本当に自分が大切なものを求めて生きていく
相反する夢の世界と現実
悲しみが消えるこの夢の中で
今も あぁ 探して歌っているんだ
悲しみが増えるこの日々の中で
今も あぁ 探して歌っているんだ
出典: 融解sink/作詞:Vaundy 作曲:Vaundy
すべての人にとって日常は、決して楽しいことの連続ではありません。
学校や職場で取り返しのつかないようなミスを犯してしまったり、大切な人を傷つけてまったり。
一方で立ち直れないほど傷つけられてしまうことだってあります。
年を積み重ねるほど、人生は悲しみが色濃く沁みついてくるのです。
そんな憂いが絶えない日常から自分を守るかのように、夢の世界は不思議なほどに幸福なもの。
どんなに哀しみに暮れても、ひとたび目を閉じて眠りにつけば傷つき悲しむことのない世界が包み込んでくれる。
そしてそんな幸せな夢の世界でも、辛く苦しい現実世界でも、僕は「あるもの」を探し求めて歌い続けます。
何を求めて生きるのか
このサビでの歌うという行為は、自分の人生を生きることを示しています。
周りに流され他人が称賛する生き方をするのではなく、自分が何をしたいか心に問いかけながら生きる。
そんな生き方を「歌を歌う」という行為で表現しているのです。
そう考えると、探しているものは人生で自分が一番大切にしたいものであると分かります。
人によって人生で大切なものは大きく異なります。
家族や友人、恋人、ペット、夢、その夢を追いかける過程こそが大切だと考える人もいるでしょう。
寝ても覚めても、自分だけの人生の大切なものを探しながら生きていく。
そんな人生を歩む覚悟が歌われています。
キャッチーなフレーズが表す人間の素顔
炭酸ジュースのような心
プシュッとさ 開けた
ジュースの缶のような
プシュッとさ 心の
気が抜けていく
出典: 融解sink/作詞:Vaundy 作曲:Vaundy
炭酸飲料の缶を開けると、ガスが抜けていくような音がします。
そんな炭酸の缶ジュースを心の様子に例えた歌いだしで2番が始まります。
世間に対する鬱憤や悲しみ、未来への不安、他人への嫉妬。
それらが缶ジュースの中でパンパンに詰まった炭酸ガスのように詰まっている心。
負の想いはひょんなことから炭酸のように噴き出すことがあります。
そんな誰しもが経験したことのある心的描写が爽やかな例えを用いて表現されています。
他人の不幸せに寄り添うことで与えられる幸せ
他人の
不幸や 不安に
あやかって
幸福と 安堵を
提供している
出典: 融解sink/作詞:Vaundy 作曲:Vaundy
引用した歌詞に使われている「あやかる」という言葉。
本来は、他人の幸福を祝福して自分も同じように幸福な状態になりたいと思うときに使われる言葉です。
しかし曲中では、自分ではない誰かの苦しむ様子や悲しむ姿に対してあやかると書かれています。
Vaundyは決して言葉の使い方を間違えているわけでありません。
他者の不幸せや苦しみに共感して「私も貴方と同じように幸せではないよ」と伝える行為を示しています。
つまり、自分が不幸を感じていない状況でも、知人の不幸せに共感して「自分も不幸せだ」と話を合わせる。
よって、不幸せな知人にとっては「自分以外の人も同じように不幸だ」という安心感の幸福が享受されます。
私たちが生きる世界ではよくあるコミュニケーションのひとつではないでしょうか。