「私はまた特別な存在だと感じるわ
自分はまったくなんでもないななんて感じる一瞬
私がいなくなっても誰も気付かないようなときに
あなたが私のことを呼んでくれる声を聴くわ
私は愛されていると感じるの そして私はとても特別な存在だと感じるわ」
自分がその場からいなくなっても誰にも気付かれないと気に病む人も多いでしょう。
小さなことを悔やんだり悩んだりしている私の姿。
こうした描写に等身大のティーンエージャーの真実が投影されています。
一人前の大人に成長すると他人の評価に揺るがない自分でいられるでしょう。
しかし若い人たちがこうした未熟な悩みを大切なことだと感じる気持ちはとても理解できます。
大人になることは鈍感になることでもあるでしょう。
若くて繊細な心の中で起きていることに寄り添う姿勢というのはアーティストとしても大事なこと。
永遠の13歳のような繊細さがないとアーティストにはなれないかもしれません。
この場面でも救ってくれるのはあなたです。
私はあなたに何をお返ししているのでしょうか。
おそらくあなたにとっては私の笑顔こそが大事な価値を持つものなのでしょう。
愛されているという自信が生まれると人は強くなります。
優しく自分を包んでくれる背もたれになるような人の存在はとても大事でしょう。
理想の愛というものは色んな形があるでしょうが、この「Feel Special」での愛も素晴らしいものです。
あなたは私の救い主
若さという寂しい春
자꾸 숨고만 싶어서
마주 하기가 싫어서
모든 게 의미를 잃은 듯이
내가 의미를 잃은 듯이 가만히 주저앉아 있을 때
出典: Feel Special/作詞:J.Y. Park "The Asiansoul" 作曲:J.Y. Park "The Asiansoul", Ollipop, Hayley Aitken
「私は隠れたかった
世界と向き合えなかった
すべてに意味がないような感じ
私も意味を失っているような感じ
私は座ったままそこにいたの」
歌詞はさらに私の心の暗さのようなものに焦点が当てられます。
一定の人が社会の中でこうした思いを抱えてしまうのは国や世代を超える普遍的なものでしょう。
いまの日本の若いリスナーもこうした思いを胸にしているはずです。
年長のリスナーにも過去を振り返ればこうした日々があったと人は多いでしょう。
若いうちの一過性の孤独な感情ではあります。
しかし残酷なことに若いうちは時間の流れがゆっくりしていることです。
ゆったりと流れる時間の中でずっとこうした思いを抱えていたら自然に心も風邪をひきます。
いつかこうした思いを克服できるのですが、若さに孤独な暗さを見つめてしまうのは不幸なことです。
かつて住宅顕信という25歳で白血病によって夭逝した俳人がこんな句を遺しました。
「若さとはこんな淋しい春なのか」
震えるほどにおそろしい若さと孤独の肖像がここに浮かび上がります。
「Feel Special」の私もこうした寂しさを味わっているのです。
おそらく「Feel Special」の私は恥じらいというものに敏感なのでしょう。
こうした恥じらいは成長してゆくうちに鈍磨してゆきます。
それが成長というものの効用かもしれません。
ただ恥じらう感性があるからこそ大切なことに気付けたのも事実でしょう。
繊細であることそれ自体は悪いことではありません。
負けることもあるでしょうが耐えるときという時間を人生の中で持てる人はいずれ強くなります。
この歌詞は絵空事ではない
그때 내 앞에 나타난 너의
따뜻한 미소와 손길에 (hey)
Everything's alright
초라한 nobody에서 다시 somebody
특별한 나로 변해
出典: Feel Special/作詞:J.Y. Park "The Asiansoul" 作曲:J.Y. Park "The Asiansoul", Ollipop, Hayley Aitken
「あなたはそのときにも隣に現れてくれた
温かい笑顔と差し伸べられた手
すべてが最高だわ
冴えない誰でもない状態から一人前の人へと
特別な私になれる」
いつだって私はあなたの愛に救われます。
あなたがいてくれることは私の青春そのものまで救ってくれるのでしょう。
この若い恋愛がいつまで続くかは未知数です。
歌詞の中でも永遠の愛を誓い合うような瞬間は描かれません。
それでも青春時代にお互いの愛を確かめ合える人と出会うことは本当に一生の財産になります。
いま独りだと思い悩んでいる人にもいずれ愛する人が現れますから安心して欲しいです。
少子化の原因にもなっている若者の草食化。
背景には若者の貧困化があるのでしょう。
どうしても恋愛に対して時間もお金もかけられない事情があるのは不幸な時代です。
しかし愛に対して積極的でなくても運命の出会いというものは必ずあるでしょう。
