The magical mystery tour is waiting to
Take you away,Waiting to take you away.

出典: MAGICAL MYSTERY TOUR/作詞:Lennon=McCartney 作曲:Lennon=McCartney

一応、この箇所がサビになるのでしょう。

「マジカル・ミステリー・ツアー」は分解すると非常に単調です。

歌詞和訳してみます。

「魔法のミステリー・ツアーがあなたを連れ去るのを待っています

あなたを連れ去るのを待っているのです」

ポールもジョンも徹底してサーカスの呼び込みを真似しています

脚本に力を入れずにその場その場で起きるハプニングを期待してメンバーツアーに参加。

ところがどこまで行っても何のハプニングも起きません。

今のテレビ番組で「ぶっつけ本番」を謳ったものでも事前に仕込みを用意しているのは当たり前です。

そのことを「やらせ」という言葉ではなく「仕込み」という柔らかい表現に変えて正当化します。

本当に「ぶっつけ本番」でやると、ビートルズのような超カリスマにも何のハプニングも起きない

「マジカル・ミステリー・ツアー」の失敗はテレビマンにとってはいい教訓になったことでしょう。

「音楽に付随する映像」への批判

時代を先取りしすぎたビートルズ

ビートルズ【マジカル・ミステリー・ツアー】歌詞を和訳&解説!ツアーの行先は不明!?ワクワクする名曲の画像

Roll up,Roll up for the mystery tour.
Roll up,Roll up for the mystery tour.

Roll up (We've got everything you need)
Roll up for the mystery tour.

Roll up (Satisfaction guaranteed)
Roll up for the mystery tour.

出典: MAGICAL MYSTERY TOUR/作詞:Lennon=McCartney 作曲:Lennon=McCartney

本当にRoll upばかりなのがお分かりいただけたはずです。

サウンドがカラフルですから歌詞もバラエティに富んだものだと想像しがちですが単調この上ない

和訳を添えてみます。

「いらっしゃい ミステリー・ツアーにいらっしゃい

いらっしゃい ミステリー・ツアーにいらっしゃい

いらっしゃい 必要なものは全部取り揃えております

ミステリー・ツアーにいらっしゃい

いらっしゃい ご満足すること請け合います

ミステリー・ツアーにいらっしゃい」

ポールとジョンは「満足すること請け合います」と歌いました。

しかし、なぜ当時のイギリスでは酷評されたのでしょうか。

ポールはメンバーを代表して謝罪までしています

ビートルズを生んだ土地ですがイギリスは新しいものに対しての拒絶心が強かったのでしょう。

また映像文化に対する誇りの高さも関係していたはずです。

「マジカル・ミステリー・ツアー」の「音楽に付随する映像」という音楽と映像との力関係がいけなかった

映像作品は飽くまでも映像が主体となっているべきだという信念のもとではMVのようなものは創れません。

「マジカル・ミステリー・ツアー」もビートルズも時代を先取りしすぎたのです

ビートルズとサイケデリック文化

「サージェント・ペパーズ」よりもサイケ

ビートルズ【マジカル・ミステリー・ツアー】歌詞を和訳&解説!ツアーの行先は不明!?ワクワクする名曲の画像

The magical mystery tour is hoping to
Take you away,Hoping to take you away,

出典: MAGICAL MYSTERY TOUR/作詞:Lennon=McCartney 作曲:Lennon=McCartney

2回目のサビです。

歌詞は少しだけ変わっています。

和訳を添えましょう。

「魔法のミステリー・ツアーがあなたを連れ去りたがっています

あなたを連れ去りたがっている」

「マジカル・ミステリー・ツアー」はアメリカでの編集盤アルバムの方が著名です

テレビ映画に使われた作品の他に「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」などの超名曲が収録。

サイケデリック期のビートルズを知るには「サージェント・ペパーズ」よりもこちらの方が相応しいです

ビートルズとサイケデリック文化との関係は微妙な問題でしょう。

「サージェント・ペパーズ」の中ジャケットの色彩などは確かにサイケデリック文化の賜物です。

しかし「サイケデリック・ロック」としては同時代のシド・バレット率いるピンク・フロイドの方が格上

「マジカル・ミステリー・ツアー」にも確かにサイケデリック文化の香りがします。

しかし視覚文化の作品としてはあまり評価されなかったのも事実です。

ポール・マッカートニーはLSDの服用についてうっかり口を滑らせて大バッシングを浴びます。

サイケデリック文化はこの時代の通過儀礼としてビートルズも避けて通れなかったのです

しかしこうした傾向は一過性のものでもありました。

ドラッグにたっぷり浸かっていたジョン・レノンでさえシンプルなロックンロールを鳴らします。

サイケデリック文化に興味がある方はドイツのクラウト・ロックなどに触手を伸ばすようです。

アモン・デュールなどサイケデリック文化を押し出した個性的なバンドはもっとたくさんありました。

音と映像、それぞれの可能性

ゴダールとの親和性

ビートルズ【マジカル・ミステリー・ツアー】歌詞を和訳&解説!ツアーの行先は不明!?ワクワクする名曲の画像

(Ah,The magical mystery tour)
Roll up,Roll up for the mystery tour,
Roll up,Roll up for the mystery tour.

Roll up (I've got an invitation)
Roll up for the mystery tour.
Roll up (To make a reservation)
Roll up for the mystery tour

出典: MAGICAL MYSTERY TOUR/作詞:Lennon=McCartney 作曲:Lennon=McCartney

この歌は本当にRoll upの言葉の響きだけでできています。

リンゴ・スターがテンポを変える箇所です。

テンポをいじり倒してゆくことで単調な歌詞でも変化に富むようになっています

和訳を添えましょう。

「(ああ、魔法のミステリー・ツアー)

いらっしゃい ミステリー・ツアーにいらっしゃい

いらっしゃい ミステリー・ツアーにいらっしゃい

いらっしゃい (招待状がきたよ)

ミステリー・ツアーにいらっしゃい

いらっしゃい (予約しないとね)

ミステリー・ツアーにいらっしゃい」

批判を浴びたビートルズ。

特に発案者のポール・マッカートニーが矢面に立たされます。

彼の釈明に耳を傾けると中々いいことを話しているのでWikipediaに従いましょう

君たちは万年筆がどんな役割を持っていると思う? 字を書く物であると同時に、胸の飾りにもなるんだよ。僕たちはそういうことをやりたいんだ」と述べ、映像というメディアが単なる「物語の表現物」にとどまらないという概念を示唆している

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/マジカル・ミステリー・ツアー_(映画)

音と映像、それぞれに役割があることにとことんこだわり抜いたのはフランスの映画監督ゴダールです

ゴダールは音と映像が映画の中でどんな役割をそれぞれに果たしているのか解明しようとしました。

ポール・マッカートニーは映画の専門家ではないのでもう少し軽いです。

それでも音楽が映像の可能性をさらに拡張する可能性を見抜いていました。

ゴダールは実際、ビートルズに録音風景の撮影を願い出ます

しかしスケジュールが合わなくなりローリング・ストーンズの録音風景を撮影しました

名作映画「ONE PLUS ONE 悪魔を憐れむ歌」の誕生です。

もしビートルズが被写体であったならば作品はどう変わったか。

ジョン・レノンはローリング・ストーンズのメンバーよりも革命に対して急進的な思想の持ち主です

革命を志すゴダール映画との親和性はどちらの方が高かったのか

中々、面白い議題でしょう。

歴史に「もしも」は通用しないのですが。

ビートルズとの素敵な小旅行