目を逸らさないで もっとちゃんと
今を生きるんだ なんてきっと
ただ 僕が強ければ 変わりたいと思えたら
足りないくらいが ちょうどよくて
逃げ出すくらいしか 能がないんだ
きっと 僕は僕のまま 世界が望む僕になる
出典: 世界はまだ僕を知らない/作詞:不明 作曲:不明
強くなりたい。
そう思うのは、自分の弱さをちゃんと分かっているから。
しかし、自分の弱さを認めることにも勇気がいります。
自分の弱さが表に出そうになる度、現実から逃げ出して、居心地の良い場所を探す日々。
「僕」は満たされない心と同時に、何かを追い求める気持ちも捨てられずにいるのでしょう。
いっそ求めることもやめてしまえたら、満たされないことにも悩まずに済むのに……。
不十分な自分のまま、世間の波に流されて生きていく「僕」。
世界はそんな、人畜無害な存在を望んでいるのかもしれません。
けれど、はたしてそれは「僕」が望む「僕」なのでしょうか?
なりたい自分が分からない
2番では「僕」の抱えている悩みや葛藤が、1番よりも詳細に歌われています。
この先、自分はどう生きていきたいのか。
その答えをいつまでも見つけられないでいることに、「僕」は焦っているのかもしれません。
変わらない方がいい?
いつまでも ここでこうしてたいな
誰にも邪魔されないで 誰の邪魔もしたくないのに
認めてくれなくてもいいんだ
自分のことすら だって 認めてあげられないんだから
出典: 世界はまだ僕を知らない/作詞:不明 作曲:不明
1番のサビで「変わりたい」と歌っていたのに、ここの歌詞では「このままでいたい」と歌っています。
退屈さえ我慢すれば、このまま大きな失敗も挫折もなく、穏やかに過ごしていける。
それでもいいじゃないか。
「僕」の心には、きっとそんな気持ちもあるのでしょう。
そんな自分を誰かに認めてもらえなくてもいい。
自分だって、こんな自分は好きじゃない。だけど……。
「僕」が抱える矛盾や葛藤。
それは僕が失敗を恐れながらも、本当は変わりたいと強く願っているからでしょう。
しかし、失敗に対する恐怖に打ち勝つのは、そう簡単なことではありません。
何者でもない「僕」
そうだ いつだって 僕は"少年A"なんだ
"後悔なんてしたくはない"息を切らして
どこへ向かっていけばいい?
出典: 世界はまだ僕を知らない/作詞:不明 作曲:不明
なりたい自分も分からない「僕」は、名もなき「少年A」。
ここの歌詞には、「僕」の自嘲的な感情が込められています。
何者でもない。しかしそれは、同時に何者にもなれるということなのではないでしょうか?
これから「僕」は、気持ち次第で何でもできるはずです。
だから、後悔しないように生きよう。
そう思ってみても、さて、どこに向かえば良いのやら……。
何者にもなれる。だけど、まだなりたいものがない。
理想を明確に持てていないことも、「僕」が変われないでいる原因の1つなのかもしれません。
これじゃ終われない!
どこに向かえばいいのか、何を目指せばいいのか、まだ分からない。
だけど、このままではいたくない。
2番のサビからは、そんな「僕」の叫びが聞こえてくるようです。
願うままには生きられない
願うまま
生きてみたいさ もっとちゃんと
妬み 羨むくらいなら いっそ
ただ怖がりな僕が 足踏みして泣いてる
繋がれた手 振りほどいて
傷を舐め合って 頑張ったんだねって?
これじゃ 終われない
僕は 僕が 大嫌いだ
出典: 世界はまだ僕を知らない/作詞:不明 作曲:不明
自分の気持ちに素直になって生きていくことができたら、どんなにいいだろう。
誰もが一度はそう思ったことがあるはずです。
しかし、なかなか願うままには生きられないもの。
「僕」も変わりたいという気持ちを持て余すばかりで、未来へと足を踏み出せずにいます。
自分の情けなさに苛立って、傷付いて、同じような悩みを抱えている人と慰め合ったりして……。
こんなことをしている場合じゃないのに。
弱い自分をいつまでも変えようとしない。
「僕」は、そんな自分に嫌気がさしている様子です。
それでもいつかは、「僕」が「僕」を好きになれる日がくるのでしょうか?