米津玄師と別れ

米津玄師の活躍と変わらないもの

米津玄師「vivi」歌詞の意味を紐解くの画像

アルバムが発売されたのは2012年。

そこからの米津玄師の活躍は知らない人はいないでしょう。

2018年にはアニメとのタイアップ「orion」や「ピースサイン」で一気に知名度を上げた米津。

そして2019年には「Lemon」がメガヒットとなり、紅白歌合戦への出場も果たします。

その後リリースされたアルバム「STRAY SHEEP」は初週でミリオンセールスを遂げました。

まさに令和という新しい時代を代表するアーティスト。

新しい日本を象徴するほどのビッグネームへと成長しました。

しかし初期の楽曲、ひいては「ハチ」時代のボカロプロデュース曲の頃から米津の楽曲の中に流れているもの。

初期から現在に至るまで変わらない魅力がそこにはあります。

それは何か。

「幸福」と「悲しみ」の共存。

それこそが米津玄師というアーティストが描き出し続け、多くの人の心を惹きつける魅力です。

愛する人がいて幸福である。

それと同時にいつか訪れる別れや死を見つめている。

そういった死生観ともいえる価値観が、米津玄師楽曲の世界には流れ続けています。

別れと愛は背中合わせ

米津玄師「vivi」歌詞の意味を紐解くの画像

vivi」で描かれた、愛しているからこそ別れを選ぶという物語。

そうした愛と別れが背中合わせに共存しているような世界を米津は描き続けてきました。

アイネクライネ」では、愛しい相手との幸せは常にいつか訪れる別れを孕んでいることを。

大ヒット作となった「Lemon」もまた、深く愛した者との死別を描いていました。

米津にとって愛や幸せは永遠に続くものではない。

必ずその先に別れや死が存在することを見据えているのです。

思えばこれは全ての人にとって言えること。

どんなに大切な人と愛し合い幸せに過ごしたとしても、それは永遠ではありません。

何らかの理由で離れなくてはならなくなることもある。

そうでなくとも、生きている以上必ずどちらかが先に命を終えることになります。

これと同じイメージが「vivi」にも描かれているのではないでしょうか。

先程、ここに描かれていることのモチーフは東日本大震災にあるのではないかという考察を紹介しました。

何故「僕」と「ビビ」は別れなくてはならなかったのか。

何故「僕」は大切な「ビビ」を置いていくことを愛だと呼ぶのか。

「残された者」が「ビビ」=命だとするなら、それを置いていかなくてはならなかった「僕」は命を落とした者なのではないか。

そう考えれば、ここにも米津が描き続けてきた愛と死の背中合わせが描かれているのかもしれません。

自分が死んでしまったとしても、愛するものには生きて幸せでいてほしい

そんな米津の作品に連綿と続くメッセージが、初期の作品である「vivi」でもまた描かれているのです。

死を以て愛を想う

どんなに幸せに愛し合っていても、いつかは別れが訪れる。

それは悲しくつらいことですが、避けることのできない事実です。

そして米津はこの別れから目を逸らさないからこそ、愛することの尊さをこれほど深く描けるのではないでしょうか。

いつかは終わってしまう時間。

永遠ではない命。

だからこそ今、愛する人と過ごせる時間を大切に過ごしたい。

当たり前のように過ごしてしまう時間を見つめ直し慈しむ想い。

そうした視線が米津の作品の魅力であり、多くの人の心に響くのかもしれません。

2011年以降、日本は多くの災厄に見舞われてきました。

多くの災害や水害による被害、そして2020年の感染症による世界の激変。

永遠に変わらないものなどなく、大切なものはある日突然失われてしまうかもしれない。

だからこそ今そばにいる人を大切に想う

そうした米津の在り方が、日本全体の感情のあり方と重なるのではないでしょうか。

そんな米津の価値観は初期から大切に描かれ続けてきたものであることがわかる一曲。

それがこの「vivi」なのです。

米津玄師の名曲を初期から聴き直そう

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2020年にはサブスクでも楽曲が解禁され、さらに多くの人の耳に届く事となった米津玄師。

ヒットメーカーとなった今だからこそ、初期からの名曲も聴き直したいところです。

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そして子供向けソングとして大ブレイクした一曲「パプリカ」。

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