それではここからいよいよ本題へ。
「Sign」のMVをご覧いただきましょう!
楽曲はいかにも鬼束といったイメージの、ピアノをメインにしたアコースティック感の強い幕開けを見せます。
大きな会場で歌っているような空間の広がりを感じさせるこのサウンド。
鬼束の輪郭のハッキリとした歌いまわし、少しかすれた声質がその雰囲気によく溶け込んでいますね。
サビでは弾むようなリズムに乗せて優しいメロディを展開。
満点の星空が浮かんでくるような印象の1曲となっています。
真っ直ぐに恋する気持ちを描いた歌詞を解釈
この曲をきっかけにメディアへの露出が頻繁になったこともあり、曲に対する想いも様々な場面で語られています。
「自身が脚本家になったつもりで書き上げた」「人が強い想いを抱くことで湧き上がって来る高揚感を最もシンプルに表したかった」人称に「君」と「僕」を使うことも「男の子の視点から中学生の恋愛を書きたいと思った」ということから。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/Sign_(鬼束ちひろの曲)
これらを踏まえた上で、ここからは歌詞の内容を解釈していきましょう。
中学生の男の子と言うと、女子に対する異性の意識が芽生えてくる最も多感な時期。
感情の高揚を表現するにはもってこいの題材だと言えますね!
失敗したっていい
冷静さを売り飛ばして 泡になった僕を
世界は笑ってくれるだろう
そんな荷物だけで何処に?
「何処へでも」そしてただ 君の事を考えているよ
出典: Sign/作詞:鬼束ちひろ 作曲:鬼束ちひろ
ここで表現されているのは「玉砕覚悟で想いを伝えに行こうとする主人公」ではないでしょうか。
「失敗したって笑い話にすればいい」と覚悟を固める様子が描かれます。
荷物のくだりは「なんの取柄もない自分」を表しているのでしょう。
想いを伝えるのに、自分に何が出来るかなんて関係ない。
彼女をどれだけ想っているかということだけが重要なんだ。
そうやって自分を勇気づける主人公の様子が思い浮かびます。
保証も無い点滅に期待したり
理由(わけ)より大切なものを知ってるから
出典: Sign/作詞:鬼束ちひろ 作曲:鬼束ちひろ
「保証も無い点滅」とは、彼女が見せたサインのことでしょう。
彼女の仕草から「ひょっとしたら自分の事を好きなのかもしれない」と思っていた主人公。
理由よりも大切なものというのは、彼女を好きだという気持ちです。
そのサインが間違いだったとしても、自分が彼女を想う気持ちに変わりはないという想いが伝わってきます。
何も聞かずに笑って欲しいのは
今夜君の部屋の窓に 星屑を降らせて音を立てるよ
言えない 何も聞かないで 笑って欲しい
喜びよりも悲しみよりも ただ君の事を考えているよ
今夜 君のもとへ
出典: Sign/作詞:鬼束ちひろ 作曲:鬼束ちひろ
なんとも幻想的な内容の歌詞ですね。
夜中になんの理由も話さず会いに来るなんて、もう「好き」と言っているのも同然。
それでも何も聞かずに笑って欲しいと言っているのは、同じ気持ちであることを彼女に求めているからですね。
行動自体が想いの表れ。そんなことを感じさせられます。
一刻も早く結ばれたい
こんな時にストーリーは展開を急がない
ならば少し待ち切れないでいよう
想いに仕掛けたわなを全部外して
刻もう どんな意味だって構わないと
出典: Sign/作詞:鬼束ちひろ 作曲:鬼束ちひろ
ここに鬼束の言っていた「脚本家になったつもりで」という言葉を表すような描写が登場します。
描かれているのは「お互いの気持ちがわかっているのなら、答えを急ぐ必要はない」ということ。
しかし主人公は一刻も早く彼女と結ばれたい様子です。
「想いに仕掛けたわな」とは、告白に踏み切れない自分を足止めしている理由のことではないでしょうか。
ここでも理由よりも好きだという気持ちが大切だという表現が見られます。