強迫観念に踊らせる毎日
静寂に魘される様だ
嫌になっちゃうね
「AHAHAHA!」
笑わせてみてよ 全部愛したいね
Nice! 今の今までの全て幸福でしたと
別れの際に言えるように 私を愛しましょう
出典: No.7/作詞:大森元貴 作曲:大森元貴
会話の沈黙は特に嫌がられます。
強迫観念に駆り立てられるようにおどけ続ける私たち。
笑っていられることがそうした強迫観念の末であったならその笑顔は仮面でしょう。
この強迫観念は一生つきまとうのでしょうか。
笑うことだけが幸福の基準なのは少し違うのではないだろうか。
この社会の通念に対する大森元貴の疑念がうかがえます。
しかしサウンドは飽くまでもハッピーですし、歌い方もパーティー・ソングのような軽やかさ。
Mrs. GREEN APPLEらしいです。
この曲「No.7」はすべて皮肉で書き綴られています。
歌詞をそのままの意味で受け止めると正反対の意味になるのでご注意ください。
他人になりすますな
大事なものは何か確認
あの子の目に留まりたくて
自分じゃない「別の人」になるの
「かっこいい~!」馬鹿が言うな
「大切」はなんだろう
出典: No.7/作詞:大森元貴 作曲:大森元貴
自己啓発本などでは自分を変えることばかりが持て囃されます。
その延長で恋愛のハウツー本でも気になる異性のために自己を変えることを推奨されるのです。
しかし自分を変えてそれで愛されたとして、それは本当に自分が愛されていることになるでしょうか。
少しの自尊心があればこうしたジャンクな情報には惑わされないものです。
しかしそれでも自己啓発本や関連する情報誌が一大市場を築いています。
本当に大切なものは何なのかを問いただすような哲学者の著作は敬遠されてゆく。
こんな日本に誰がしたのかなと思います。
もう少し硬派な感性が主流であった時代は遠い日の面影。
旧い時代の遺物。
かっこいいことにこだわることは悪いことではないです。
しかしそこに生き方の理想を求めないと意味はありません。
付け焼き刃で自分を変えてしまうこと。
それは自分を見失っていることと同じです。
大森元貴の問いかけは重く正しい。
大切なものって何だろう?
眠る前の5分間でもいいので考えてみる習慣をつけたいものです。
本当に幸福であるとは
愛に素直でいよう
私なりに輝(ひか)りたくて
ハッピーを履き違えてしまうの
愛を抱ける人がいいな
自分は そう思う
出典: No.7/作詞:大森元貴 作曲:大森元貴
リフレインは紙幅の関係でカットいたしました。
申し訳ございません。
この辺りから歌詞の趣が変わります。
これまでの皮肉は後退して私たちが日頃押し殺している声が聴こえだすのです。
歌えるドラマーである山中綾華と大森元貴によるスイッチング・ボーカルが聴けます。
歌詞の趣の変化はこのスイッチング・ボーカルが鍵を握っているので聴き分けてみてください。
自分も周囲の中で目立っていたくて笑い続けてしまう。
そうして幸せであることを誤解してしまうことが素直に告白されています。
今の日本人の偽りなき本音でしょう。
また自身の中に愛を携えて生きてゆける人は本当の幸福を識っています。
大切なのは自分もそう成れる可能性があることから目を逸らさずに成長することです。
バラエティ番組のような馬鹿騒ぎはいずれ疲れるもの。
そこでの享楽的な騒ぎの中で自身を誤魔化しながら生きるのが正しいか。
あるいは胸に秘めた愛に素直に生きてゆくことの方が正しいのか。
答えは自明なものだと思います。
草食化や少子化の背景
もう一度恋を
愛おしい人が居ないとか
本当なら どうかしちゃったよ!!
周りを見渡して ほら
今を生きて なにを思うだろうな
出典: No.7/作詞:大森元貴 作曲:大森元貴
大森元貴の言葉はどんどんストレートになってゆきます。
若者の恋愛離れは日に日に深刻になってゆくのです。
特に成人男性の若年層の草食化が心配されています。
日本を衰退国にしかねない少子化問題とあわせて深刻な事柄です。
若者の貧困などの問題が横たわっているのですが、一方で若者は景気の良かった日本を知りません。
そのため今の景気が「失われた30年」と呼ばれていても何とかやりくりできるので実感を持てないのです。
ここ数年は特にGDPの伸びが先進国の中で最低水準になっていてもそれが普通と思ってしまう。
貧しさには気付いていないのですが恋愛に使う時間もお金も勿体ないという意識だけはあります。
中々、こんがらがった事情で一朝一夕には解決できないのです。
それでも周囲を見渡してご覧と大森元貴は歌います。
意識を外に向かわせるだけで人生が変わる可能性があるでしょう。
出会いのチャンスを日々逃していることに早く気付いて欲しいです。
子どもを生むことが目的ではありません。
普遍的な愛の力によって包まれて生きることが大事です。