『MISERY』歌詞解説
Aメロ
ハレルヤ ラ ミゼラブル
Do you wanna show me how low & low?
ハレルヤ ラ ミゼラブル
Do you wanna show me how low & low?
SAY ハレルヤ
出典: MISERY/作詞:HIDE 作曲:HIDE
「ハレルヤ」という言葉は皆さん聞いたことがあると思います。
これはヘブライ語なのですが日本語に直すと「讃える」という言葉になります。
次の「ラ ミゼラブル」も皆さん聞き覚えのある言葉ですね!!
ヴィクトル・ユゴーの名作に、このタイトルがあります。
日本語だと「ああ無常」という形になるでしょうか?
少し硬いので、「無常」・「悲しみ」と訳しましょう。
「讃えよう、悲しみを」。
この2つを並べると、矛盾したような意味になりますね。
普通、悲しみや無常観はマイナスの意味にとらえられます。
なぜhideはこの2つを並べて、言葉にしたのでしょう?
この曲を作ったとき、hideの心には真由子さんがいました。
幼い少女なのに難病を抱えて生きている真由子さん。
「難病を抱えて」しまうこと自体、嬉しいことではありませんね。
ましてや病気を「讃える」ことなどできないでしょう。
真由子さんのご家族、そして真由子さん自身。
どうしてこんな病気に罹ってしまったのだろうと反芻したと思います。
「讃えよう、悲しみを」という言葉。
それは「悲しみを乗り越えながら人生を賛美し、生きていこう」という、hideからのメッセージに他なりません。
ベートーヴェンの名曲も同じテーマ
hideが託したメッセージは、真由子さんだけにではありません。
もちろん主人公は彼女ですが......。
「苦難を乗り越えて歓喜へと至る」というテーマ。
これは人間一般にも通じるテーマだと思います。
かの有名な作曲家であるベートーヴェン。
彼の名曲『交響曲第9番』は皆さんご存知ですね?
この曲もテーマは同じなんです。
ベートーヴェンは若くして難聴になりました。
作曲家にとっては致命傷です。
彼はそれを乗り越えるべき「試練」ととらえました。
そして見事にその試練を乗り越え、数々の名曲をものにしていきました。
真由子さんにとって病気が試練なのかどうなのかは、真由子さん自身が知るのみです。
ですが、病気をものともぜず明るく振舞う彼女を見ていると、そこに苦しさはありません。
病気が分かってからそれを自覚し生きる覚悟を決めるまで、彼女は深く悩んだと思います。
その傍らにはいつもhideがいました。
そして真由子さんは、辛いとき元気づけてくれたhideのために恩返しします。
それが『MISERY』という曲になりました。
これはhideから真由子さんへの「お返し」ですね!!
Bメロ
君の痛み うれしそうに 羽根を広げて舞い降りてくる
昼の光は 君の傷を抱いて 優しく広げてゆく
出典: MISERY/作詞:HIDE 作曲:HIDE
何の予感もなく痛みや悲しみが主人公を襲います。
青天の霹靂です。
それまでは何の問題もなく生活していたのでしょう。
むしろ突然すぎて痛みも悲しみも無いかもしれませんね。
人間は生きている以上、幸せな事ばかりではありません。
悲しいできごとや辛いできごとも、同じような数で起こります。
そのなかでも一生忘れられない「マイナスのできごと」。
みなさんにもあるかと思います。
Aメロ(2回目)
ハレルヤ ラ ミゼラブル 星の嘆き聞けば
ハレルヤ ラ ミゼラブル ほんの小さな事だろう
SAY ハレルヤ
出典: MISERY/作詞:HIDE 作曲:HIDE
自分自身にとって最大の悲劇でも、星の嘆きを聞けばとるに足らないこと。
これは主人公自身が自分に言い聞かせているような言葉ですね。
なるべくネガティブにならないように前を向いて歩く。
そんな決意が見える歌詞だと思います。
Bメロ(2回目)
夜の闇に落ちてゆけば 忘れてしまう事なのかも
揺れる思い つかのまの夢 小さな悲劇
降る星の数 数えたら 泣くのに飽きたろう
笑う月の蒼さ 傷をなでて 閉じてゆく
出典: MISERY/作詞:HIDE 作曲:HIDE