ここではディスコでナンパをした女性といよいよ二人きり。
車の助手席に乗せ、街を疾走している描写が書かれています。
ここで向かっている「Waterfront」とは、東京の湾岸エリアのこと。
湾岸エリアはバブル期になって都市開発区域として造られています。
例えば、当時の大きなディスコであった「ジュリアナ東京」は芝浦にあります。
このような場所は、まさにウォーターフロントブームの代名詞的存在。
バブル期の湾岸エリアは都市開発の勢いが凄まじく、ジュリアナ東京以外にも様々な施設が建設されていました。
ディスコでナンパした女性を車に乗せ、このような区域を眺めながら車を走らせる。
これこそが、当時の男性が目指していた姿なのかもしれません。
勝ち組と負け組
吠え面をかいた floor mens
さあ二人きりさ highway
出典: バブルはよかった/作詞:鬼龍院翔 作曲:鬼龍院翔
曲中では多くの男性の視線を独占していた女性をナンパに成功し、2人きりというストーリーになっています。
つまり、女性に声を掛けられなかった男性が多く存在。
あるいは、女性に声を掛けたけども相手にされなかった人もたくさんいたはず。
歌詞ではその人たちのことを「floor mens(床の男たち)」と呼んでいます。
「floor mens」は状況的に見ても「負け組」と呼ばれる人たち。
自分はそうした負け組とは違い、意中の女性を助手席に乗せているという優越感が見えます。
この部分では自分こそバブル期の中での勝ち組であるという心境を歌っています。
このままどこまでも車を走らせてしまうような高揚感やドキドキ感も、バブル期ならではの情景かもしれません。
当時のお金持ちのステータス:車
繰り返し流れる city light
繰り返し高鳴る my car muffler
飛ばして全てを open car
さあ風の中で永遠に踊ろう
出典: バブルはよかった/作詞:鬼龍院翔 作曲:鬼龍院翔
当時は国民もお金があったので、乗っている車も男性のステータスとなっていました。
特にオープンカーは数ある車の中でも値段が高く、また価値の高い車種。
つまり、オープンカーに乗っている男性はお金持ちということの絶対的証明になるのです。
マフラーから爆音を轟かせながら、喧騒の街並みを走り抜ける開放感。
この開放感は、現代ではすっかり得られなくなりました。
風を感じながら、このひと時を永遠に感じていたいと願う男性の心情が、歌詞から読み取れます。
楽しいと感じられる時代
そう今はこんな時代
誰も彼も毎夜終わらぬparty
出典: バブルはよかった/作詞:鬼龍院翔 作曲:鬼龍院翔
バブル期は、今の現在を生きる人からすれば考えられないような事ばかりが当たり前になっていた時代。
お金は今よりも入ってくるし、毎夜ディスコに赴く人も多数いました。
非常に景気が良かったとされる時代、その全てを味わうことが、バブル期を生きてきた人の価値観といえます。
国民も高揚感や期待感に溢れており、とにかく「この時代は楽しい」という内容が歌詞に詰め込まれています。
現代はプライベートを犠牲にしてまでも働くことが当然のようになりつつあります。
趣味の時間も取れない人も多く、生きがいや目的を失っている人も多数。
そのような人たちから見ると、バブル期はまさに「party」に見えているのかもしれません。
昭和の家にあったもの
終わらない夢
繰り返し流れる drinking bird
繰り返し揺らめく kinetic art
誰にも邪魔されない no smartphone
さあ終わらない夢を見よう
出典: バブルはよかった/作詞:鬼龍院翔 作曲:鬼龍院翔
ドリンキングバードとは、昭和初期からある水を飲む鳥のおもちゃ。
昭和の家庭でよく見ることのできたおもちゃで、バブル期の家庭でも普通にあったものです。
また、キネティックアートも、昭和の家庭にあった美術作品。
動く美術作品のことをキネティックアートと呼び、太陽系をモチーフにしたものが印象的なもの。
この曲は「昭和のバブル期はよかったな」と懐かしむストーリーであるため、このような物をいくつも登場させ、当時の情景を連想させています。
また、歌詞でもあるように、この当時はスマートフォンはありません。
このように、バブル期の家庭の情景も、歌詞の中では描かれています。
女性を家までお持ち帰りできた男性からしてみれば、これからもお楽しみの時間。
誰にも邪魔されずに、ひと時の淡い夢を見たいという心情が感じられます。
当時を懐かしむ理由
Mysteryおいでよ happy age
二人眺めよう flower rock
注がれ溢れる champagne tower
さあ泡に溺れ永遠に眠ろう
出典: バブルはよかった/作詞:鬼龍院翔 作曲:鬼龍院翔