歌詞の意味を紐解く
「恋人ができたんだ」の気になる歌詞の意味について、紐解いていきたいと思います。
新しい恋人ができたはずなのに
恋人ができたんだ
本気で好きと思う子なんだ
君の調子はどう?君の調子はどうだい?
恋人ができたんだ
君には似ても似つかないんだ
君の調子はどう?君の調子はどうだい?
出典: 恋人ができたんだ/作詞:椎木知仁 作曲:椎木知仁
新しい恋人ができたら、すごく幸せで楽しい気持ちになりますよね。
しかし、「恋人ができたんだ」の歌詞は幸せなだけではない、複雑でリアルな男心が描かれています。
当てつけがましいものではなく本気で好きで、昔の恋人とは全くの別のタイプの女性なのです。
今の彼女と元カノである君を比べてしまう、切なくて胸が締め付けられるような楽曲。
「本気で」とあるように、今の彼女のことも大好きなはずなのに。
どうしてか元カノが気になってしまうのです。
その理由について、歌詞を深く紐解いていきましょう。
未来のことだって
恋人ができたんだ
先のことも考えてるんだ
君の調子はどう?
君の調子はどうだい?
恋人ができたんだ
遊園地にも一緒に行ったよ
君の調子はどう?
君の調子はどうだい?
出典: 恋人ができたんだ/作詞:椎木知仁 作曲:椎木知仁
「遊園地にも一緒に行ったよ」という所からも、とても仲が良いことがわかります。
ではなぜ、別れた恋人へ語りかけるような歌詞なのでしょうか。
それは、やはり今でもその恋人がどうしているか気になっているからだと思います。
ひたすらに、元カノの様子が気になる主人公。
誰が見てもその姿は「元カノに未練が残っている男」となるのです。
なんども繰り返されるタイトルの「恋人ができたんだ」というフレーズ。
この言葉は、自分自身に暗示をかけるように繰り返されているのだと感じます。
今の彼女のことを考えると、元カノへの「未練」なんていう気持ちは「いらない」はずだからです。
しかしその「いらない」とは裏腹に、心のどこかで君を探してしまうのでしょう。
そして僕の暗示よりも、君の様子を知るほうがどうしても勝ってしまうのです。
こんな頃もあったよね
別れる と 離れる は
似たようで違うみたいだ
僕らも二人と呼ばれてたね
出典: 恋人ができたんだ/作詞:椎木知仁 作曲:椎木知仁
同じようなニュアンスの言葉ではあっても、実際は別物だったのです。
恋人関係を解消してしまう言葉と、一旦距離を置いて冷静になれる言葉。
この選択を間違えてしまった僕たちは、恋人ではなくなってしまったのでしょう。
3行目にある歌詞で、別れてしまった後悔のようなものを読み取ることができます。
忘れられない昔の恋人
出会ってしまった 通じ合ってしまった
それは消せないけど
奪ってしまった 奪われていった
心を返してもう眠ろう
街ですれ違ったって 思い出したって
話しかけないでね
恋は薄まって でも愛はまだ残っているよ
もう会えないよ
だって 恋人ができたんだ
出典: 恋人ができたんだ/作詞:椎木知仁 作曲:椎木知仁
自分ではどうすることもできない悲しい気持ちを抱えた時に「出会わなければ良かった」と思うことはありますよね。
でも、それは消すことはできないのです。
おそらく、恋人からは別れた後に連絡などないのでしょう。
もしかすると、ひどい別れ方をしたのかもしれません。
そのため「話しかけないでね」という言葉は全く言う必要がないのです。
その後に「でも愛はまだ残っているよ」と、一見すると矛盾する歌詞が続きます。
頭では吹っ切れたつもりでもふとした時に昔の恋人のことを思い出してしまい、新しい恋人ができたからもう会うことはできないと自分に言い聞かせているのではないでしょうか。
恋人への感謝と少しの苛立ち
でももしも君を知らなかったら
今の恋人も好きになってなかったんだろう
顔も歳も話し方も好きな物さえも違う
番号も指輪も下着の場所も写真も
録画していたあのドラマも
もう覚えていなくてもいいのに
出典: 恋人ができたんだ/作詞:椎木知仁 作曲:椎木知仁
昔の恋人とさまざまな出来事があったからこそ、新しい恋人に出会えたという感謝の気持ちが綴られています。
そう思っていたら、昔の恋人の細かい部分まで思い出してしまったのです。
この「下着の場所も」や「録画していたあのドラマも」という現実味あふれる描写は、普通のバンドだったら絶対に入れないと思います。
飾らない生々しい言葉を選び、それを格好良く聴かせるところがMy Hair is Badの魅力の1つです。
この場面からは、主人公の現在の状況が「今は今で幸せなんだ」ということがわかります。
「幸せ」のはずなのだけれど、やっぱり比べてしまう僕の不甲斐なさを読み取ることができるでしょう。
わかりやすく、その人の「人間味」が出る仕草や癖などが、僕の心には焼き付いて離れない。
このような心情が、たくさんの人々の共感を生んでいるのだと感じます。