Hump Back「僕らは今日も車の中」
彼女たちの音楽
3人によるシンプルながら強度の高いサウンドと、それに呼応するかのような林萌々子の歌声。
そんな音の集合体は、多くの人を魅了して止みません。
しかしながら、彼女たちの魅力はそれだけに留まらないのです。
彼女たちを語るのに欠かせないのが、若さ故の苦悩を書き綴ったその歌詞です。
ガールズバンドという枠では語りきれないのが彼女たち。
今回は、そんな彼女たちの1曲をご紹介します。
「僕らは今日も車の中」を紹介
Hump Backの音楽から今回は「僕らは今日も車の中」の歌詞を考察し、解釈していきます。
これはメジャー1stアルバム『人間なのさ』のラストナンバーとして収録された楽曲です。
Aメロとサビというとてもシンプルな構成であるこの楽曲。
彼女たちの固い意志を表すようなストレートさが、無邪気な魅力を放っています。
また、彼女たちの生活を写し取ったその歌詞は、私たちにも今という時を強く意識させるのです。
この記事をご覧頂ければ、バンドマンとして命を燃やす彼女たちをより深く知れることでしょう。
それでは早速、1番の歌詞から解釈していきます。
1番
Aメロ(1番)
愛だの恋だのわからない 無い物ねだりは可愛くない
いつでも一歩先にいるあいつの 一歩後ろを歩いている
シスターマザーブラザーファザー 僕らの旅はまだ続きそうです
お変わり無いですか?そうですか。お体にはどうかお気をつけて
出典: 僕らは今日も車の中/作詞:林萌々子 作曲:林萌々子
20代の女性と切っても切り離せない世間のイメージ。
それが「愛」や「恋」といった言葉です。
しかし、彼女たちはそういったものから意図的に距離を置いていることが分かります。
自分たちのバンドを大切に思い、その「乗り物」に乗ってやるべきことがある。
一般的に、収入が不安定な職業といわれがちなバンドマン。
しかし、彼女たちはそんなことは気にしません。
家族を気にかける暇もないくらい、自分たちにやりたいことは沢山ある。
メジャーという舞台で勝負することになった彼女たちからは、そんな気持ちの高まりが伝わってきます。
雪の町 夏の町 眠らない町 津々浦々 虎視眈々
明日はどうしようって相談 セットリストはそのままで
高速道路眠くないかい?睡眠とって運転再開
次の町まであと少し 僕らは今日も車の中です
出典: 僕らは今日も車の中/作詞:林萌々子 作曲:林萌々子
このパートでは、彼女たちの生活をそのまま書き記しています。
ライブを終えれば、自分たちで運転する車に乗って次の場所へ。
バンドという共同体の中で試行錯誤する毎日。
そんな彼女たちのリアルが伝わってきます。
彼女たちはバンドという車をも同時に動かしているのです。
メンバー同士、お互いを燃料にして頑張る。
彼女たちの絆をここから垣間見ることができます。
サビ(1番)
グッバイ ユーライ 僕らの夢や足は止まらないのだ
グンナイ オーライ 僕らの幸せは僕らだけのものだ
出典: 僕らは今日も車の中/作詞:林萌々子 作曲:林萌々子
このパートからサビになります。
1行目の「グッバイ〜」という言葉が印象的です。
ツアーの中で出会った人々に対しての別れの言葉に聞こえます。
同時に、これまでの自分たちの活動を振り返っているようにも感じるフレーズです。
彼女たちはライブを終え、また新たな地へと向かっていきます。
それは音楽においても同じです。
今まで培ってきたものによってまた新しい音楽を作る。
彼女たちの旅はそうやって続いていくのです。
2行目の「僕らの〜」は、Hump Backは自分たちのものだという宣言に聞こえます。
メジャーに活動の場を移したHump Back。
規模が大きくなれば関わる人も増えます。
そんな中でも、昔と同じように自分たちを見失わずにいよう。
そう自分たちに言い聞かせているかのようです。