グルーヴ感あふれるお別れソング
モダンなシャッフルビートに淡く切ない想いが綴られた工モーショナルナンバー「Evergreen」など全12曲を収録。
出典: https://sirup.online/wp/discography/1st-album「feel-good」/
公式サイトの紹介にあるシャッフルビートとは「タッカ・タッカ」と跳ねるリズムのことです。
ブラックテイストあふれるSIRUPの歌声と相まって、心地よいグルーヴ(ノリ)が生まれています。
歌詞には別々の道を歩き出した僕と君の物語が描かれているので、一般的には失恋ソング。
あるいは男女の恋に限らず、何らかの理由ですれ違った人間関係のお別れソングと幅広くとらえることもできるでしょう。
別れといえば、切なく悲しいもの。
ふいに涙がこぼれたり、どうにも気分がふさぎ込んだり、落ち込んで暗くなりがち。
こうした別れがテーマの「Evergreen」は当然エモーショナルなのですが、どこかカラッとしています。
ジメジメと湿った印象を受けないのは、シャッフルという跳ねるビートとグルーヴィーな歌声。
それからMVにもちょっとした秘密が隠されているかもしれません。さっそく見てみましょう。
SIRUPは自然に笑っている
お別れソングで笑顔?
ドラマ仕立てとかバンド演奏のような派手さはなく、実にシンプルなMVに仕上がっています。
監督を務めたのは映像作家の笠井裕輔さん。
SIRUPでは「Synapse」「Do Well」「Pool」などのMVも手がけていて、それぞれテイストが異なります。
上記の中では、別れがテーマという「Evergreen」のMVのみ、作り込んだストーリーも設定もありません。
特徴的なのはSIRUPの自然な笑顔。SIRUPはお別れソングを歌いながら笑っているかのようです。
まったく無理をしている様子はありません。これはいったいどういうことなのでしょうか。
MV制作秘話
こちらは「Evergreen」のMV制作現場に密着したという動画です。
これによるとSIRUPの笑顔があふれているのは親しい人が撮影した部分ということがわかります。
その撮影者はSIRUPの実のお母さん、お兄さん、作曲・プロデュース担当の森善太郎さん。
プロのカメラマンがプロ用の機材を使って撮影した部分もあり、映像の質感も異なります。
撮影者や撮影機材に違いがあるため、SIRUPの表情は自然と変わっているというわけですね。
これこそが監督の演出。
親しい間柄のとき、離れたとき、それぞれの雰囲気がナチュラルにかもし出されています。
「Evergreen」のテーマである別れを、ストーリー仕立てではなく、等身大のSIRUPが体現。
SIRUPらしさを引き出すための監督のアイデアが秀逸だったということですね。
1番と2番の対比
大ざっぱに「イントロ→1番→2番→3番→アウトロ」という構成になっている「Evergreen」。
カメラはイントロで建物の中へ入り、アウトロで建物の外へ出ていくという流れです。
1番の特徴
- 撮影者&撮影機材:プロ
- SIRUPの笑顔:少ない
- 現在:別れたあと・ひとり
1番はプロカメラマンが撮影、2番はプロ以外が撮影、3番は1番と2番が混ざった状態。
さらに撮影者に応じて、撮影機材も1番がプロ用、2番がスマホなどと画質にも違いがあります。
またSIRUPと縁のある撮影場所は「今の生活→懐かしい空間→今の生活」と行き来するイメージ。
プロ撮影の1番ではSIRUPの笑顔は少なく、別れたあと、ひとりの現在を象徴しているようです。