「愛してる」という言葉だけを告げて、まるで何もないかのように話を終わらせます。

忘れて欲しいという言葉の後に続く「言いたいことは一つもない」という言葉には「言いたいことなんて沢山ある」という意味が含まれていることは想像に難くないですね。

沢山言いたいことがあっても言葉にできないから、何もないかのように何事もなかったかのように振る舞うのです。

いったい何があったのか

物語のはじまり

溶け出した琥珀の色
落ちていく気球と飛ぶカリブー
足のないブロンズと
踊りを踊った閑古鳥

出典: https://twitter.com/lyric_220/status/880779376626769920

カリブーは北アメリカ産のトナカイ、閑古鳥はカッコウです。

空を飛ぶ気球は地面へ、地上を駆るトナカイは空へ。

ちぐはぐな情景の並ぶフレーズは正に天地がひっくり返るような出来事が起きたことを示しているのでしょうか。

足がなくなり立つことの出来なくなったブロンズ像は、その結果を意味しているのでしょう。

閑古鳥をカッコウと書きましたが、さびれた様子を表現する『閑古鳥が鳴く』という慣用句があることを考えると鳴くばかりか踊りを踊るということは、さびれている状況を強調しているとも捉えられます。

忙しなく鳴るニュース
「街から子供が消えていく」
泣いてるようにも歌を歌う
魚が静かに僕を見る

出典: https://twitter.com/yuuuu_qn/status/876589121409503232

天地がひっくり返るような大きな出来事が生じたことで、ニュースが騒がしくなります。

ニュースの中では未来を担う「子供」たちが次々に街を去っていくことも伝えられます。

「街」から出て行くのはもう「街」では暮らせないからでしょうか。

それとも「街」の外に平穏を求めたのかもしれません。

泣いているように歌われる「歌」は祈りの歌か、鎮魂の歌か。

「魚が静かに僕を見る」というフレーズでは「僕」はどうするのだと問われているように感じられます。

どうにもならない心でも あなたと歩いてきたんだ

出典: https://twitter.com/yndz_vivi_bot/status/883893380853268480

問われた「僕」は決断を迫られます。

「あなた」つまりは「ビビ」とこれまで一緒に生きてきた「僕」はどうするのか…、それは歌詞の中に出てきていましたよね。

言葉を吐いて
体に触れて
それでも何も言えない僕だ
愛してるよ、ビビ
愛してるよ、ビビ
さよならだけが僕らの愛だ

出典: https://twitter.com/y_lyrics/status/883225344450240512

「ビビ」に対して語りかけてもその体に触れても、本当に言いたいこと言わなければならないことは何も言えずにいます。

「愛してる」ただその言葉だけを繰り返して、けれどその愛の向かう先に待つのは「さよならだけ」。

抗えない別れが迫っています。

『天地がひっくり返るような出来事』とは?

天地がひっくり返るような出来事が起きたのだろうと解釈の中で書きましたが、2011年の東日本大震災を指していると解釈する人も多いです。

vivi」の収録されたアルバム「diorama」が発売されたのは2012年。

そしてアルバムのジャケットに描かれているのはナマズの上に建つ街です。

日本においてナマズと地震は無関係ではないのです。

地震は大ナマズが地下で活動するからだという民間信仰が日本にはあり、ナマズが暴れると地震が起きるなんていう伝承もあります。

これを考えると、「vivi」と震災がまったくの無関係とは言えないのかもしれません。

「vivi」の意味

イタリア語やフランス語などに接頭語として『vivi-』がありますが、語源はラテン語の『vivus』と思われます。

『生きて』、『命』など生命を意味する言葉です。

別れを告げた愛する相手の名前が「ビビ」なのは、別れたあとも生きて欲しいという願いが込められているのかもしれません。

愛しているよ、ビビ 明日になれば
バイバイしなくちゃいけない僕だ
灰になりそうな まどろむ街を
あなたと共に置いていくのさ

出典: https://twitter.com/miku0127miku39/status/673303529902108672

「灰になりそう」=失われてしまいそう、「まどろむ」=意識の曖昧な様子と捉えると「街」の状況はずいぶんと不安定で生命力が感じられません。

そんな街を「僕」は立ち去るのです、「ビビ」を残して。

生きていけるのかもわからないような街に大切な「ビビ」を残していくのは相当な不安があることでしょう。

それでも生きて欲しい、生き抜いて欲しいという願いがビビ(vivi)という名前に込められているとしたら。

避けられない別れを嘆く歌詞の中で、ほのかな希望をタイトルに残したのかもしれませんね。

まとめ

生きて