「少年」とは過去の自分のことを意味しています。その頃の自分は希望を持っていたのかもしれません。
その少年の頃の自分が「僕」を見つめて何かを訴えています。
おそらく、望んだような未来とは遠い状態にいることを責められていると感じているのです。
それを許してほしくて、少年の自分に土下座して「ごめんなさい」と謝っています。
パソコンの薄明かり 上階の部屋の生活音
インターフォンのチャイムの音 耳を塞ぐ鳥かごの少年
見えない敵と戦ってる 六畳一間のドンキホーテ
ゴールはどうせ醜いものさ
出典: 僕が死のうと思ったのは/作詞:秋田ひろむ 作曲:秋田ひろむ
「鳥かごの少年」とは部屋に引きこもっている様子をあらわしています。
夢に破れて青森県に帰り、何もできずにいた秋田ひろむの過去を重ねているのでしょう。
ドン・キホーテは騎士道物語にはまり、現実と物語の区別がつかなくなった男のことです。
部屋から出ることもなく、「僕」はドン・キホーテのように自分で勝手に見えない敵をつくって戦っているつもりになっています。
その不毛な生活の終着点は醜いものであることを「僕」も予感しているのでしょう。
「あなた」がいる世界が
僕が死のうと思ったのは 冷たい人と言われたから
愛されたいと泣いているのは 人の温もりを知ってしまったから
僕が死のうと思ったのは あなたが奇麗に笑うから
死ぬことばかり考えてしまうのは きっと生きる事に真面目すぎるから
出典: 僕が死のうと思ったのは/作詞:秋田ひろむ 作曲:秋田ひろむ
「僕」はこれまで自分がみじめで情けないから「死のう」と思っていました。
しかし、ここでは「人の温もり」を知ってしまったと言っています。これは「僕」に温もりを教えてくれる人があらわれたということです。
そして、その人に「僕」は愛されたいと思うから泣いているのです。愛されたくてもどうすれば良いのかわからないのだと思います。
「温もり」をくれた人に自分も温もりをあげたいと願うからこそ、「冷たい人」と言われるのがつらいのでしょう。
その人が「奇麗に笑う」ことが「僕」にはとてもまぶしいと感じています。
また、自分がこのような温もりや幸せを得るのは間違っているのではないかと思っているのかもしれません。
生きるということに「真面目すぎる」から、複雑に考えすぎてしまうのです。
僕が死のうと思ったのは まだあなたに出会ってなかったから
あなたのような人が生まれた 世界を少し好きになったよ
あなたのような人が生きてる 世界に少し期待するよ
出典: 僕が死のうと思ったのは/作詞:秋田ひろむ 作曲:秋田ひろむ
「出会ってなかったから」ということは、今は死のうとは思っていないということですよね。
「僕」に笑いかけ、温もりをくれる「あなた」がいる世界を少しだけ好きになったのです。
ほんの少しであっても、昨日の自分から変わることができたのは大きな一歩だと思います。
そして、勝手に敵を作ってあきらめていた世界に今は「少し期待」しているのです。
中島美嘉への提供曲
『僕が死のうと思ったのは』は中島美嘉に提供された曲でもあります。
それまでの中島美嘉のイメージとは異なるこの曲は大きな話題を集めました。
実はamazarashiのセルフカバーが後で、中島美嘉のシングルとして2013年8月に先に発売されたのです。
中島美嘉側からのオファーによって、この夢のコラボレーションは実現しました。
下記の動画をご覧いただくとわかりますが、中島美嘉はamazarashiの楽曲をしっかり自分のものにして歌い上げています。
まとめ
今回はamazarashiの『僕が死のうと思ったのは』について紹介しました。
絶望と希望を描いた歌詞はamazarashiならではですよね。中島美嘉の歌う『僕が死のうと思ったのは』もとても素敵です。
他のアーティストが唄うと、amazarashiの楽曲の強さが改めて感じられます。
2017年12月13日にアルバム『地方都市のメメント・モリ』をamazarashiはリリースしました。
この記事を読んでamazarashiに興味を持った方は、このアルバムも忘れずにチェックしましょう。
New Album 「地方都市のメメント・モリ」 / amazarashi
amazarashi New Album 「地方都市のメメント・モリ」 2017.12.13 Release
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