ただ愛し合っているだけなのに
forbidden lover… 淡い記憶
強く抱いても重なり合えぬ色彩
息をひそめ誓う
甘い恋の果ては予期せぬ時の悪戯
出典: forbidden lover/作詞:hyde 作曲:ken
この恋人同士は、戦争が始まる前から結ばれていたのかもしれません。
きっと国をまたいでの遠距離恋愛だったのでしょう。ロマンチックですね。
しかし意図せずして、その国同士の戦争が始まってしまった。
互いに愛し合っていたのに…戦争のせいで会うことさえままならなくなってしまった。
そんな悲しい現実のことを、4行目最後「時の~」という言葉で表現しているのでしょう。
いまにも消えそうな命の灯
ここで力尽きるわけにはいかない
燃え上がる炎に取り囲まれ 崩れゆく船に命つかまれ
怯えた瞳は天を仰いで 叫ぶ神の名を
出典: forbidden lover/作詞:hyde 作曲:ken
戦争は終わるどころか、その激しさを増すばかりです。
多くの建物が壊され、多くの人が命を奪い、奪われ、生きることが困難な世界。
そんな国で主人公は、必死に相手の女性と生き延びようとしていました。
ここで冒頭の歌詞を思い出してみてください。
主人公の男性はわざわざ、航海には向かない夜遅い時間に海へ繰り出していましたね。
危険そうに見えて安全な時間を狙って船を出したはずなのに、ここではその船が燃えています。
彼女に会えると、喜びでいっぱいだった船は、見るも無残な姿になってしまいました。
国同士の戦争。そんな不条理に負けてたまるか。
そのような想いで、彼女の待っている国へと渡ろうとしたのかもしれません。
しかし彼が乗った船は非情にも争いに巻き込まれ、燃え上がってしまいました。
次々に火が燃え移り、沈んでいく船。その残骸に必死にしがみつき、生きながらえようとする男性。
しかし心のどこかで、もう無理なのではないかという諦めの気持ちも抱き始めました。
まだ死にたくない。そう思いながらも、死を身近に感じ始めている。
その恐怖に怯えながら、それでもまだ諦めきれないと、天の神に祈りを捧げます。
どうか命を助けてほしい。どうか生きて、彼女のもとへ行かせてほしい。と…。
どうかこの想いだけでも届いてくれ
空高く舞い上がれこの心 渦巻いた悪い夢より高く
解き放つ貴方へのこの想い 遠い地へ輝きを放って
新たなる国に やがて来る日にも
同じ道をまた通るだろう
出典: forbidden lover/作詞:hyde 作曲:ken
空に舞い上がってほしいと願うのは、主人公自身の彼女に対する深い愛情です。
それと対照的なものとして描かれている「渦巻く悪い夢」は、戦争という悪夢のことでしょう。
自分が彼女に対して抱いている強い、深い想いが、戦争などという不条理に負けず届いてほしい。
そんな願いが込められているように感じられます。
2行目にもあるとおり、主人公の強く深い愛情は、彼女が住む国に向かって放たれました。
これは想像にすぎませんが、男性は先ほどのフレーズにあった船の沈没で、命を落としたのではないでしょうか。
しかし死んでもなお、相手の女性に対する愛情は変わらなかった。
だからこそ「死んだ人が星になる」というように、何かそういった手段でそのことを伝えようとした。
そう捉えると、1~2行目の内容がしっくりくるのです。
そしてそこに続く3~4行目にも、女性に対する深すぎる愛情が現れています。
ここでは、いつか自分が生まれ変わった時には…という願いがこめられています。
「新たなる~」は自分がいつか生まれ変わる国、「やがて来る~」は自分が生まれ変わる、まさにその日。
同じ道ということは、「生まれ変わってもあなたに会いたい」「今度こそ結ばれたい」ということです。
何度だって貴方のために命を投げ出せる。
たとえ生まれ変わったとしても、自分はそれほどまでに深い愛を持っているんだ。
男性の純粋な気持ちが伝わりますね。
切ない男女の恋物語
hydeさんらしい詩的な表現が並ぶ、隠れた名曲『forbidden lover』。
歌詞ではあえて詳細に表現しないことで、聴く人が自由に解釈し、想像できる余地を残してくれていましたね。
今回は、心がギュッと締め付けられるような、でもとても美しい、そんな男女の恋模様が描かれていると解釈しました。
しかしもしかすると、これ以外にも様々な解釈ができるかもしれません。
ぜひあなたなりの解釈を見つけながら、この楽曲を楽しんでみてください。
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