両A面のドラマ主題歌!

「離郷の歌」は、テレビ朝日系テレビドラマやすらぎの刻〜道」の主題歌として制作された楽曲です。

脚本家、倉本聰さんはかつて人気ドラマ「北の国から」シリーズの挿入歌として中島みゆきさんの楽曲を採用。

今回も倉本聰さんの熱烈オファーを受けて、楽曲が完成しました。

タイトルの「離郷」とは文字通り、「郷里を離れる」こと。

物悲しい中にどこか優しさを感じさせる楽曲です。

どの世代の人の心にも懐かしい郷里の情景が思い浮かぶのではないでしょうか。

現代的ではない”郷里”の存在

この歌の主人公は郷里を離れており、その郷里に思いをはせています。

現代的な「一人暮らし」「単身赴任」といったライトな別れではありません。

山村を出ていくようなイメージで歌詞を見ていくと良いでしょう。

主人公の胸を打つ、郷里の歌

屋根打つ雨よりも 胸打つあの歌は
二度とは戻らない 宙の流れ

出典: 離郷の歌/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき

最初のフレーズです。

何となく、トタン屋根を叩く雨が降りしきる夜をイメージさせます。

しかしその雨よりも胸を打つ歌がある。

郷里の歌でしょうか。

今ではその街々に土着の歌が存在している、ということは珍しいでしょう。

しかし、主人公の生まれ育った場所ではこういった歌があったようです。

その歌が戻ることはありません。

國を離れたのち、郷里には二度と戻らないことをいっているのでしょう。

その理由は分かりませんが、並々ならぬ事情を感じさせます。

「宙(そら)」が意味するものとは?

最後の「宙」が通常使用する「空」ではありません。

実は「宙」には「過去・現在・未来に及ぶ無限の時間」という意味があるのです。

この時間の流れの中にあって、戻らない、ことを強く意識しているのでしょう。

夢の中の郷里

何ひとつ変わらず人々は呼び合い
応える我が声に 夢は覚める

出典: 離郷の歌/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき

冒頭のフレーズはやはり夜で、主人公は夢の中にいたようです。

夢の中では、主人公が國を出た時と何も変わらずに郷里の人々が呼び合っています。

それは非常に懐かしい風景。

しかし、人々は呼び合っているのに、その声に応えようと自分が声を発したところで夢が覚めてしまいます。

つまり、自分と郷里の人々は夢の中であっても会話することすらできません

それほどまでに、この別れというのは主人公にとって、重い出来事だったのです。

やむを得ない、別れ

離れざるをえず離れたものたち
残さざるをえず残したものたち

出典: 離郷の歌/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき

さらに主人公の気持ちは募ります。

自分は郷里の人と離れたくて、郷里の人を残したくて、そうしたわけではありません。

なぜそうなってしまったのかは定かではありませんが、 差し引きならない事情があったのでしょう。

希望に満ちたつながりと切ない決意