2015年8月19日にリリースされたオリジナルアルバム『What are you looking for』の8曲目に収録されている楽曲です。
このアルバム、自身6枚目のモノなのですが、約4年ぶりとなった作品です。
収められている楽曲は、自身の手によるものほか、YO-KING(真心ブラザーズ)、池田貴史(レキシ)、堀込泰行(ex. キリンジ)、辻村豪文(キセル)、大宮エリーら、
ほかのアーティストが作詞や作曲を手がけたナンバーを収録しています。これがオリジナルにこだわらない、ハナレグミの新たな一面を伝える魅力的な1枚に仕上がっているのです。
ハナレグミ×野田洋次郎
方向転換
永積は2011年9月にリリースしたアルバム『オアシス』を作り終えた頃から、ソングライターというよりはシンガーとしても活動していきたいと思うようになったようです。
自作の歌の披露ではなく、楽曲の提供後、歌のみで勝負するという感じかな。また、『オアシス』レコーディング中に東日本大震災を経験したことも彼の音楽に対するベクトルを変えたようです。
大震災以前の自身の作品に対し、何をわかってるつもりでこんなこと書いたんだろうと苦悩、恐怖し、長い間悩みの中にいたこの数年で、歌を歌うことの意味を探していたとも語っています。
その後、2013年5月にはカバーアルバム『だれそかれそ』をリリースします。 これが『おあいこ』ができる伏線となるのです・・・・・・。
『おあいこ』誕生の道のり
『だれそかれそ』をリリースした後、ハナレグミのライブを聞きに来た野田洋次郎と出会い、飲み友達からスタートします。人との出会いって不思議ですね。
さらに永積は野田がCharaに書いた楽曲『ラブラドール』を聞いて自分の中の血が騒ぐのを感じ、その世界を手にしてみたいという思いから、野田に曲を作ってくれるよう懇願(こんがん)します。
そこで作った曲が『おあいこ』。
野田はいつも永積が誰かのために常に歌を歌っている姿を知っていたので、ここでひとつ、誰かのためじゃなく自分のために歌ってもらおうと、曲を作り上げたといいます。
野田の永積に対するオーダーは、「目の前の人に甘えるみたいに歌ってほしい」でした。永積自身、『おあいこ』の歌詞は自分では書かない、今まで言えなかった言葉だったかもしれません。
野田が勝手に書いただけとはいえ、シンガーに作詞家や作曲家がオーダーを付けるとおり、歌い方も野田はシンガーにオーダーを出したのでしょう。
MVと歌詞をチェック
というわけで、気になる『おあいこ』を見ていきましょう!
動画に出演していたのは清水富美加!・・・・・・というか法名・千眼美子さんでいらっしゃるではありませんか!びっくりしちゃいました。
抱きしめるふりして 抱きしめてもらってた
愛するふりして 愛してもらってた
僕がそう伝えると 君も同じだと言った
おあいこだよなんて 君は僕にそう言った
ずるい ずるい ずるい
ずるい ずるい ずるい
僕はずるい ずるいよ
あおいこなんかじゃないよ
だって僕は知ってたから
おあいこだよって君が言って
笑ってくれること
君が望むよりも 僕はバカじゃないよ
君が思うよりも 君は全然賢くもないの
出典: おあいこ/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
君は知らなかったろう? 僕を知らなかったろう?
知ったフリでいたんだろう それが許せなかったの
ねぇ 笑わないでよ そんな顔で笑わないでよ
全部わかったようにさ 真昼の月のようにさ
僕の明日を君の眼に透かせば
大丈夫になるの
「君の番でも そんな顔じゃきっと奇跡も 素通りしちゃうよ」
君が言うとさ 本当になるから やめてよ
抱きしめるふりして 抱きしめてもらってた
愛するふりして 全部全部もらってた
出典: おあいこ/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
歌詞の意味は?
恋の終わりを告げている歌、すでに気持ちがすれ違っている男女を歌っています。少なくとも男は、女にもう自分に対する愛情がないことを、早い段階で悟っていたようです。
女はどうか。男の別れの言葉を、予定調和のようにさらりとかわします。
「おあいこ」と言っているけれど、ホントは「お互いさま」と言い放ちたいのかも知れません。あなたとわたしはお互いさま、愛しているふりをしていたのだと、悲しむことなくさらりと言ってのけるのです。
なんだかとても冷めた関係ですね・・・・・・別れる時なんてそんなものなのかもしれません。
恋愛関係にあるとき、人は相手も自分のことを愛しているものだと錯覚しがちなのかも。本当のところ、相手の気持ちはわかりません。むしろ相手の気持ちなど、考えもしないものなのかも知れません。
『おあいこ』の中で男は女を責めるでもなく、ただ淡々と愛しているふりをしていたことを語るのですが、これは女から男に対しても、同じように語るだけかも知れません。
あなただって、そうだったでしょ?おあいこよね、と。「いやだ!別れたくない!」なんて、別れを認めたくなくて泣きわめいたり、追いすがったりしないのです。現代人は別れもかっこいい。
とてもスマートですけれど、そんなものなのかな?恋愛って。クールに別れを切り出し、別れを受け入れるという点で、この楽曲が「失恋ソングの新定番」と言われるのかもしれませんね。