そのときに愛する思いを抑えてまで経済的な事情を守り抜く人はおそらくいません。
愛というものの歓びを知っている人と知らない人との間で二極化が進みそう。
しかし時代の風潮というものはいつか変わります。
嫌な閉塞感が好転する日を願いましょう。
いわゆるリア充を羨むなんて虚しいことです。
愛にめぐりあったら自分自身をそこに賭けてみてください。
「Feel Special」で歌われることは決して絵空事ではありません。
TWICEからのサンクスメール
You make me feel special
세상이 아무리 날 주저앉혀도 (앉혀도)
아프고 아픈 말들이 날 찔러도
네가 있어 난 다시 웃어
That's what you do
出典: Feel Special/作詞:J.Y. Park "The Asiansoul" 作曲:J.Y. Park "The Asiansoul", Ollipop, Hayley Aitken
「あなたは私を特別な存在だと感じさせてくれる
世界がどんなに私を落ち込ませても問題ないの
痛い言葉たちが私に向けられても
私はまた微笑むことができるの なぜってあなたがいてくれるから
それこそあなたがしてくれること」
情報量の多い「Feel Special」の歌詞ですがそろそろ終盤に差し掛かります。
いよいよあなたの正体についてもう一度問い直してみましょう。
ここでTWICEは愛の効用や素晴らしさについて歌っています。
その愛が実際の恋愛をモチーフにしていることは確実でしょう。
ただ一方でこの解釈だけでは収まらないあなたの可能性についても考えたいです。
TWICEを日々支えてくれているリスナーであるあなたへの感謝という理解はどうでしょうか。
メンバーが心ない言葉によって傷付けられるようなことがあっても応援を止めないリスナーへの感謝。
TWICEから届けられたサンクスメールのような趣が「Feel Special」にはあります。
あなたは二人称単数ではなく二人称複数かもしれません。
もしくはリスナーひとりひとりと向き合ってそれぞれに感謝する意味かもしれないです。
あなたの容貌について何の描写もないのですからリスナーは自分の姿をそこに投影できます。
TWICEもこうした楽しみ方を「Feel Special」で用意したはずです。
なぜならTWICEのメンバーを勇気付けてくれるのは常にリスナーたちなのですから。
あなたはTWICEに積極的に愛を授けてくれる存在です。
それはリスナーというものの潜在能力に裏付けられます。
リスナーの胸にあるのは気に入ったアーティストへのリスペクトと愛です。
この愛はアーティストのもとに届いて彼女たちを笑顔にするポテンシャルがあります。
「Feel Special」は未来を照らす
「明けない夜はない」という単純なこと
Uh, you make everything alright
구름이 쫙 낀 햇살 한 줌 없는 날
네가 바로 나의 shining light
That's what you do
아무리 어두운 밤도 다시 낮
I owe it to you
Because you make me feel special
出典: Feel Special/作詞:J.Y. Park "The Asiansoul" 作曲:J.Y. Park "The Asiansoul", Ollipop, Hayley Aitken
「あなたがすべてをよくしてくれる
陽の光さえない曇った日にも
あなたは私の輝く光
それこそあなたがしていることよ
あまりに暗い夜が朝になる度に
私はあなたのお陰になる
なぜってあなたが私を特別な存在だと感じさせてくれるから」
途中にリフレインが挟まれます。
繰り返しになりますので訳出は割愛いたしました。
あなたについては先ほど見たとおりに愛するパートナーとリスナーの二重の解釈ができます。
愛するパートナーへの感謝の言葉が並びます。
一方でリスナーへの賛辞としても解釈できるのです。
基本的に私の心にある暗さは変わりがありません。
ある種の暗さ若さというものの宿命であると同時に私という人格にとっても変わらない特徴です。
ただし、このまま暗い性格を抱え込んで恋人だけに孤独を癒やされるということは不健康でしょう。
私もいつかこうした季節を卒業する日が来ます。
一方でTWICEの目の前にはたくさんの現役ティーンエージャーがいるのです。
この中で悩み多き人たちに語りかける心根の優しさというものは大事でしょう。
この記事でも伝えたいことは「明けない夜はない」という単純な真理です。
ありきたりな言葉ですが実際の世界の在りようというものはいつの時代も変わりません。
いつだって自分を変えるチャンスが有るのですから孤独に耽溺する時期もいずれ卒業できます。
リスナーでいることでアーティストのもとにパワーを届けられる自分の可能性を信じてみましょう。