我が良き友よ
かまやつひろしさんが1975年にリリースした「我が良き友よ」。
軽やかなメロディーで、心地の良いフォークソングです。
かまやつさんの代表曲でもあります。
かまやつさんはこの曲を聴いて「自身のイメージにそぐわない」と感じていたそうです。
しかし、時間が経つにつれ徐々に好きになっていったとのこと。
この曲には何か惹かれる理由があるのでしょう。
友との思い出
高校時代の友
下駄をならして奴がくる
腰に手ぬぐいぶらさげて
学制服にしみこんだ
男の臭いがやってくる
アー夢よ よき友よ
おまえ今頃どの空の下で
俺とおんなじあの星みつめて何想う
出典: 我が良き友よ/作詞:吉田拓郎 作曲:吉田拓郎
歌詞では、ある友人との思い出が描かれています。
まずは高校時代の友人。
学生服、腰に手ぬぐいを巻いて、下駄を履くというスタイル。
いわゆる「バンカラスタイル」です。
この服装の人はエリートとは異なり、少し荒々しいように振舞っていることが特徴です。
今でいうと不良のようなイメージでしょうか。
4行目の「男の臭い」という表現からも、男くさい様子が伝わってきます。
しかし、バンカラとジャンルに入る人たちは正義感に溢れており、慕われる存在なのです。
実はとても真面目で優しい「男らしい」というイメージ。
友はそのような男らしい人物だったのです。
歌詞の6行目。
自分と友は違う場所から同じ空、そして同じ星を見ています。
同じものを見て、一体どんなことを感じるのか。
そんなことを「語りたい」という気持ちが芽生えてきているのです。
大学時代の友
可愛いあの娘に声かけられて
頬をそめてたうぶな奴
語り明かせば下宿屋の
おばさん酒持ってやってくる
アー恋よ よき友よ
俺は今でもこの町に住んで
女房子供に手を焼きながらも生きている
出典: 我が良き友よ/作詞:吉田拓郎 作曲:吉田拓郎
時代は進み、お酒が飲める年代となりました。
歌詞の3行目「下宿」という言葉からも、親元を離れたということがわかります。
2人は大学生になったのでしょう。
今まで男くさかった友が、恋をしはじめます。
歌詞の2行目「うぶ」という言葉から、あまり恋には慣れていないことがわかるのではないでしょうか。
あまり慣れていない恋について語り合う2人。
お酒も飲みながら、とても話が盛り上がったのでしょう。
それから年月が流れ、その土地で結婚し、子供も生まれた主人公。
恋愛話で盛り上がっていたあの頃を懐かしく思っていることがわかります。
それと同時に、自分が成長しているということが伝わってきます。
ひらく距離
変わっていく価値観
男らしさと人が言う
おまえの顔が目に浮かぶ
力ずくだと言いながら
女郎屋通いを自慢する
アー夢よ よき友よ
時の流れをうらむじゃないぞ
男らしいはやさしいことだと言ってくれ
出典: 我が良き友よ/作詞:吉田拓郎 作曲:吉田拓郎
バンカラスタイルに身をつつんでいた高校時代。
そして慣れない恋愛話で盛り上がった大学時代。
そんな友が、女遊びを自慢するようになってしまったのです。
友が考える「男らしさ」とは、女性を身の回りに置き気持ちを充実させること。
高校時代のバンカラと比べると、とても印象が違うことがわかるのではないでしょうか。
主人公はショックを受けたでしょう。
自分が思っていた「男らしさ」とは全く違った考えを持った友。
年をとるにつれ、考え方が変わってしまうことは仕方のないことかもしれません。
そのことはわかっていつつも、友には「男らしさ」が何なのかを思い出して欲しいのです。
歌詞の7行目に主人公の気持ちがはっきりと書かれています。
「優しさ」が「男らしさ」であること。
昔の友に戻って欲しいと思う主人公なのでした。
仕事の友
家庭教師のガラじゃない
金のためだと言いながら
子供相手に人の道
人生などを説く男
アー夢よ よき友よ
便りしたため探してみたけど
暑中見舞いが返ってきたのは秋だった
出典: 我が良き友よ/作詞:吉田拓郎 作曲:吉田拓郎