MVの「でんでん」

そんな「でんでん」の姿を投影するように、MVの主人公もまた、屋台を引いて歩いています。

大きく重たい荷物を引きながら歩くのは、今も昔も変わらず大変なもの。

それでも、汗をかきながら地道に進んでいく彼。

その様子は、映画の内容だけでなく人生を投影しているようにも思えます。

旅をしながら、歌を

そんな旅の最中に、曲の中ではある一つのことを行っています。

歌をうたって

出典: でんでん/作詞:川西幸一,奥田民生 作曲:奥田民生

そう、「うたう」ことです。

しかし、重い荷物を引きながらさらに声を出して歌うのは、なかなかに大変なもの。

それでもどうして「うたう」のでしょうか。

「でんでん」は何処へ

そしてこの曲のもう一つの謎。

それはこの旅の目的地です。

目指すは新天地 何もないところ
見たことない花が咲いてるところ
声と足音が空に響き渡ってってるところ

出典: でんでん/作詞:川西幸一,奥田民生 作曲:奥田民生

引っ越しは確かに、「新天地」に向かうために行うものです。

しかし通常ならば、目的があってその地へ向かうもの。

その場所がどんな所かわからなければ目的も持てませんし、それが達成されるかもわかりません。

それなのにどうして、誰も、もちろん自分自身でさえ、見たこともない場所へと向かうのか。

それは映画主題歌という枠組みを超えた、この曲の大きなテーマなのです。

そして恐らく、ユニコーンというバンドにとっても。

「でんでん」の進む道

今と先を見据えて

春夏秋冬東西南北
ツノ出しヤリ出しでんでん進む

出典: でんでん/作詞:川西幸一,奥田民生 作曲:奥田民生

童謡「かたつむり」にもあるように、でんでん虫はツノを出すもの。

その先端にあるのは彼らの目です。

いっぱいまでツノをのばすことで、周りの景色と自分の行く先を見つめているのでしょう。

限りある時間

のんびりしている時間はないが

出典: でんでん/作詞:川西幸一,奥田民生 作曲:奥田民生

でんでん虫はゆっくりのんびりと進みます。

しかしこの曲の主人公は、ゆっくりしていては時間がなくなってしまうと思っているよう。

新天地へ向かう旅に、タイムリミットがあるということでしょうか。

それでも焦る様子はなく、歌を歌う余裕すら見せているのも、また不思議な話です。

曲の中の「でんでん」