現実を正しく捉えて理解することの大切さ
忌み嫌い続けていた筈の、無欲と空虚が胸を占める。
なんてこの身は頼りないのだろう。
あまりに何も無い。
出典: 生きる/作詞:椎名林檎 作曲:伊澤一葉
ずっとあったのに見えなかった。
見てこなかった。
それに気付いたことで一気に解放されました。
「なぁーんだ。そうだったのか。こんなことで悩んでいたのか。」
そういう思いですね。
しっかりと現実を見て思い至った答えですから、心身に乖離はありません。
しかし、乖離していた頃、絶望に打ちひしがれていた頃は、生きる気力を失っていたのです。
自分が生み出す過去や後悔が心を闇で支配し、囚われてしまったら、活動を停止したままずっと漂い続ける。
活動を再開した今だからこそ、そう思えるんだ、という俯瞰(ふかん)した見方ができるようになったのでした。
気付いてしまえば、大したことはなかった。
見えない不安に潰されず、先を見据えて現実を現実として受け入れればいいだけだったのだと。
過去の自分が思い描いていたほど大きな『何か』なんて未来にはないのです。
これまでしっかり歩んで来たからこそ、その先に開ける道は自分の身の丈にあったものであるはずですから。
それが期待外れだと言うのは違うのではないだろうか?
大きな対価を得るためには、大きな努力が必要で、そうやって努力してきた自分を責める理由はない。
だからこれからも、過去を認め、自分を認め、現実を受け入れながら目標を持って生きていこう。
この曲で言いたかったことはこういうことだと思います。
これでこの曲の解説を終わります。
まとめ
一人の人間が自分の内で自分自身と向き合う自己完結型の『生きる』の世界観。
いかがだったでしょうか。
底なしにポジティブな人にとってはちょっとよくわからないかもしれません。
しかし、そういう人も含めて随所で、共感できる部分はあったのではないでしょうか。
声だけで構成される1コーラス目のゴスペルアレンジは東京事変には斬新だったと思います。
しかし、自分自身との対話という意味ではこのアレンジもしっかりと意味を持っていたのです。
そこに鳴る音や、空白も全て曲であり、それらも歌詞の世界を表現するためのアレンジですからね。
そうやって歌詞の世界観を表現するチカラとセンスが恐ろしく高尚なバンド。
それが東京事変なのです。
この曲もアルバム曲ですが、アルバム、シングルに限らず他にも名曲はたくさん存在しています。
もし興味を持っていただけたなら、ベストアルバムでもいいのでお手に取ってみてはいかがでしょうか?
【ご紹介】同じくアルバム『スポーツ』に収録された『シーズンサヨナラ』の解説
今回解説した『生きる』と同じく『スポーツ』に収録されている『シーズンサヨナラ』という曲。
この曲は、別れ際の男女のアレコレが描かれており、曲調としても聴きやすいポップな雰囲気です。
どのような世界観か、ちょっと覗いて見てはいかがでしょうか?
東京事変【シーズンサヨナラ】歌詞の意味を解説!「もう結構」すがらずに別れる…いさぎよさがカッコイイ! - 音楽メディアOTOKAKE(オトカケ)
東京事変4枚目のアルバムに収録されている『シーズンサヨナラ』。ギターの浮雲さんが作詞作曲を手掛けたこの曲について、歌詞の解説をしてみようと思います!別れ際の男女のやりとりが見事に描写されていますよ!
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