好きな時に好きな事をして 時々休み
また適当に歩きだしていた。それがいつの間にか
誰かに 何か求められて 誰にも 甘えられない
出典: ノーヒットノーラン/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
主人公が大人になっていった過程が描かれています。
子どもの頃は、自分が好きなことに対して思う存分取り組むことができました。
しかし年齢とともに求められることは増えていきます。そしてそれとともに、責任も増していく…。
それに精一杯応え、成果を残し、自立していくことが重視されるようになるのです。
主人公はそんな状況を、非常に重荷だと思っている様子です。
気持ちは少しずつ前へ
自分を再確認する主人公
ライトからすぐ逃げたいよ だけど僕はスラッガー
ノーヒットノーランのままじゃ認められない。
そんな僕は存在しちゃいけない
出典: ノーヒットノーラン/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
先ほどの歌詞でも説明した通り、大人になるにつれて求められることは増えていきます。
そんな風にして増えてきた「求められること」について述べられているのが、この部分です。
3行目には、非常に強い言葉が登場しています。
自分の存在すら否定してしまうような言葉ですが、これがスラッガーとしての主人公の在り方なのでしょう。
まだ弱気な自分が見え隠れ
願わくば怯える自分に 逃げ場を与えてあげたい
願わくば誇れる自分と名誉とライトが欲しい
ボクになにがのこるんだろう?
臆病なボクにナニガデキルンダロウ?
出典: ノーヒットノーラン/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
ここまで自分自身の不安を表現せず、周囲からの期待にばかり応えようとしてきた主人公。
相変わらず弱気な本音が見え隠れしています。
甘えることができない自分を助けたい。
1行目の「逃げ場」という言葉には、そんな自分に対する救済措置のような意味がこめられているのでしょう。
こんな主人公ですが、2行目では試行錯誤している様子も描かれています。
自分に逃げ場がないのなら、自信満々で表舞台に立てるようになりたい。
周囲から求められるスラッガーとしての自分と、それに応えられない今の自分との間にある大きなギャップ。
それが埋まってほしいと、心の底から願っている様子がわかります。
そうやって自分のこの先を案じている主人公ですが、やはりそう簡単に不安は拭えません。
後半2行、特に最後のカタカナからは、考えても考えても答えが出ない様子が滲み出ています。
いまにも思考停止してしまいそうな、主人公の頭の中が描かれているのです。
思い込むがカチ…?
ライトがまだ足りないよ
「ボクはスラッガー」もっと思い込ませてくれ
出典: ノーヒットノーラン/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
まさに思考停止しそうな主人公でしたが、何とか持ち直しました。
自分自身が抱えるギャップをどうするか、考え抜いた主人公はなにやら吹っ切れた様子ですね。
周囲からの期待に自分を寄せていく努力を始めたようです。
弱かった心を入れ替えて、自分はすごいんだ!みんなに認められる打者なんだ!そう思い込もうとしています。
しかし思い込むことでしか踏ん張れないという、主人公が振り払い切れていない弱気な姿勢も垣間見えるのです。
プラス思考になりつつも、まだ抱えている弱気との葛藤が感じられるフレーズですね。
成長した主人公は
物語の始まりはそう 成す術の無い僕らが主役
白いライト当てられて 期待を背負って
「頼むぜ我らがスラッガー」
「まかせろ‼」と僕は胸をたたく
出典: ノーヒットノーラン/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
さて、引き続き「自分はすごい」と思い込もうとする主人公の様子が描かれています。
経験があるかもしれませんが、緊張したときに気合を入れるため、背中を叩いてもらったりしますね。
主人公も同じようなことをしているようです。
4行目にある通り、主人公は自分自身を奮い立たせるために胸を叩いているのでしょう。