back numberのインディーズデビューアルバムに収められた1曲

色褪せない名盤『逃した魚』

back number【KNOCK】歌詞を考察!このカップルはどんな状況?なぜ僕も君も“弱い”の?の画像

2004年に結成し、2011年にメジャーデビューを果たしたback number

どこか憎めず気弱な主人公が好きな人に想いを馳せる独特の世界観で確実にファンを獲得していきました。

イケメンで前向きで力強い男性像とは真逆の、ある意味弱くネガティブな男性像

それをポジティブでコミカルに描いた世界観は、最近の恋愛観に呼応する形で浸透したのでしょう。

 

そんなback numberがメジャーデビュー前、インディーズデビューを果たした作品。

それが2009年にリリースしたインディーズデビュー1stミニアルバム『逃した魚』です。

結成当時から紆余曲折を経て積み重ねてきたback numberの世界観が詰まった1枚になっています。

近年のback numberが得意とする恋愛観はそのままに、荒削りであれど素直な言葉と音楽性。

バンドとしての原型を感じることができるアルバムです。

インディーズとは思えない完成度と、確立された世界観は見事なもの。

様々な努力や挫折があったことは想像に難くありませんが、出るべくして世に出てきたバンドだと思えます。

今回は、そんなback numberの魅力がギッシリ詰まったミニアルバムから『KNOCK』をご紹介

『KNOCK』の世界観

インディーズデビューアルバム『逃した魚』の6曲目に収録された1曲。

それが今回ご紹介する『KNOCK』です。

全7曲収録されたアルバムにおいて、ラストで締めくくりを飾る『西藤公園』の1曲前。

曲順的にアルバムのラストを盛り上げるための重要な位置に収録された『KNOCK』とはどんな曲でしょうか。

 

back numberが得意とするミディアムテンポの歩くようなスピード感で紡がれる、とあるカップルの物語。

幸せいっぱい!といった様子ではない、どこか距離感のある男女の関係性が描かれています。

この曲で言いたいこと。

それは「素直になることの大切さ」です。

素直に感情を伝え合うことが苦手なふたりが誰よりも近くで誰よりも遠いお互いの存在を求め合います。

ふたりの間にある距離感の正体とは一体なんなのか。

そんな切ない歌詞の物語の世界にご案内いたします。

流せない涙の理由

遠ざかる距離

夜の風が窓をたたく 君はうつむいている
涙流せない二人を言葉が遠ざけてゆく

出典: KNOCK/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏 

夜、ふたりが室内で一緒にいる様子が描写されています。

この時点でまず、ふたりが親密であることがわかるわけですが問題を抱えているようです。

その理由は下記のキーワードです。

  • うつむく君
  • 流せない涙

これらを背景に、ふたりの距離が「言葉を理由に」遠ざかっている様子が伺えます。

いったい何を言ったのか。どのような言葉だったのか。

このふたりに何があったのでしょうか。

思い込み

ただなんとなく君だけはここにいてくれるような
理由もない思い込みが窓の外で ゆらり

出典: KNOCK/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏 

冒頭の歌詞で、ふたりの距離が「言葉」によって遠ざかっていく様子が描かれました。

どちらから、どのような言葉をかけたのかは明示されていません。

しかし、上記の歌詞の部分でその内容というか、背景のようなものを感じることができます。

そのキーワードが下記の部分。

  • なんとなく
  • 思い込み

このふたつのキーワードから、言葉を発したのはどちらともなく、といったところだと推測できます。

しかもその内容は的を得たものではなく、互いの思い込みから発せられているのでしょう。

そして「窓の外」という表現から、その言葉すらも本音ではないことが伺えます。

 

そんな相手の言葉に「いや、そうじゃない」と思う部分があることで「わかってくれない」と感じる。

だからとて、それを面と向かって否定することもしていないようです。

こういった行動によって、ふたりの間の見えない溝が深くなっていきます。

求め合っても埋まらない溝

互いを求める気持ちに嘘はない

泣きたいのに泣けないのは
たぶん誰のせいでもなくて
弱い僕と弱い君が精一杯想ってるだけ
君の顔が見えないのは
ずっと抱きしめているからだろう
そんな事に気付けぬまま
必死に目をこらすんだけど

出典: KNOCK/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