1stシングル「水平線は夜動く」収録曲

「GATE」は、2011年にリリースされたcinema staffの1stシングル「水平線は夜動く」の収録曲です。

初めてのシングルとはいえ、今聴いてもcinema staffらしさ」が十二分に出たクールな楽曲になっています。

この時から既に、どのような雰囲気の曲を演奏するかが明確だったのでしょう。

「GATE」はMVも制作されていて、楽曲を演奏するメンバーの姿を観ることができます。

薄暗がりの中で熱唱する彼らの姿は、熱くも少し切なげにも感じられる映像です。

タイトルの「GATE」とは簡単に訳すと「門」「入口」という意味。

その向こうには何があるのでしょうか。

ちなみにシングルの「水平線は夜動く」は、「線」をテーマにしたコンセプト・シングルでした。

「GATE」はこの「線」の中のどのような立ち位置なのかも気になるところです。

この曲の歌詞を見てみましょう。

独りぼっち

「GATE」はフルで聴くと5分半ほどあるのですが、歌詞は他の曲と比べるとやや少ないのが特徴です。

しかし、だからといって内容がないというわけではありません。

むしろcinema staffだからこそ表現できる、深い世界観が広がっています。

東京を舞台にした歌詞ですが、この地もまた主人公の心と深いつながりがあるようです。

冬の東京

2月を過ぎた東京にいる
呼吸をすれば目の前塞がる

出典: GATE/作詞:三島想平 作曲:cinema staff

舞台は2月過ぎの東京のようですね。

定住しているのかは分かりませんが、主人公はそこにいることが分かりました。

東京にとっては一番寒い時期になります。

当然景色も寒々しいでしょう。

2行目は「自分の白い息を見て寒がっている通行人」ということかと感じられます。

2月の東京は吐く息が白くなる時期であり、見るからに寒いものです。

誰もが経験する日常風景ですが、これらはどういった意味があるのでしょうか。

青空すら見えない場所

忘れた頃に見つかる青空
ふとした隙も排気ガスで隠れるのさ

出典: GATE/作詞:三島想平 作曲:cinema staff

東京のような大都市は、排気ガスなどで空が霞んでしまうことがあります。

外国などの都市が大気汚染で空が真っ白…というニュースを見たことがある人もいるのではないでしょうか。

シングルが発売された頃は既に環境改善されているので、東京で青空が見えないことはないと思われるのですが…。

ともあれ、主人公はこの排気ガスのように心が曇っていると考えられます。

そのせいか、目の前にある美しい「青空」になかなか気付くことができないのでしょう。

そしてずいぶん経ってからやっと、晴れ渡った空が視界に入ってきたのです。

とはいえ、主人公の心はいつも晴れ渡っているわけではありません。

むしろ曇っている時の方が多く、見通しも悪いようです。

視界が良好でなければ、目の前にある石や落とし穴に気が付きにくくなります。

つまり、主人公の心の中にどこかあった油断という名の「隙」も隠れてしまいました。

赤信号と紡ぐ言葉

信号が赤を指す
うずくまって吐き出すことばの中

出典: GATE/作詞:三島想平 作曲:cinema staff

赤信号は「止まれ」という合図です。

主人公の目の前にそれが立ちはだかりました。

実際に歩いている道で、単純に横断歩道が赤信号になっているから待っているとも読み取れます。

しかし、これはどちらかというと人生という名の道のり赤信号で停滞しているのではないでしょうか。

というのも、2行目の歌詞が前進できない主人公の心を表しているように捉えられるからです。

うずくまっていては歩けません。

そもそも歩く気力すらなさそうです。

その中で、主人公は何か独り言のようなものを呟いていました。

ここまでくるとかなり重症ですね…。

そもそもといえば、どうして主人公の心はそんなに沈んでいるのでしょうか。

根本的な理由を伺ってみたいところです。

別れ