仮に今しか言えない言葉があるとしたら
それを聞かせる声が私かもよ

出典: タイム・リミット/作詞:Utada Hikaru 作曲:Utada Hikaru and Kubo Takuro

この部分から、先ほど出て来たタイム・リミットの意味が示唆されています。

辛い経験が襲い掛かり、心が沈んでいる「貴方」。

慰める資格はないかもしれないけど「私」は慰めたい。

今「貴方」に掛けるべき言葉があるのなら、それは今言わないと意味が無くなってしまいます。

これには旬が過ぎるという表現が適切でしょうか。

言葉や行動には旬があり、そのタイミングを逃すと意味合いや深みが変わってしまうことがあります。

これは皆さんも、人間関係や人生における節目の出来事が起きた時感じたことがあるかもしれません。

あの一言が言えていたら何かが変わっていたかもしれない。

あの時すぐに行動すれば何かが違っていたかもしれない。

その今を逃してはいけない

タイム・リミットとはこのことを指しているのでしょうか。

リミットを食べ物に喩えた秀逸な表現

新しいものが大好きな私達は
飽き易いから
この気持ちも早く君が食べないと
冷めてしまう

賞味期限の過ぎた後の
恋の味を知りたいなら
他の誰かと二人でオーダーしてよ
Because I'm not paying

遅れずに来て
そして迷わずに居て
次の電車が通る前に
Ta La Ta Ta Ta
電話が来なかったら…
Ah

出典: タイム・リミット/作詞:Utada Hikaru 作曲:Utada Hikaru and Kubo Takuro

恋愛と時間という概念をとても分かりやすく表現しています。

とかく私達現代人は飽きやすい。それは恋愛も同じ

今芽生えている「貴方」への気持ちはタイミングを逃がすとすぐに冷めてしまう。

「賞味期限」という表現は、もう既に冷めた恋を秀逸に喩えていますね。

食べ物という人類には身近なものに喩えることで、聴き手の深層に分かりやすく溶け込みます。

「私」と「貴方」の恋はもう期限切れ。他の誰かとやってください。

私には関係ないよ。そんな気持ちがうまく表現されています。

そして、「遅れずに来て」からの歌詞にはそのタイミングの具体例が書かれています。

もし待ち合わせに遅れたら、もし電話が来なかったら、すぐに恋は冷めてしまうかも。

曲も相まって焦燥感を煽ってくる内容です。

終わりがあるから頑張れる。そしてその終わりは今である。

タイム・リミットの考え方が人生にも応用される

仮に何事にも終わりが訪れるとしたら
尚更"今"を愛せる気がするよ

出典: タイム・リミット/作詞:Utada Hikaru 作曲:Utada Hikaru and Kubo Takuro

2番の導入に当たりますが、ここからタイム・リミットが「今」であるということに確証が持てますね。

そしてここから、恋愛について展開されていたタイム・リミット理論が、人生にも展開され始めます。

目的が恋愛から夢に変わった歌詞

新しいものが大好きな私達は
飽き易いから
そろそろ成果が現れ始めなきゃ
やめてしまう

賞味期限の過ぎた後の
夢の味は苦めですか
そうなる前に投げ出そうとはしないで
That's not what I'm saying

出典: タイム・リミット/作詞:Utada Hikaru 作曲:Utada Hikaru and Kubo Takuro

とかく私達現代人は飽きやすい。それは夢も同じ。

今時何かに挫折しても別の選択肢はいくらでもあります。

なので今頑張っている成果が出ないと簡単にやめてしまう。

現代人の心の弱さが1番と同じ文体で上手く表現されています

しかし、そうして挫折してしまった夢は、人生に苦みを与えてしまいます。

この苦みというのは後悔や自信の喪失等を指しているのでしょう

そんな苦みを人生に残さないよう、「今」を頑張れ。

そんなメッセージが込められていることが分かります。

タイム・リミットの無いがんばりなんて続かない

傷つき易いまま
オトナになったっていいじゃないか
タイム・リミットの無いがんばりなんて
続かないよ
Uh

出典: タイム・リミット/作詞:Utada Hikaru 作曲:Utada Hikaru and Kubo Takuro

この作品の総括にあたる部分でしょう。

この頃の宇多田の楽曲は思春期特有のデリケートな感情が描かれてることが多いです。

最初の2行にはそんな感情が描かれています。

繊細な感情を持った、ある種打たれ弱い私達現代人。

そんな私達はタイム・リミットがないと頑張れません。

ではタイム・リミットとは何か。

それは何かの終わりを指す言葉であり、「今」を指す言葉でもあります。

終わりが見えないと頑張れない。そしてその終わりというのは「今」かもしれない。

目の前で直面している出来事に全力を尽くしていこう。

そんなメッセージが込められているのではないでしょうか。

おわりに

【宇多田ヒカル/タイム・リミット】歌詞の意味を考えてみる!タイムリミット無しじゃ頑張れない理由に共感の画像

いかがでしたか?

「今」を全力で生きる。筆者もですが、なかなか出来ることではありません。

どうしてもだらけてしまう部分や、弱気になってしまう部分が出てきます。

しかし当時17歳の彼女にこんな曲を作られてしまっては、言い訳出来ませんね。

一現代人として、筆者も今まで以上に「今」を全力で生きていこうと思いました。

宇多田ヒカル楽曲は他にも魅力的なものが沢山あります。

下記に関連記事のリンクがあるので、是非チェックしてみてください。