メジャー・デビュー
1st『mol-74』
2020年にデビュー10周年を迎えるmol-74(モルカルマイナスナナジュウヨン)。
2012年以来、2018年までに7枚のインディーズ・ミニアルバムをリリースしています。
インディーズロック・シーンで独自のスタイルを貫いてきた彼ら。
2019年4月、そのmol-74がついにメジャー・デビューしました。
インディーズ時代のナンバーを新たにレコーディングし直して、新曲を加えたフルアルバムです。
今回はアルバムの1曲目に収録されている「ノーベル」を取り上げたいと思います。
北欧ポストロックのテイスト
独特な空気感
mol-74のサウンドはしばしば北欧ポストロックに例えられています。
「ロックの楽器をロックとは違う目的に使用し、ギターをリフやパワーコードのためでなく、音色や響きをつくるために使う」音楽を指している。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/ポストロック
ポストロック自体、その音楽性は時代やバンドによってさまざま。
その中でも北欧ポストロックはアイスランドや北欧諸国のバンドを指しています。
北欧ポストロックを代表するバンドがスウェーデンのImmanu El。
ボーカル、ギター、ベース、ドラムが一体となってメロウなサウンド空間を構築しているのが特徴です。
うまく言葉で表現するのは難しいのですが、音に色を感じさせる。
そうした独特な空気感がmol-74のサウンドにも感じられるのです。
アルバム『mol-74』の初回限定生産盤にはMVを収録したDVDがセットになっています。
このMVはいずれも色が映像の重要なモチーフになっているのが一目瞭然。
ノーベル
言葉の響き
「ノーベル」は2014年のミニアルバム『ルリタテハ』に収録されていたナンバー。
ルリタテハ(瑠璃立羽)は蝶の名前です。
タイトルの「ノーベル」はどういう意味でしょう。
まず浮かぶのは、あのノーベル賞。
ノーベル賞を創設した北欧はスウェーデンの発明家です。
いわずと知れたダイナマイトの発明家。
ノーベルは北欧系の男性の名前以外に意味はありません。
作詞を担当するボーカル、ギターの武市和希はmol-74のバンド名に意味はないと言っています。
バンド名の「mol」は単位の「Molecule」の短縮系とされていて、本来の呼び方のモルチュールを和製英語っぽく「モルカル」という呼び方に変えている。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/Mol-74
おそらくタイトルの「ノーベル」も言葉の意味ではなく、響きで選んだのでしょう。
曲はアルバム『mol-74』のリリースに合わせて再レコーディングされています。
合わせて、新たなに撮影されたMVがアルバムの発売に先行して3月1日に公開されました。
mol-74のサウンド
ファルセット
mol-74のサウンドを特徴づけているのは武市和希の独特なファルセットボイス。
女性ボーカルを思わせるようなキーの高い声が印象的です。
同じファルセットボイスでも女王蜂のアヴちゃんと比べると、もっとマイルドな響きに聴こえます。
バンド編成はボーカル、ギター、ベース、ドラムのオーソドックスな4ピース。
ボーカル以外の楽器は際立ったソロパートがあるわけでもなく、全体としてのまとまりが重視されているようです。
でも、細かく聴き込むとテクニックはかなりしっかりしています。
それでいて、全体のサウンドはとても心地よく、繰り返して聴きたくなってくるから不思議です。