小沢健二の完全復活
90年代のポップカルチャーを代表する存在
唯一無二のポップセンスとワードセンスでポップシーンを牽引してきた「オザケン」の愛称で知られる小沢健二。
そのキャリアのスタートは1989年、フリッパーズ・ギターでの鮮烈なデビューです。
小山田圭吾との名コンビで「渋谷系」を代表するバンドとして一時代を築きました。
91年の解散後、小山田圭吾(コーネリアス名義)、小沢健二は93年にそれぞれソロ活動を開始。
2人はそれぞれ90年代のポップカルチャーを象徴する存在となります。
特に小沢健二はその外見から「渋谷系の王子様」と称されるほどの人気を博すことに。
スチャダラパーとのコラボレーションシングル【今夜はブギーバック】は50万枚のセールスを記録。
他にも【カローラⅡにのって】や【痛快ウキウキ通り】など多くのヒット曲を世に送り出しました。
しかし98年にソロ18枚目のシングル【春にして君を想う】をリリースした後、しばらく活動を休止します。
渋谷系の王子様の帰還
小沢健二は2002年、アルバム『Eclectic』のリリースによって活動を再開しました。
しかしシングルリリースやTV出演等は行われず、第一線からは一歩引いた状態が続いていたといえるでしょう。
ポップシーンへの帰還の兆しとなったのは2014年の「笑っていいとも」への出演です。
この16年ぶりのTV出演には多くの人が驚かされることになりましたよね。
その3年後、2017年に19年ぶりとなるシングル【流動体について】で小沢健二は完全復活を果たします。
オリコン最高2位を記録する堂々たる帰還となりました。
その後、精力的に活動を続け2019年には13年ぶりのアルバム『So kakkoii 宇宙』をリリースしています。
昔と変わらぬその姿と楽曲のクオリティには本当に驚かされますよね!
26年ぶりの3か月連続シングルリリース
完全復活を果たした小沢健二は2021年3月に武道館を含むアリーナツアーの開催を予定していました。
しかし新型コロナウイルスの感染拡大により公演は中止に。
その代わりに発表されたのが「3ヶ月連続配信シングルリリース」です。
配信限定シングルではありますが、3ヶ月連続のシングルリリースは26年ぶりになります。
95年1月〜3月【カローラⅡにのって】から続いた3枚のシングル以来です。
その第一弾として武道館での公演予定日、3月9日にリリースされたのが【ウルトラマン・ゼンブ】です。
【ウルトラマン・ゼンブ】
歴代最強のウルトラマン
【ウルトラマン・ゼンブ】は一見タイアップ曲かのように思うかもしれませんが、そうではありません。
このタイトルの発想の元は小沢健二の次男によるものです。
小沢健二は2009年にアメリカ人写真家である女性と結婚。
2013年には長男、2016年には次男が誕生しています。
その当時4歳の次男の発想を元に【ウルトラマン・ゼンブ】は作られました。
「歴代のウルトラマンの能力をゼンブ兼ね備えた史上最強最高のウルトラマン」という意味があるようです。
とても可愛らしい発想ですよね。
しかしその子供の発想からこれだけクールな楽曲を作り上げる相変わらずのセンスには脱帽です。
自身が初監督を務めたMV
シングルリリースと同時に自ら初監督を務めたMVも公開されました。
曲に合わせて歌詞が様々なグラフィックデザインによって表現されていくMVになっています。
小沢健二は2020年末の「FNS歌謡祭」の出演時に放送用歌詞テロップを自ら製作し、TV局に持ち込んでいます。
そんな「歌詞の見せ方」にまでこだわりを持つ小沢健二が作り上げたのが【ウルトラマン・ゼンブ】のMVです。
歌詞とともに移り変わるグラフィックデザインは11人のプロデザイナーによるものです。
その11人は小沢健二がInstagramで2月7日に募集し、集まった300人の中から選ばれた精鋭達。
SNSでデザイナーを募り、約1ヶ月後にMVを公開する。
スタッフ集めも内容も前例のない独自の方法で作られた唯一無二のMVです。
この記事ではそんなMVも素晴らしい【ウルトラマン・ゼンブ】の歌詞に迫りたいと思います!