いなくなってしまう「君」への切ないラブソング

コーヒータイムのようにゆったりと流れる時間をくれそうな、HAND DRIPというグループがいます。

かつてはそれぞれ別グループで活動していた面々が、音楽関係者のアドバイスで1つになったのです。

2018年2月にHAND DRIPを結成した彼らは、舞台を問わず、多彩な活動を見せてくれています。

ライブはもちろんのこと、ラジオやYouTubeでも、学園祭にも登場しています。

TikTokでも話題になっているので、彼らのダンス動画を見た人も多いのではないでしょうか。

Mステでも注目されており、今後の伸びが楽しみなグループといえるでしょう。

そんなHAND DRIPの楽曲の中から、今回は【「言えない」】という1曲をお届けします。

曲中に登場する「僕」と「君」にまつわる、切ないラブソングです。

曲名にもなっている、「言えない」こととは一体何なのでしょう。

その辺りも含め、歌詞の内容を考察していきます。

伝えられない気持ちを抱えて迎える朝

HAND DRIP【「言えない」】歌詞を考察!僕らの愛し方とは?言いたくて言えないでいることを紐解くの画像

Every day ずっとそばにいたいのに
Every night だけ抱きしめていても
言えない 言えないまま
君がいなくなる朝がくる
Every day ずっとそばにいてほしい 
Every night だけならもういらない
言えない 言えないまた
君がいなくなる朝がくる

出典: 「言えない」/作詞:HAND DRIP 作曲:HAND DRIP

この楽曲の冒頭は、この後何度か繰り返されるサビの歌詞から始まります。

曲が始まっていきなり、かなり切ない内容の歌詞が並んでいるのが分かるのではないでしょうか。

このパート全体から、「君」に対する強い想いを感じ取れると思います。

引用歌詞1行目や2行目のフレーズを見ると、相手のことをどんなに想っているのかが伝わってくるでしょう。

そしてこの曲の主人公には、どうやら「君」に言えない何かがあることも分かります。

きっと心の中にこれという気持ちはあるのに、それを言葉にできずにいるのでしょう。

そのことで「君」が離れていくと分かっていても、どうしても言えないことがあるようです。

それが一体何なのか、この1曲を通して感じ取ることができればいいと思いませんか。

出会いはほんの小さなきっかけだったのに

HAND DRIP【「言えない」】歌詞を考察!僕らの愛し方とは?言いたくて言えないでいることを紐解くの画像

人と人が出会うのには、大袈裟なイベントは必要ないのでしょう。

「僕」と「君」が出会ったきっかけもまた、何も特別でない出来事だったのです。

よくある出会いのシーン

久々のサークルでの飲み会で
君との出会いはレモンチューハイの味
顔見知りくらいの関係
それ以外別に興味もない子

出典: 「言えない」/作詞:HAND DRIP 作曲:HAND DRIP

このパートの歌詞を聴いていると、まるで自分もそこにいるかのような気にさえなってしまいます。

それほどまでに、HAND DRIPのこの曲はリアルな場面を歌っているのでしょう。

ざわざわした居酒屋で、とあるサークルのメンバーが飲み会を行っています。

ドラマや漫画などで幾度となく描かれてきた、ありふれた日常のワンシーンといえます。

「僕」はきっと頼んだレモンチューハイを飲んでいて、そこで「君」と出会ったのでしょう。

引用歌詞3行目に「顔見知り」とあるくらいですから、まったく初対面ではなかったはずです。

その後に続く歌詞から、「僕」にとっての彼女は最初は取るに足らない相手だったことも窺えます。

なぜだか次第に「君」のことが気になっていた

たまたま席が向かい合わせ
会話と酒が弾むたびに
ぼんやりした君の笑顔が
僕の心の隙間を埋めてく

出典: 「言えない」/作詞:HAND DRIP 作曲:HAND DRIP

会った瞬間から好きだと直感するのは、実は案外少ないことなのかもしれません。

「僕」にとって、「君」はどうでもいい相手だったはずです。

それなのにどうしてか、だんだんと相手のことが気になって仕方なくなってしまいます。

向かい側に見る彼女の笑顔、話し方、そういった細かいことすべてがその理由かもしれません。

お酒の力も手伝ってなのかもしれませんが、「僕」の心に何らかの変化がもたらされたというわけです。

「僕」が「君」に感じる仄かな恋心は、電気が走るような衝撃的なものではなかったのでしょう。

引用歌詞4行目にあるように、隙間にいつの間にか染み込んでいくような、じんわりとした感覚だったはずです。

衝撃的な出会いや感情は、心を大きく動かします。

しかしその反面、冷めるのも早いといわれています。

ビビッとくるような気持ちでなかったからこそ、「僕」は「君」にゆっくりと恋をできたのではないでしょうか。

窮屈さの中にも何かを求めてた

お互い窮屈なくせに余り余った日々に
僕らは何かを求めていたのかな

出典: 「言えない」/作詞:HAND DRIP 作曲:HAND DRIP