天才同士のコラボレーション
中田ヤスタカ×米津玄師
perfumeやきゃりーぱみゅぱみゅなど多くのアーティストをプロデュースしている中田ヤスタカさん。
国内だけにとどまらず、海外のテクノポップやEDMなどにも幅広く関わっています。
そんな中田さんが今回のコラボに選んだアーティストが米津玄師さんでした。
米津さんは、独自の世界観で楽曲を制作しており、MVの動画再生数が1億回を超えているものもあります。
今や音楽業界を引っ張っていく存在の1人ですね。
そんな敏腕プロデューサーと新進気鋭のアーティストのコラボは当時かなり注目されていました。
楽曲「NANIMONO」
自分は何者なのか?
天才同士のコラボによって生み出された楽曲が「NANIMONO」です。
現代らしく、ハッシュタグだらけのジャケットが印象的です。
儚げな旋律から始まり、中田さんの都会的なサウンドが冷たさや鋭さを表現しています。
メロディーを聴いただけでも、暗い世界をさまよっている雰囲気が伝わってきました。
作詞は米津さんが担当しており、現代人の独特な感性が楽曲と非常にマッチしています。
実は米津さんは、他のアーティストとのコラボはこれが初めてでした。
初めて人が制作した楽曲を歌うことになり、とまどいや不安もあったそうです。
しかし楽曲は米津さんの予想を超えた完成度であり、お互いの魅力を上手く掛け合わせた作品でした。
米津さんはその後、DAOKOさんや菅田将暉さんなど、他のアーティストとのコラボ楽曲が増えたように感じます。
きっと中田さんとのコラボをきっかけに、自身の音楽性にも少し変化があったのではないでしょうか。
映画「何者」主題歌
朝井リョウ原作「何者」
楽曲「NANIMONO」は、同名の映画「何者」の主題歌になっています。
映画の世界をそのまま楽曲に落とし込みつつ、彼らの個性はそのまま。
そしてこの「何者」の原作者もまた天才の1人、平成生まれの直木賞作家、朝井リョウさんです。
映画化もされた「桐島、部活やめるってよ」など多くの作品が数々の文学賞にノミネートされました。
「何者」で直木賞を最年少受賞した朝井さんは現代の若者の感性を生かした作品が特徴的です。
この作品は就活中の大学生の物語で、上手くいかない現実や相手への嫉妬、心の闇が表現されています。
今まさに就活中の学生さんは共感できるかもしれません。
でも同時に見たくない現実まで見てしまうかも……。
豪華キャストで実写化
「何者」の映画には、5人の就活生が登場します。
主人公の二宮拓人を演じているのは佐藤健さんです。
彼は普通の大学生のように見えて、実は一番闇が深いんじゃないかな?と思ってしまいます。
拓人のルームメイト、神谷光太郎を演じているのは菅田将暉さんです。
そんな2人と三角関係にある田名部瑞月を有村架純さんが演じています。
就活だけでなく、恋愛においてもそれぞれ心に抱える闇が浮き彫りになっていくのです。
瑞月の友人の小早川理香は二階堂ふみさん、そして同棲中の宮本隆良は岡田将生さんが演じています。
とっても豪華な5人なので、それだけでも見る価値ありですね(笑)
決してスッキリする内容ではないかもしれませんが、誰もがどこかで共感できるように感じます。
SNSがここまで普及していない時代だったら、人間の闇はこんなにリアルには分からなかったでしょう。
現代人がこの映画と楽曲に共感する理由は、彼らがSNS上の人間関係の中で、もがきながら生きているからなのです。
映画に通じる歌詞を徹底解釈
人生の途中
踊り場の窓から人並みを眺めていた
僕らはどこへ行こうか階段の途中で
出典: NANIMONO/作詞:米津玄師 作曲:中田ヤスタカ
今まさに就活の真っ只中の彼らは、自分たちが進んでいくべき道を探しています。
他の人はどうやって就活しているのだろうか?と他人の動向がやたら気になるのです。
人の真似をしたところで上手くいかないのは分かっています。
でも思い描く個性は全く出すことができません……。
なりたい職業やなりたい自分像がしっかりあったとしても、叶うとは限らないのです。