曲:Kanata Okajima, MEGMETAL