桜の花びら散るたびに 届かぬ思いがまた一つ
涙と笑顔に消されてく そしてまた大人になった
追いかけるだけの悲しみは 強く清らかな悲しみは
いつまでも変わることの無い
無くさないで 君の中に 咲く Love…
出典: 桜/作詞:小渕健太郎 作曲:小渕健太郎
サビにはいり、桜の花が散っていく光景と、想いが届かずに失恋をした人物を重ね合わせています。
ただ、”そしてまた大人になった”というフレーズからは後ろ向きに捉えるのではなく、失恋をすることでまた1つ成長をしたと前向きに捉えているのだと思います。
実らなかった恋をけなすのではなく、その実らなかった恋の悲しみは強く清らかであり、この先もかわることがないのだから、
いつまでもその心を忘れないでほしい、というメッセージが込められているように感じられました。
また歌詞最後のフレーズは、タイトルの「桜」にかかっています。
愛が咲く、つまり自分の心の中に生まれた愛おしい気持ちのことでしょう。
実らない恋をしてしまうと、人は誰かを愛することに対して臆病になりがちです。
しかしこの楽曲では、そんな風に臆病になる必要はないと歌っているのです。
確かにいまのこの瞬間だけ切り取れば恋は実らなかった、つまり失敗でしょう。
しかし人を愛するという経験は、確実にこの先の人生に繋がっていきます。
そしてその温かな気持ちがあれば、いつか別の人と出会った時にその人に注ぐことが出るでしょう。
人を愛する気持ちをなくさないでほしい。いつまでも大切にしてほしい。
そんな願いも込められているように感じられますね。
後半の歌詞にも注目
再会したけれど
街の中見かけた君は寂しげに 人ごみに紛れてた
あの頃の 澄んだ瞳の奥の輝き 時の速さに汚されてしまわぬように
何も話さないで 言葉にならないはずさ
流した涙は雨となり 僕の心の傷いやす
出典: 桜/作詞:小渕健太郎 作曲:小渕健太郎
失恋を経験して少し大人になった主人公は、ある日街の中で叶わなかった恋愛の相手である女性と再会します。
その姿は寂しげに人混みに紛れているようでした。
その時主人公が感じたのは、以前までの彼女の瞳の輝きが汚されてしまうのではないかという不安感。
そんな彼女に「何も話さないで」とやさしく接してあげる主人公。
彼女はただ泣くばかりでしたが、その涙は主人公の心を癒やしていくのでした。
その涙でさえも、その先の人生に対してプラスの影響を与えるでしょう。
雨は大地を潤し、花や草の成長を促します。
つまり涙も、人の心を潤し成長を促すということ。
泣いているときは苦しくても、その涙が嫌なことを洗い流してくれます。
時には泣いてもいいんだよ。そんな優しさを感じられるフレーズです。
ここで登場する花は?
人はみな 心の岸辺に 手放したくない花がある
それはたくましい花じゃなく 儚く揺れる 一輪花
花びらの数と同じだけ 生きていく強さを感じる
嵐 吹く 風に打たれても やまない雨は無いはずと
出典: 桜/作詞:小渕健太郎 作曲:小渕健太郎
ここで2番のサビに入りますが、同じメロディーラインでありながら1番とは全く異なる歌詞が割り当てられています。
心の岸辺にある手放したくない花というのは何を意味するのでしょうか?
プライドのようなものを連想しますが、ここでは「純粋な心」「正直な心」のようなニュアンスとして捉えることができる気がします。
その純粋な心が必ずしもたくましいとは限りませんが、一輪の花のように儚く揺れる様子…。
そこからは生きていく強さをも感じることができるのです。
そしてどんなに雨や風に打たれようともなくなることはないのだと伝えているのではないでしょうか。
あえて一輪で表現されていることからも、その心が不安定なものであることがわかります。
しかしその反面、一輪で咲き続けられるくらいに強さやたくましさを秘めていることもわかるのです。
例え強い雨風に晒されても。例え花びらが吹き飛ばされても。
しっかりとそこに根を張って、いつか立て直せる日が来ることを信じ続けています。
人生でも同じように、立ち向かえないほどの辛いこと=嵐に見舞われることもあるでしょう。
その風で大きく揺れても、「純粋な心」「正直な心」を失うわけにはいきません。
じっと耐え忍び、いつか幸せ=晴天が訪れることを待っているのでしょう。
失恋だって大切に
桜の花びら散るたびに 届かぬ思いがまた一つ
涙と笑顔に消されてく そしてまた大人になった
追いかけるだけの悲しみは 強く清らかな悲しみは
いつまでも変わることの無い
君の中に 僕の中に 咲く Love…
出典: 桜/作詞:小渕健太郎 作曲:小渕健太郎
ラストの大サビです。
失恋を経験するたびに成長し、大人になっていくんだよ。
悲しい想いもするけど、その想いは桜のようにいつまでも綺麗に君の心の中に咲き続けるんだ。
だから失恋を恐れずに前に進んでほしい。
そんな力強いメッセージを感じられました。
最後に
名もない花には名前を付けましょう この世に一つしかない
冬の寒さに打ちひしがれないように 誰かの声でまた起き上がれるように
出典: 桜/作詞:小渕健太郎 作曲:小渕健太郎
最後(最初)のフレーズを再掲しています。
これまでの曲全体を通して伝えてきたメッセージを理解してからもう一度読み取ってみました。
失恋を経験し、また新たな恋愛をするためには自分の中にもっている「名もない花」に名前を付けておきましょう。
また新たな恋愛をするために。そんな意味として解釈させていただきました。
春に咲き誇る美しい桜。
そして散りゆく儚ささえも美しく見えるこの花に、人の恋心を重ねた歌詞。
しかしただ恋心が散る様子だけではなく、その裏にある心の揺れ動きにまで言及していました。
冒頭で「名もない花」は恋心だと解釈したことを覚えていますか?
そうして自分の中にうまれた温かい気持ちに名前を付けておくことで、人の心は強くなります。
この先の人生で辛いことがあっても、誰かを愛した経験やその時に抱いた温かい気持ちが守ってくれる。
だからこそ例え散ってしまった花だったとしても、名前を付けて大切にとっておく。
人生の教訓のような、生きていくうえで大切なことが表現されていました。