桜の木の下でまた会おう。時間が経っても色褪せない、人と人を繋ぐ約束の季節。
人と人、夢、希望を歌い続けるシンガーソングライター高橋優。
彼の作る音楽に”甘さ”は無い。生々しく突き刺さる言葉が並べられた歌詞。
夢物語を綴らない、メッセージ性の強い楽曲に、共感する人急上昇中です。今や、テレビをつければ彼の曲が流れる事も多くなりました。
この『さくらのうた』は「”シンプルな人との繋がり”を、曲にした時に、象徴的となったものが桜だった。」という経緯で出来た曲だそうです。
”またね”というたわいもない去り際のセリフでさえ軽いものになってしまったSNS社会。
昔でしたら、今のように簡単に連絡を取り合ったり、互いの近況を把握したり出来ませんでした。
その絶妙な距離感があることで、桜のように散っても変わらない友情の美しさが、続いていくのかもしれませんね。
では、綺麗な言葉が散りばめられた歌詞を紐解いていきます。
気がつけば、今年も同じ桜が咲く季節。
些細なことで笑い合っていた
毎日がただ輝いていた
僕らもいつかは大人になるんだねなんて笑っていた
今もどこかで頑張っているのかな?
気がつけば今年も
春が降る 花香る
出典: さくらのうた/作詞:高橋優 作曲:高橋優
さくら。
誰もが連想するのは、出会いと別れ。
その一方で、この『さくらのうた』は”再会”。あの日との再会。みんなとの再会を願う曲なのです。
1番では相手の存在が見えて来ず、馳せた思いに更けている様子が想像できます。
春を迎えると、蘇ってくる10代の時の自分と、一緒に毎日を過ごしていた友達。
何も変わらない平凡な毎日でさえも、なんだか楽しくて、キラキラ輝いていた。聴いた人みんなが共感出来る部分です。
自分たちが大人になるという当たり前な事でさえ、信じることができなくて笑って誤魔化しあっていた。
ふと我に返り、懐かしさに浸りながら、大人になった友達の姿を想像してみたりも。
「春が降る 花香る」
春の匂いがして、桜が降るのではなく、春が来る事で、桜が香る。春は知らぬ間に訪れ、花の香りであの日に帰る。
”再会”や”人との繋がり”を歌っているとなると、抜粋した歌詞の表現にする事で時の流れの速さをも感じさせてくれます。
一面に桜が咲き乱れるように
舞う花の彩り鮮やかに
僕らもきっと咲き誇ろうねと誓った
夢を叶えて大きくなって
同じ木の下でまた会おうって
約束を覚えてる?
今も、憧れを覚えてる
出典: さくらのうた/作詞:高橋優 作曲:高橋優
桜花爛漫しているように、大きく広がっていく音と歌詞に情熱を感じ、胸が熱くなります。
二人で誓った。桜のように咲くことを。夢を叶えて大きくなることを。そうしたら、この桜の下でまた会おうという約束を。
僕は覚えているけど、君はどうなんだろう。今すぐ確かめる方法はないけれど、きっと僕らなら大丈夫。そういう関係を今も憧れている。
離れていても気持ちは繋がっていたいという、心の叫びが聴こえてくるように感じます。
気がつけば時は流れ、夜が眠り、朝が目覚める足早な日々。
足早な日々を追いかけて
見失わぬように張り詰めて
憧れ通りの日々ではないけどどうにか歩いてるよ
月は綺麗だしみんな良い人だよ
いつのまにか時は過ぎ
夜が明ける 陽が昇る
出典: さくらのうた/作詞:高橋優 作曲:高橋優
場面は一気に現代へと移り変わります。
学生の時は、長いと思っていた1日が今は物凄く短くて、気を張っていないと置いていかれそうになる。何故だろう。
思い描いていた生活ではなくても都会の月も綺麗だし、周りの人にも恵まれている。
2番の歌詞は、独り言ではなくちゃんと相手に届けている感じがします。君に手紙を書いているかのようです。
「夜が明ける 陽が昇る」
今日もまた、気付かぬうちに1日が終わり、そそっかしく、新しい1日が始まるのです。
やがて桜が咲き終わる頃に
花をまとった道鮮やかに
散ってもなお美しい花になりたい
会えなくたって同じだよって
10年先も笑い逢おうって
君は少し泣いてた
ただそれぞれの陽が昇る
出典: さくらのうた/作詞:高橋優 作曲:高橋優
「散ってもなお美しい花になりたい」
この曲のもう一つのテーマであり、高橋優が一番に伝えたいメーセージです。
咲き乱れる美しさ。風に舞う美しさ。そして、散りばめられた美しさ。
全てを兼ね揃えた花が、さくらだったのです。
大人になると、子供のとき以上に逃げ出したくなったり、諦めたくなる事が沢山ありますよね。
もし、失敗したとしても決して悪い事ではなくて、一生懸命やって流す涙は美しいという事を言っているように感じます。
春が降る 花香る
一面に桜が咲き乱れるように
舞う花の彩り鮮やかに
僕らもきっと咲き誇ろうねと誓った
夢を叶えて大きくなって
同じ木の下でまた会おうって
約束を覚えてる?
ただ花は咲き誇ってる
出典: さくらのうた/作詞:高橋優 作曲:高橋優
ただ普遍的に繰り返されるサビの部分でさえも、美しさを感じてしまう。
それは、日本の1年を巡り巡る四季のように。
春。
振り返る季節。
一歩踏み出す季節。そして、人との繋がりを感じる季節。
いつでも「さくらのうた」は私たちを優しく見守ってくれるでしょう。
目の前に広がる桜の木は、今年も昔と同じように咲き誇っているのだから。