2ndアルバム「yume」をリリース!類を見ないアートの側面

Maison book girl【夢】歌詞&MV解釈!夢の声?耳鳴り?ブクガ4人の夢を覗いてみようの画像

変拍子を積極的に取り入れた幻想的な楽曲で、これまでのアイドルにはない新しい立ち位置を確立したMaison book girl(以下ブクガ)。

アイドルと言われると幅広く人気を集めるという像もあってか、ポップスを歌うということが今やお決まりです。

対してブクガの楽曲はポップスはポップスなのですが、いわゆるアイドルグループが歌うものにしてはかなり特異な印象を受けます。

2018年11月21日にリリースされた2ndアルバム「yume」にしたって、アイドルが歌うものにしてはアートの側面がいかにも強い作品。

アイドルというのは、見た目やキャラクターで魅了するエンターテインメント性が普通は重視され、楽曲にもそういう側面が表れているものです。

それに対してこのアルバムは楽曲としての芸術性が重視された、アーティスト思考の強いもの。

もはや彼女たちはアイドルという枠組みでは測りきれない存在なのかもしれない…そんなことを感じさせられる1枚となっていました。

収録曲「夢」から作品の入れ込み具合を垣間見る

「yume」はメンバーのコショージメグミ曰く、アルバム1枚を通して結局全部同じ夢だった」と感じるような作品になっているとのこと。

収録曲21曲と、ベストアルバム並みの長編となっていながらもそれらを統一するコンセプトが明確にあるのです。

ただ単に出来た曲を詰め込んだだけではないということが、この作品の入れ込み具合を物語っていますね。

その労力も計り知れず、メンバーもそれぞれに自信作だと口にするだけのことはあります。

今回はそんなアルバムの中から、リード曲と言っても過言ではない「夢」という楽曲に注目。

12月1日にはMVも公開されたのですが、この曲を聴くだけでもアルバム「yume」の完成度が垣間見えてきますよ。

楽曲にしろMVにしろ、その込み入った成り立ちに興味を持っていかれます。

音楽になり得ないようなもので構成された楽曲

心電図のような機械音に、環境音を思わせるクラップ音。

本来音楽になり得ないようなものが継ぎ合わせられ、音楽になっていることにまず不思議な感覚を覚えますね。

曲展開にしてもAメロ、Bメロ、サビの全てで拍子が変わる難解なもの。

そう、普通はこんなにいろんな拍子が入り混じっていたら違和感を覚えそうなものですが、1曲を自然に聴き通すことが出来るのもまた不思議。

その辺りはプロデューサーのサクライケンタの腕の見せ所と言いましょうか。

それにしてもそれを自然と歌ってのける4人の感覚も研ぎ澄まされていると言っていいでしょう。

クラップ音は脳の活動パターンだった!?

MVを最後まで見ていただくと、環境音か何かだと思っていたクラップ音は、なんと夢を見ているときの脳の活動パターンを音に変換したものだという説明が。

環境音でも凄いなと思っていたのに、それが脳の活動パターンを表しているものだとわかれば尚更です。

完全に「夢」というものを表現しようとした1曲なのだなということが伝わってきました。

心臓にしてもそうですが、この脳の話を聞くとやはり人間はリズムありきで生きているのだな…なんてことを思わされますね。

そう思うと音楽と人間の関係がより、切っても切れないものだということも感じさせられます。

映像でも専門家の力を借りて「夢」を表現

そしてMVの中で使われていた画像も「鳥」「神社」「鍵」「扉」「ベッド」の画像を見せたときの被験者の脳の活動情報を解読し、再構成したものだという話も。

クラップ音にしても、この画像にしても京都大学の神谷之康教授の協力の元作られたとのことですが、専門家の力を借りているところにまた、作品への入れ込み具合が表れています。

MVの内容としては、病院を舞台にベッドに横たわり、見ている夢をモニタリングされているブクガの4人を映したもの。

彼女たちが見る夢の内容も歌詞を再現するかのように描かれています。

少し難解ではありますが、ここからその歌詞も読み解いていくことにしましょう!

目覚めまでの遠さを感じさせる夢

ゆめ 見たの 忘れた場所
ひとつ ふたつ 観たくない映画。
ゆめ おきて まだゆめの途中 街の中を 今も歩いてるの

出典: 夢/作詞:sakuraikenta 作曲:sakuraikenta

夢というのはやはりイメージに過ぎなくて、思い返してみるとその情景なんかもとてもいい加減に描かれていたりします。

「忘れた場所」という言葉は、本来知らない場所であるに関わらず夢の中ではあたかも知っているような気になっていた…のようなニュアンスではないでしょうか。

そして夢の中というのは、なんで自分がそんなことをしているのかわからなくなることがあります。

主人公が見たくもない映画を観ていたというのもまた然りではないでしょうか。

そんな夢から覚めたと思っても、目が覚めたその状況さえも夢だと自覚する主人公。

そういうことって確かにありますが、この部分からは夢から覚めるまでがとても遠いような、そんななんとなく怖い印象を覚えます。

同じ状況をリピートしている

ふしぎな指 空にいくつも 浮かぶ 景色 はじめに戻って
ゆめ 見てる まだゆめの中で 開く本の ページは破れて

出典: 夢/作詞:sakuraikenta 作曲:sakuraikenta