「ヤだ」はどんな楽曲なの?
今回ご紹介する「ヤだ」は2011年6月1日にリリースされた3枚目のアルバム「素」に収録。
アコースティックギター1本と歌だけの、いわゆる弾き語りスタイルの楽曲なんです。
バンドアレンジの華やかな楽曲が並ぶ中、こういったシンプルなアレンジを入れるなんて挑戦的ですね。
でも、この楽曲はそれまでのサウンドと全然引けをとっていません。
マイナー調の「作ったような可愛い声」で「嫉妬心」を歌い始める冒頭から、非常にインパクトがあります。
迫力のある太い声が阿部真央の魅力だと思っていたのですが、囁くような歌声も美しい。
ところがサビになると、力強いギターの演奏と歌声が炸裂して期待を裏切りません。
地声(話すときの声)と裏声の切り替わりも非常にスムーズです。
吐息の絶妙な混ざり具合や感情をズッシリとのせた表現は、聞きごたえがあるのではないでしょうか。
嫉妬心渦巻く歌詞がリアル
この楽曲の特徴はなんといってもリアルな「嫉妬心」を歌っているところではないでしょうか。
タイトルの「ヤだ」は意中の相手が他の女の子と接する姿に対する感情のことです。
飾らないストレートな表現は多くの人の共感を呼んでいます。
そして通常目を背けがちな「嫉妬心」というネガティブな感情も飾らず表現するのが素晴らしいところ。
アルバムのタイトル「素」にもマッチしていますね。
焼きもちを焼いてしまう女子には共感できる部分の多い歌詞だと思います。
そうでない人も、女心を探ってみたい人も、まずは一緒に歌詞のリアルな意味を紐解いていきましょう!
意中の彼が思いを寄せるあの子
あの子は好きになれない
貴方のことは好きだけど 貴方が好きなあの子は
好きになれないよ 好きになれないよ… むしろヤだ…
出典: ヤだ/作詞:阿部真央 作曲:阿部真央
可愛らしい声から始まるのですが、段々と嫉妬心が出るにつれて消え入りそうになっていきますね…。
切なさが溢れています。
「貴方」の好きな物は自分も好きでいたい。
でも「貴方」が他の人に好意を抱くことはどうしても受け入れられない。
叶わない恋に悶えている様子がうかがえます。
好きな人の視線の先には
周りを気にしながら勇気を出して貴方を盗み見た
そこには周りを気にしながらあの子を見つめる貴方が居た ヤだな
出典: ヤだ/作詞:阿部真央 作曲:阿部真央
好きな人って目で追いたくなってしまうものだと思います。
ラブソングでも頻繁に出てくる描写ですね。
しかし、この曲ではその行為が嫉妬に繋がります。
というのも、意中の彼が別の女の子を同じように目で追っていることに気づいてしまったから。
男性ほど好きな人を目で追うと聞きます。
彼がその女の子に夢中になっているのが伝わりますね。
こんな光景を見たら胸が張り裂けそうです。
そして、演奏にも注目。
美しく安定感のあるアルペジオに「キュッ」「シャッ」というギターの装飾音が加わり非常に美しいです。
声色一つ一つもバリエーションがあって素晴らしいのですが、ギターの技術も高いですね。
なんでなの…?
どんなに離れた場所だって貴方の声は分かるのに
その唇から歌われるようにこぼれるはあの子の名ま(え)
え? 何であの子なの? 何で私じゃないの?
神様何で もっと早く逢わせてくれないの
出典: ヤだ/作詞:阿部真央 作曲:阿部真央
「なまえ」の「え」と、思わずこぼれた「え?」という言葉が重なっているのが印象的。
この部分の声は本当に無意識に出てきた言葉のようなリアル感があります。
意中の彼が例の女の子の名前を呼んでいる。
遠目に見つめる以上に仲良くなっていたのですね…。
最後の行から読み取ると、主人公よりもその女の子の方が彼と出会う時期が早かったようです。
恋愛はタッチの差。
「今だ!」と思ったらすぐに行動しないとチャンスの神様は逃げてしまうと聞きます。
運命のいたずらですね。
むしろヤだ
貴方のことは好きだけど 貴方が好きなあの子は
好きになれないよ 好きになれないよ… むしろヤだ
出典: ヤだ/作詞:阿部真央 作曲:阿部真央