逢いたくて せつない夜には
風を感じて 君を想う
淋しくて 眠れない夜には
街に出て 君を思う
出典: もう君だけを離したりはしない /作詞:上木彩矢 作曲:川本宗孝
冒頭の歌詞。
逢えないという言葉から、君はすぐに逢えない、もしくは一生逢うことができない存在であることがわかります。
そんな君をおもうときは必ず夜。
夜は自分の心と向き合い、色々と考えてしまう時間。
主人公も孤独な気持ちに悩まされてしまいます。
そして、そんな孤独な夜には必ず風や街の喧騒から君をおもいだすのです。
2つのおもい
ここで印象的なのは、「想う」と「思う」の2つの表現が使われているところです。
この違いは身体(心)で感じているか、頭で感じているかという点。
逢いたくて身体で風を感じ、君を感じているときは「想う」。
風が肌に柔らかにあたる感触から、逢えない君を心に映し出しています。
一方、淋しい夜には街に出て、そこで2人の思い出を記憶として頭で辿る主人公。
こうして頭で君のことをおもいだし感じているときは「思う」と表現されています。
流れ星を見て決意。祈ったこととは
流れ星1つ 見つけたよ
立ち止まった時には 1番に抱きしめて欲しい 星空に
出典: もう君だけを離したりはしない /作詞:上木彩矢 作曲:川本宗孝
孤独な夜に星空を見上げた時に偶然出会った流れ星。
この流れ星を、主人公は君に重ねて、願い事をします。
それが歌詞の2行目の言葉。
自分がしょげて前に進めなくなったときは、その腕でしっかりと抱きしめてほしい。
そんな純真な愛の気持ちが伝わる願いです。
「抱きしめて」と歌詞では表現されていますが、既に君は逢えない存在。
よって、「そばで見守っていてほしい」という意味として受け取ることができるのではないでしょうか。
強い意志と決意。
「離したりはしない」の意味とは
もう君だけを離したりはしない
涙はYesterday
出典: もう君だけを離したりはしない /作詞:上木彩矢 作曲:川本宗孝
星空を見て君に願いを込めた後に、強い決意を打ち出すサビ部分。
「君を離さない」「君だけを離さない」等と違う、少し変わった表現です。
これは「君だけは決して離さない」という意味に捉えられることもできます。
しかし、「離した」という過去形に注目すると違った意味にも解釈できます。
例えば、主人公は過去に寂しさを募らせ、君を心から押し出し離れてしまったことがあるのではないでしょうか。
しかし、大切な思い出を無理に忘れようとすることは余計苦しさが募るだけ。
もうそんなことはせず、痛みも胸に刻み、一生君のことを忘れない、離さない。
そんな思いとして解釈すると、より曲全体の強い決意がわかるのではないでしょうか。
過去を悲観して振り返らず、思い出として胸に刻んでいこう。
そんな思いも最後の涙を振り切った言葉から伝わってきます。
いつか笑顔で眠れる日がくるように
君がくれた言葉で 笑顔で眠りにつくまで
出典: もう君だけを離したりはしない /作詞:上木彩矢 作曲:川本宗孝
サビの最後はこの言葉で締めくくられます。
淋しく辛く眠れなかった夜。
しかし、そんな気持ちを受け入れ、君の思い出(与えてくれた優しい言葉)を胸に刻み、眠りにつく。
そこにあるのはもう昨日までの涙ではなく、決意を秘めた穏やかな笑顔です。