描かれているのは”ふつう”の青春
スーパーカップの「ふつうって、スーパー最高。」というキャッチフレーズに共感して書き下ろされた「ライナウ」。
”ふつう”というだけあり出てくるフレーズは「コンビニ」「チャリ」など、誰もが身に覚えのある青春の情景です。
それらは写真に撮って「映える」ものでもなければ、動画にして「バズる」ものでもない。
思い出してみたら何が楽しかったのかなんで笑ってたのかサッパリ分からない。
だけど、なぜか戻りたくなる日常。
「ライナウ」は、そんな”ふつう”が”スーパー最高”だったんだということが軽やかに表現されています。
あくまで大人目線の歌詞
この「ライナウ」は、「青春を振り返った曲」でも「高校の時に書いた曲」でもありません。
あくまで「大人である瑛人さん」が「青春真っ只中の学生を描いた曲」なのです。
笑い話にいつか変わるから
あの鉄塔の下まで
向かいながら忘れちゃえ
出典: ライナウ/作詞:瑛人・RUNG HYANG 作曲:瑛人・RUNG HYANG
これは、まさに大人目線の瑛人さんからのメッセージ。
思春期は、慣れない失敗に感情が揺さぶられることの多い時期です。
悔しい出来事にプライドが傷ついたり、恥ずかしい出来事に感情を扱いきれなくなったり。
瑛人さんも、そうした思春期の出来事を乗り越えてきた”大人”です。
だからこそ「時が経てば笑い話に昇華できる」というエールが送れるのでしょう。
歌詞に出てくる人物像について
具体的な人物像は描かれていない
歌詞には1人称や2人称が登場せず、性別も年齢も特に表現されていません。
でも、歌詞の情景は「なんか知っている人たち」が浮かびます。
「ライナウ」の歌詞では誰もが知っている単語や感情で、歌詞の中の人物像を聴き手に想像させています。
冒頭だけで分かる人物像
コンビニに寄り道なんか買っていこうぜ
って財布に金入ってないや
しょうがねえおごってやるわ
出典: ライナウ/作詞:瑛人・RUNG HYANG 作曲:瑛人・RUNG HYANG
状況が具体的に描かれた歌詞が、瑛人さんらしいです。
「コンビニに寄り道してるってことは高校生くらいかな。」
「買い食いってことは天気がいい日なんだろうな。」
少し聴いただけで『高校生くらいの若い子たちがわちゃわちゃ』している光景が自然と思い浮かびます。
冒頭を聴いただけで歌詞全体の情景や人物像が理解できる。
そんな聴き手に優しい歌詞が、瑛人さんの大きな魅力の1つなのかもしれません。
肩書のない”ふつう”の学生
教科書の中の宇宙を眺めてたら
なんかでかいことができそうさ
出典: ライナウ/作詞:瑛人・RUNG HYANG 作曲:瑛人・RUNG HYANG
教科書を見てもまともに勉強は頭に入ってこず。優等生とは程遠い学生のようです。
だからといって授業を放棄するわけでもなく、妨害するわけでもなく、不良でもありません。
授業は受けているふりをして、「でかい」何かを考えている。
それは具体的な夢や目標でもなく、宇宙に特別興味があるというわけでもないのでしょう。
「優等生」「不良」「夢追い人」…。
そういった肩書もつかない”ふつう”の学生が描かれていることが、このフレーズだけで想像付きます。