槇原敬之さんが2001年にリリースした23枚目のシングル「桃」。

シンプルなタイトルです。

しかし、自己中心的な考えの自分と、自分に愛情を向けてくれる相手に対しての深い想いを歌った曲です。

このタイトルとなっている「桃」。

槇原さんが一番好きな果物だったことからこのようなタイトルがつけられました。

特に深い意味はないようです。

しかし、よく歌詞を見てみると「桃」だからこそ解釈ができるような歌詞があります。

それでは、そんな「桃」の歌詞について解説していきましょう。

自己中心

自分の愛情

抱きしめたいと言う言葉の
意味とは裏腹に
不安や寂しさを君に
押しつけようとしてたんだ
ここに来る途中に君の
好きな桃を選びながら
救われることしか頭に
なかった最低な僕

出典: 桃/作詞:槇原敬之 作曲:槇原敬之

この歌詞から、自分が間違った愛情を相手に対して注いでいることがわかります。

とても自分中心な考えをしていることが伝わってくるのではないでしょうか。

1行目に「抱きしめたい」という歌詞が出てきますが、その言葉も自己中心的な考えのもの。

自分のネガティブな感情を、抱きしめることで無くしたかっただけなのです。

相手がいることで安心したいだけなのかもしれません。

そして「君」というのはおそらく彼女のことでしょう。

先ほど槇原さん自身が好きな果物が桃であるため、このタイトルがついたと説明しました。

しかし曲中では彼女が桃を好きだと言っています。

この言葉におそらく嘘はないでしょう。

彼女のために桃を買いますが、そんな行動すらも自分のネガティブさを感じさせるようです。

彼女が欲しいものを買っていくことで、自分が相手のことを考えていることを彼女にアピールする。

そんなことを考える自分中心な自分にまた落胆してしまうのです。

自己中心的な自分はこれからどのように気持ちが変化していくのでしょうか。

自分と彼女

君のようになりたいはずなのに
駆け引きのない気持ちを
いつもくれる 君のように

出典: 桃/作詞:槇原敬之 作曲:槇原敬之

この歌詞から彼女は自分にストレートな愛情を注いでくれていることが伝わります。

何かの不安を埋めるために一緒にいるのではなく、好きだから自分と一緒にいる彼女。

そんな彼女のように、自分も彼女に愛情を注ぎたいと思っています。

しかし、そのようになれない自分にモヤモヤしていたのです。

徐々に彼女が自分を愛してくれている様子と、自分が彼女を愛している様子。

そこにギャップがあることに気がつき始めるのです。

今の自分に気がつく

何もしない自分

高い場所に実を付けた
桃に手が届くように
君を抱き上げることさえ
思いつきもしなかった
高い場所に実を付けた
桃に手が届かない君に
気付かないような僕の手は
柔らかいものを潰してしまう

出典: 桃/作詞:槇原敬之 作曲:槇原敬之

歌詞の2行目にはまたタイトルとなっている「桃」が登場します。

桃は木の高い位置になっている桃が一番熟しているとされています。

桃を収穫する時には脚立が必要になるほど、高い位置に実がなっているのです。

さらに熟した桃はとてもやわらかく、優しく持たないと潰れてしまうことが特徴。

そんな桃の基本情報を踏まえた上で歌詞を見ていきましょう。

桃を収穫するために手を伸ばす彼女。

しかし一人で採れるわけがありません。

そんな彼女に手を差し伸べることすらしない自分。

とても彼女に対して無関心であることが伝わってきます。

二人で何かを乗り越えたり、達成していくという発想がないのでしょう。

彼女がいることはもはや当たり前のように思っているのかもしれません。

そして歌詞の7行目。

彼女が収穫しようと手を必死に伸ばしている姿に気がつかない自分。

いかに彼女のことを意識的に大切に思っていないかが伝わってきてしまいます。

そして8行目には柔らかい熟した桃を潰したという描写があります。

ここにはただ桃を潰してしまうという意味もあるかもしれませんが、もう1つ意味が込められているのです。

それは、彼女との愛情を簡単に潰してしまうということ。

自分の手で、壊れやすい彼女との関係性を簡単に壊してしまう可能性があるのです。

彼女は必死に桃を採ろうとしているのに、自分は何もしない。

そんな自分の姿を見た彼女は落胆してしまうかもしれません。

自分が原因で愛情が崩れてしまうこと、そのことに自分は気がつくのです。

彼女の言葉

駄目なところをたくさん
僕の中に見つけても
どうして嫌わないで
一緒にいるのと聞いた時
そんなことで変わるような
気持ちしかない人に
好きと言われるのは自分も
いやだからと答えた

出典: 桃/作詞:槇原敬之 作曲:槇原敬之