「リスキーゲーム」に参戦しよう

タテノリビートでパンキッシュ

Mrs. GREEN APPLE【リスキーゲーム】歌詞徹底解説!隣の芝生は青い?上手く生きるコツとはの画像

2015年7月8日発表、Mrs. GREEN APPLEのメジャー・デビュー・アルバムVariety」。

このアルバムに収録された「リスキーゲーム」について解説いたします。

タテノリビートでパンキッシュなギター・カッティングが気持ちいい楽曲です。

一方で歌詞は皮肉が効いた作風になっています。

他人の生活をうらやんでしまう私たちの人生を描いているのです。

大森元貴はリスナーの賛同を得るために歌詞を書くタイプのアーティストではありません。

彼はリスナーに自身の確固とした見解を叩きつけて新たな驚きを感じさせます。

リスナーの認識に新しい光を灯すような歌詞を書くことを好んでいるのです。

「リスキーゲーム」もまたそうした作風に連なるものでしょう。

他人の生活が気になって仕方がない私たちの暮らし向きを皮肉が効いた書き方で描くのです。

気になる「リスキーゲーム」の歌詞を丁寧に紐解いて解説いたします。

それでは実際の歌詞を見ていきましょう。

「勝ち組」「負け組」格差社会

日本社会の現状です

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人生はリスキーゲーム 寝転がりおかえり
勝ち負けではない でもこだわるの

アイデアに負けそうなのね
ならね 着飾って

出典: リスキーゲーム/作詞:大森元貴 作曲:大森元貴

歌い出しの歌詞です。

早々にタイトルである「リスキーゲーム」というワードが登場します。

私たちは自分なりの人生を歩んでゆくことしかできません。

自信を持って前へ進んでいけばいいだけなのですが、視線を他人に寄せてしまいます。

人生の評価に対する本質はいかに自分なりの人生を生き続けたかということでしょう。

そこにこだわり続けるのならば、人生に勝ちも負けもないはずです。

しかし私たちは人生を「勝ち組」「負け組」に分けて考えてしまいます。

「勝ち組」は「負け組」を見下しているのではないか。

「負け組」は「勝ち組」をうらやんでいるのではないでしょうか。

様々な個性を大事にしていきたいものの、やはり人生の勝ち負けにこだわる価値観が大手を振るっています。

大森元貴は日本社会のこうしたダメダメな側面を指摘して歌詞を書くことが多いです。

決して何か大きなことを啓蒙している訳ではないのですが、彼の歌詞にはハッとさせられます。

大森元貴のリスナーを刺す歌詞

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物事の本質を考える思考では負けてしまう。

そんなときは表面だけ着飾ればよいと歌います。

大森元貴の「リスキーゲーム」の歌詞には皮肉がいっぱいです。

本心からそう願っているほど彼は捻じくれていません。

むしろ当たり前のことに気付いて欲しいために皮肉な物言いを用いるのです。

表層だけは大事にする社会

この社会で生きてくには「リスキーゲーム」を楽しむようにすればいいのでは。

そう提案するのですが、本人自身がそれは違うよと感じている。

リスナーを突き刺すような歌詞を書くことが大森元貴の稀少な個性です。

リスクを冒し続ける社会

Mrs. GREEN APPLEとスキゾ分析

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リスキーゲームで遊んでいようよ
もう散る命の輪でほらまた明日
嘘つきポーズで嘆いていようよ
目の前の明日って未来だけ その日暮らしだから

出典: リスキーゲーム/作詞:大森元貴 作曲:大森元貴

「リスキーゲーム」とは資本主義社会の原理的な在り方かもしれません

投資などのリスクを負う市場の動向に一喜一憂する社会です。

投資という行為が本来の経済成長のためという意味を失ってゲーム化します。

こうした何でもゲーム化する社会の中で、ついに人生までもが「リスキーゲーム」に成り代わるのです。

産まれて生きて死ぬ、その大切なプロセスまでもがゲーム化してしまってはいないか。

大森元貴はそこに批判的な視線を向けるのですが、一方でノリのいい楽曲に仕上げました。

その「リスキーゲーム」で遊んでしまおうとまで呼びかけます。

そこでは生命ですらゲームのアイテムです。

嘆く姿ですら偽りだと喝破します。

それでも嘆くことをやめずにいようよと歌うのです。

大森元貴の書く歌詞にはスキゾ分析のような精神分析学から派生した批評が必要に感じます。

分裂した思考を取りまとめて、さて何が本当にいいたいことなのかを見極めて上げる必要があるのです。

楽曲のノリのよさで気付かなくなってしまうのですが、非常に深い洞察力で書かれた歌詞でしょう。

私たちの刹那的な生き方をよく指摘します。

その日暮らしというワードは多くの人の人生を表現するものです。

もっと深い思慮に基づいた人生の方が生きている価値がありそうなもの。

しかし現実にはその日暮らしの人の割合が多いのが日本社会の現状でしょう。

為政者や資本が作った箱庭

リアリストである大森元貴

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