タイトルに反して、歌詞は「君がいた頃」の描写から始まります。
すごい汗をかいているのは、暑がりな「僕」でしょうか。
「夏になったらどうなるの?」と話していることから、季節は秋から冬、もしくは春ではないかと想像できます。
当たり前のように、次の夏も一緒に過ごしていることを想像している2人。
暑がりな「僕」と寒がりな「君」、そんな違いはあっても、2人でいることが幸せそうに見えます。
「愛してる」と言いながら、幸せそうにじゃれ合う2人の様子が想像できますね。
未来を思い描いていた2人
バイバイ
君を幸せにするのは
僕に任せてくれないか?なぁ
はいはい。思い上がり上等
「じゃあその時はよろしくね」
って期待させないでよ
出典: 君がいない/作詞:石原慎也 作曲:Saucy Dog
「僕が君を幸せにする」という、「僕」から「君」へのまるでプロポースのような言葉です。
そのことを、「僕」は「思い上がり」だったと言っています。
その言葉は、「君を幸せにする」という未来が叶わなかったことを表しているのでしょう。
ですが、そのときは彼女も「よろしくね」と言っていたのです。
そのときは、2人はきっと一緒に幸せになる未来を思い描いていたのでしょう。
ですが、結果的に「君」は「僕」の前からいなくなってしまった。
2人が思い描いていた未来はこなかったのです。
それなら、最初から期待させないでよ、という「僕」の悲痛な叫びが伝わります。
なぜ「不可能なことはない」?
永遠さえ信じていた2人
絶対や永遠なんてさ 存在しないような
気がしていたけど
"本当にあった〇〇"って幻の放送回
特番で僕らを使ってもらおうぜ きっと
「アホみたいだね でもそうなったら最高だね」って
君が笑ったら僕らに不可能はない気がしてしまうんだ
出典: 君がいない/作詞:石原慎也 作曲:Saucy Dog
ここでも幸せそうな「君がいた頃」の描写が続いています。
「絶対」や「永遠」という言葉を信じていなかった「僕」。
ですが、「君」との未来はきっと「永遠」に続くと思っていたのでしょう。
それを、面白い言い回しで「特番で自分たちのことを使ってもらおう」と言っています。
2人の未来を信じてやまない「僕」。
そんな「僕」を見て、「君」も笑いながらも「最高だね」と言っています。
「君」もきっと、この時にはそんな未来を一緒に想像していたのではないでしょうか。
不可能はない気がした
「特番で使ってもらおう」なんて、「君」も「アホみたい」と言っているように夢物語です。
「僕」もふざけて言った言葉でしょう。
だけど、「君」が笑えば不可能なことはない気がしてしまった。
それほどまでに、「僕」にとって「君」の笑顔はパワー絶大だったのでしょう。
好きな人が笑えば、なんでもできるような気がしてしまう。
信じていなかった「絶対」や「永遠」という言葉さえ信じてしまう。
「僕」にとって「君」の存在が、どれほど大きかったかを表しているように感じます。
ですが、最後には「君」はいなくなってしまう。
結局「絶対」や「永遠」はなかったのです。
そう考えると、このとき「絶対」や「永遠」を信じていたことが一層切なく感じられます。
「君」がいなくなったあとの「僕」
「君がいない」
バイバイ
君を幸せにするには
役不足かい?あぁ聞きたくない
はいはい。思わせぶり巧妙
「まだ好きだよ」って振り回して
また奪っていくんだ
出典: 君がいない/作詞:石原慎也 作曲:Saucy Dog
「僕」では「君」を幸せにするのは役不足だった。そのことを認めたくない「僕」の苦しみが伝わってきます。
「まだ」という言葉は、本当はもう「君」の心が離れていることを表しているのではないでしょうか。
「君」の気持ちが離れていても、「君」に振り回されている「僕」はまだ「君」のことが好きなのでしょう。
隣で君の声
少しだけ聞けたら
すぐに眠れてしまう
単純な僕は
どんな夜でさえも
こんなに辛いと思った事がない
音がしない、味がしない、君がいない
出典: 君がいない/作詞:石原慎也 作曲:Saucy Dog
ここではじめて、タイトルになっている「君がいない」という言葉が出てきます。
「君」がいた頃は、君の声を聞くとそれだけで安心して眠れていた「僕」。
ですが、「君」がいなくなったあとの夜がどれほど辛いかということが伝わってきます。
それまでの「君がいた頃」の幸せな描写があるからこそ、余計に「僕」の辛さが際立つ歌詞になっています。