人々は呼応し合う
手を挙げて 叫んでいるのも
誰かがきっと見ているから
怖がらないで 貴方は貴方の
生命だけを
出典: 鯨の唄/作詞:大森元貴 作曲:大森元貴
3回目のサビは1回目のサビとほぼ同じなのですが、文末を少しだけ変化させています。
ピアノのコード・ストロークのシンプルな伴奏に、囁くような大森元貴のボーカルが沁みるのです。
Mrs. GREEN APPLEにしては珍しい雄大な展開をする曲調でありますが、これもミセスの顔なのでしょう。
歌詞は引き続き人々が呼応し合う場面を想定しています。
つらいときは思い切り叫んでください。
他者の痛みに気づく人が必ず貴方のそばに寄り添ってくれます。
生命だけは大切にしてください。
貴方の人生は貴方以外の誰も生きることができないものなのですから、とにかく生き抜いて欲しいのです。
ゴスペルのような神々しさ
貴方のことはここから見ている
いつまで 悲しんでいるの?
ここでちゃんと見ているから
もう泣かないで 霧が晴れたら
虹の元へ歩いてみよう
出典: 鯨の唄/作詞:大森元貴 作曲:大森元貴
4回目のサビの歌詞です。
悲しみにいつまでも耽溺(たんでき)しないで欲しいと歌います。
僕が貴方のことを気にしているから泣くのをやめて立ち上がって欲しい。
虹とはあらゆるひかりの輝きの総体です。
ひかりある方へ一歩踏み出す。
お互いがお互いを思いやり、傷や痛みを分かち合う社会を作り、支えていこうという決意に聴こえます。
大森元貴のボーカルはもはやゴスペルを聴いているときのような神々しさを感じるのです。
祈りの歌ですからゴスペルと深く共振するところがあるのでしょう。
圧巻のクライマックスに向かって
ともに歩き出そう
雨が上がった
空が見えたら
傷が癒えたら
歩いてみよう
出典: 鯨の唄/作詞:大森元貴 作曲:大森元貴
クライマックスです。
大森元貴のハイトーン・ボイスが切れ切れになるまで高く飛翔します。
ストリングスの雄大なサウンド、唸るファズ・ギター。
なにもかも圧巻のサウンド・プロダクション。
歌詞は怖がることなく、外の世界へ羽ばたいていくことを貴方に勧めます。
つらい時期を乗り越えて無事になったらときでいい。
自分自身の新しい人生に歩を進めて欲しい。
祈るような気持ちを歌い上げます。
まとめ:「鯨の唄」はミセスの代表曲
助け合える社会を創り出すために
「鯨の唄」には直截に海の生物について触れた箇所は一言もありません。
それでも大森元貴はこの歌を「鯨の唄」と題して世に送り出すのです。
そこには鯨たちが仲間同士でチーム・プレイのように生命を営んでいる姿への共感があります。
人間社会も鯨たちのようにお互いの苦しみ、痛みに共感しあい助け合える社会にしたい。
そんな大森元貴の想いが壮大な楽曲となって結晶しました。
ミセスの未来に期待
この曲「鯨の唄」はセカンド・アルバム「Mrs. GREEN APPLE」に収録された後に、ベスト盤にも再録。
ミセスの代表曲のひとつといっても過言ではないです。
歌詞を中心に見てきたため、他メンバーへの目配りが少ないですが、全員による演奏が歌詞を守り立てます。
いま一番若い人たちの支持を集めるバンドに成長したのもうなずける圧巻のサウンドあっての歌詞です。
本人たちもまだまだ若いバンドなのでこれからの活躍に益々の期待を込めたくなります。
これからの日本のポップ・ロック・シーンを力強く牽引してくれることでしょう。