天才は突然現れる!!
MISIAは1998年2月21日に「つつみ込むように...」でデビューを飾ります。
発売前から、彼女の歌唱力の高さは関係者の間で大きな話題になっていました。
「日本人離れした歌を歌う新人がいる」という口コミは一般にも広がり、まだ無名であるにも関わらず、発売のアナログ盤5000枚は当日完売。今もオークションサイトで高値で取引されているほどです。
デビュー曲で魅せた圧倒的ポテンシャル
デビュー曲「つつみ込むように...」は、いきなりハイテンションのMISIAのファルセットから入るナンバー。
イントロだけで彼女の歌唱力は並ではないことがわかるのですが、この曲のポイントは、パンチのあるリズムとメロディーであるにも関わらず歌詞には英語を一語も使っていないことなんです。
日本語は、メロディー一音に一音しかのらないため、どうしても一音に一単語がのる欧米圏の楽曲と比べて、リズム感と情報量が劣ってしまいます。
しかし、この曲ではそれを全く感じさせません。
むしろ独特で圧倒的なビート感を披露で来ているのはまさに彼女の才能。
作詞作曲の島野聡は、この曲を歌いこなせる人が出るまで封印するつもりだったと雑誌で述べていますが、この曲は彼女でなければ歌いこなせない楽曲だったのは間違いないでしょう。
まさに天才はこういう風に颯爽と現れるということなんだなと感心してしまいます。
サビはすべて日本語!
恋人と呼び合える時間の中で
特別な言葉をいくつ話そう
夢に花、花に風 君には愛を
そして明日を つつみ込むように
出典: https://www.uta-net.com/song/10346/
「恋人と呼び合える時間の中で...」大和言葉で綴った単純ですが、魅力あるフレーズです。この詞だけをそのまま読んで、あの圧倒的なビート感はちょっと想像できないでしょう。
幼い頃からゴスペルと親しみ、また黒人のヴォイストレーナーに師事した彼女だからこそ、歌いこなせたものだと思います。
ルーツはブラックミュージック!
日本にもブラックミュージックルーツの歌手が!
民族と音楽は切っても切れないものですよね。
どの民族にも独特の音楽というものがありますが、現代のポピュラー音楽において、ブルース、ジャズ、ゴスペル、リズム&ブルース、ヒップホップなどブラックミュージックの影響は各所に見ることが出来ます。
というより、ブラックミュージックなくして今の音楽シーンは語ることが出来ないというのが現実です。
古くはあのビートルズも黒人音楽の多大な影響の元にデビューし、彼らを通してソウルやモータウンなど黒人音楽に目覚めたファンも多くいました。
MISIAの登場は、ついに日本にも本格的なブラックミュージックにルーツを持つシンガーが生まれた!という歴史的な出来事と言っていいと思います。
5オクターブを超える音域と、迫力ある表情豊かなその歌唱力はまさに世界レベルなんですね。
20世紀最後の大ミリオンセラー 「Everything」
歌唱力が冴えわたる本格的バラード
2000年10月25日に発売された「Everything」は松嶋菜々子主演のドラマ「やまとなでしこ」の主題歌でした。
お金持ちと結婚することだけを思い描く客室乗務員と貧乏な数学者崩れの男子のロマンスコメディのこのドラマ。すれちがいながらも真の愛に二人が目覚めていくというストーリーと絡み合い、大ヒットを記録しました。
今も、クリスマスシーズンには、どこかでこのメロディーが流れていますよね。
サビの部分はあまりにも有名ですが、それにつながる歌詞もすごくいいんです。
すれちがう 時の中で
あなたとめぐり逢えた
不思議ね 願った奇跡が こんなにも側にあるなんて
出典: https://www.uta-net.com/song/12633/
「願った奇跡」がこんなにも近くにあった...そうMISIAは歌っていますが、その前にあるのは「すれちがう時の中で」というフレーズ。
現代社会は、多くの人との関係なしでは生きていけない社会です。出会いも別れも多過ぎて、残念ながらいちいち立ち止まってはいられない世界。
でも、その中で貴方と逢えた偶然に感謝をするところからこの歌は始まります。
だからこそ、「You're everything」。これ以上のラヴソングはありませんね。