深すぎるルーツを持つ楽曲?!

キラキラよりもギラギラ・ギトギトな世界です。1度踏み込んだら抜け出しは禁止。暑苦しいではなく熱い心を歌います。

歌に出てくる主人公は、今ではレアキャラと後ろ指をさされるかもしれません。

 実はあるアーティストが先行して発表をしていた曲です。

止まることを知らない歌声を継続中

「アンダルシアに憧れて」を作詞作曲したのは真島昌利さん。当初参加していたTHE BREKERSで歌われ、1989年10月にこの曲で真島さんはソロデビューしています。

 伝説のバンドTHE BLUE HEARTSメンバーとしての印象が強い真島昌利さん。実はアイドルにも曲が提供できる、幅広い守備範囲を持つ、才能溢れるアーティストだったのですね。

 THE BLUE HEARTSの代名詞「TRAIN-TRAIN」は真島さん作詞作曲の作品。1988年11月にリリースされました。THE BLUE HEARTSと聞くとやんちゃなイメージが先行しますね。

 中学2年世代がイヤホンで聞く曲ベスト3に常にランクイン。そこからアンダルシアという地名は、少し距離がある気がします。

【アンダルシアに憧れて/近藤真彦】ルーツは○○にあった!歌詞を徹底解釈♪当時のYouTube動画も☆の画像

真島さんの活動と才能は1つのグループや楽曲に納まりきれません。やんちゃを正義感に変えて、アンダルシアで活躍する人物を創り出すのは朝飯前…ルーツを1つに絞るのは難しそうですね。

「アンダルシアに憧れて」徹底解説していきます。スペイン語では"Anhelo Andalucía" lo explicará a fondo.

かっこいいモノを全部のせた歌詞がすごい?!

アンダルシアに憧れて。まずアンダルシアを調べてみました。

  アンダルシアとは:スペインの州の1つ、州都はセビリア。スペイン南部にあり地中海・大西洋に面しています。温暖で高い晴天率の地域。

  スペインの中でも人気の観光都市です。イスラム教徒の支配を受けた歴史もあるので、エキゾチックな建物や街並みも見るべき所。アンダルシアに憧れる気持ちも良くわかりますね。

   アンダルシアを妄想しながら、歌の世界に迫ります。

 

エッジのあるカタカナがてんこ盛り

アンダルシアに憧れて バラをくわえて踊ってる
地下の酒場のカルメンと 今夜メトロでランデブー
ダークなスーツに着替えて ボルサリーノをイキにきめ

出典: アンダルシアに憧れて/作詞:真島昌利 作曲:真島昌利

スペインといえばフラメンコ。フラメンコの始まりはアンダルシア地方の踊りから始まったという説があります。アンダルシアはスペインの中でもフラメンコが盛んな地域です。

 「フラメンコ=口にはバラ」と刷り込まれていますね。ほんとは「カシー」というアカシアの仲間の黄色い花。入手しにくい花なので、代わりにバラが選ばれました。

 舞台がスペインであれば登場人物はカルメン。セビリアにはメトロも走っています。

地下鉄を使ってフラメンコの踊り子と出かけるアポがあった夜のお話です。ホントなら心躍る1日になるはずでした。

思いがけない方向に展開をしていく前触れは、いで立ちにも表れているのでしょうか?

 デートファッションも決め過ぎ位に決めました。スーツにボルサリーノ。ご存知ですか? ボルサリーノは1857年創業のイタリアにある帽子のメーカー。

 公式サイトから誰でも購入可能ですよ。ニット帽なら15000円からあります。スーツに合うフェルトハットは33000円位からあるので、ぜひ覗いてみてください。

 歌い出し3行は67文字ですが、そのうちカタカナが35文字。(伸ばし棒込み) 真島センスで選ばれたカタカナは、この後の筋立てが、聞き逃し禁止であることを示唆していますね。

待ち合わせの時間だけれど、指名があれば駆け付ける!

スーツとブランドものの帽子、そしてお気に入りのクツで準備万端。ドアノブに手をかけようとしたときに電話がなります。1989年ですから家電ですね。

 リ・リーと響いた不吉な呼び出し音に足が止まります。

上からの命令には逆らえない世界

電話はボスからでした。いつもは強気なボスの声が震えています。電話の内容は、無視をすることが出来ないもの。組織を守るためには、仕方がありません。

ヤバイことになっちまった トニーの奴がしくじった
スタッガーリーは言うのさ 今夜 港で決着を
立ち入り禁止の波止場の 第三倉庫に8時半

出典: アンダルシアに憧れて/作詞:真島昌利 作曲:真島昌利

仲間のトニーが大きなミスをしてしまったようです。次に出てくるスタッガーリー。この言葉の意味を私も知りませんでした。歌のカギを握っています。

 スタッガーリーとは:スタッガーリー「スタッガー・リー(Stagger Lee)」という歌手の名前。1895年のクリスマスイブに口論相手を銃殺する事件を起こしました。

 ブルースを歌う歌手と同時に人種差別が当たり前のアメリカに翻弄された彼の人生。「スタッガーリー」は抵抗をする恐ろしいアフリカ系アメリカ人を例える説もあります。

今ならばDQN系にカテゴライズされた方と思ってください。手強い抵抗相手の代名詞としてスタッガーリーをブランドのようにここへ持ってきました。

グーグルもヤフーもない時代に、この言葉を出してくる真島さんの見識に脱帽です。

 闘う場所として相応しい港を指定してきました。しかも立入禁止、波止場の第三倉庫です。2時間ドラマ的設定ですね。港へ着く時間は厳守です。

 待ち合わせの時間は迫っています。伝言を頼む人も携帯もありません。

誰か彼女に伝えてくれよ
ホームのはじでまってるはずさ

出典: アンダルシアに憧れて/作詞:真島昌利 作曲:真島昌利