薬師丸ひろ子全盛期の映画主題歌
「探偵物語」に続く主演3作目
「メイン・テーマ」は薬師丸ひろ子の全盛期だった1984年に公開された同名映画の主題歌です。
「犬神家の一族」(1976年公開)に始まり1980年代に一時代を築いた角川映画。
娯楽性を重視した作品群の中でも特に若いファンを魅了したのが若手新人女優を発掘したアイドル映画でした。
それを牽引したのが角川3人娘の薬師丸ひろ子、原田知世、渡辺典子です。
角川アイドル映画の特徴は、この主演女優3人に映画の主題歌を歌わせたことです。
つまり作品、主演女優、主題歌が一体になって映画のプロモーションが繰り広げられていました。
ただし薬師丸ひろ子が主題歌を歌ったのは、デビュー作「人間の証明」からではありません。
主演3作目の「セーラー服と機関銃」からです。
デビュー直後や映画『ねらわれた学園』(1981年7月)出演時には、所属事務所から歌手デビューも提案されていたが、薬師丸は無理だと思って断っていた。そのため、1978年のスクリーンデビューから1981年11月の歌手デビューまでの3年間には"歌わない(最後の)アイドル"と形容されることもあった。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/薬師丸ひろ子
角川春樹の狙い通り「セーラー服と機関銃」は大ヒット(オリコンチャート1位)。
次の「探偵物語」もヒットして「メイン・テーマ」となります。
男女それぞれの視点で書かれた歌詞
角川アイドル映画の楽曲がヒットした要因の一つは制作陣にあります。
当時J-POPの潮流だったニューミュージックのアーティストを起用したからです。
「メイン・テーマ」の作詞は「はっぴいえんど」の松本隆、作曲は南佳孝。
つまり最先端のポップミュージックだったんですね。
「セーラー服と機関銃」は薬師丸ひろ子が歌う同名曲と作曲者の来生たかおが歌う「夢の途中」があります。
このパターンは以後の作品でも踏襲されています。
つまり「メイン・テーマ」は薬師丸ひろ子版と南佳孝の「スタンダード・ナンバー」があるわけです。

この曲は本来、「スタンダード・ナンバー」が先に作られ、後で映画のテーマ曲に採用されました。
その際に、松本隆は男性側の視点で書かれていた歌詞を女性に置き換えて一部を書き直しています。
それを踏まえて歌詞の意味を探っていきましょう。

なお、「スタンダード・ナンバー」は中森明菜がカバーしています。
2015年にリリースしたカバーアルバム「歌姫4 -My Eggs Benedict-」の1曲目に収録されています。
興味のある方は3つのバージョンを聞き比べてみてください。
ロードムービー
車と男女がキーワード
幼稚園で先生をしていた小笠原しぶき(薬師丸ひろ子)はひょんなことで退職せざるを得なくなり、失業する。房総の海岸で偶然に知り合った見習いマジシャン(野村宏伸)と4WDでの旅をすることになる。しぶきの目的地は大阪。かつて幼稚園で面倒を見ていた子供が、親の転勤で転校していったのだが、その子供の父親(財津和夫)に心惹かれていたからだった。
その後、浜松、大阪、そして沖縄と舞台はうつっていく。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/メイン・テーマ
車が重要なアイテムで舞台が移り変わる点など一種のロードムービーといえます。
歌詞も海岸に駐車した車の男女が歌われており、映画の内容にマッチしています。
「メイン・テーマ」と「スタンダード・ナンバー」の歌詞を並べてその違いをご覧ください。