ねえ 最終列車に乗って 大きな夢だけ抱えて
あたしを忘れてしまうの さよなら さよなら
星が舞う街に旅立つ あなたの未来を祈るよ
大好きなその瞳に輝け きらきら きらきら
出典: KIRA★KIRA★TRAIN/作詞:水野良樹 作曲:水野良樹
いよいよ別れが迫ったところで彼女の想いが溢れ出します。
ここに自分よりも夢を選んだ彼をちょっとだけ責める気持ちが表れているのです。
彼の夢が叶うように願うだけでなく、自分の想いを断ち切ろうとしているのではないでしょうか。
彼女の瞳は別れを悲しむ涙をためていたのかもしれません。
だけど上の歌詞の最後の行から読み取れるのは彼へのエールです。
彼女が彼の瞳に見たかったのは“きらきら”と輝く希望の光だったのです。
彼女が抱いた悲しみや彼を思う気持ち、女の子の揺れる思いが見事に表現された歌詞だなと思いますね。
そして遠く離れていくふたり
最終列車は動き出し、別々の人生が始まる
離れていくふたりを 時が追い越していく
その駅の向こう側に 続いていく”ひとりきり”を歩いていく
最終列車に乗って 僕らは何かを失くして
わずかな勇気を手にした さよなら さよなら
出典: KIRA★KIRA★TRAIN/作詞:水野良樹 作曲:水野良樹
ふたりはそれぞれの想いを抱えて、すぐに気持ちを切り替えることはできないでしょう。
だけど時間はふたりを待ってはくれません。
悲しい気持ちがすぐに消えることはありませんが、「時」は何事もなかったかのように流れていくのです。
駅の先には彼の夢が待っているはずの東京へと線路が続きます。
その線路を走る列車に乗った彼も、ホームに残った彼女もひとりきり。
上の2行目の歌詞は、彼女と別れて夢を追う彼の決心を表しているように思えます。
夢を追う事と引き換えに彼女を失くした彼は、心の中でさよならをつぶやくのです。
残された彼女はひとりで生きていくために必要なものを手にすることができたのでしょうか。
最終列車に乗って 右手に切符を握って
僕らは明日を行きていく さよなら さよなら
繰り返し手を振る先に 確かな言葉を伝うよ
大好きなその瞳に光るよ きらきら きらきら
出典: KIRA★KIRA★TRAIN/作詞:水野良樹 作曲:水野良樹
彼が最終列車に乗ったことで故郷でのふたりの生活は終わり、別々の人生が始まります。
彼が列車の中で握りしめた切符は彼女との別れの印で、大切な思い出となるでしょう。
そして未来への小さな希望でもあるのです。
転調する最後のサビのメロディーの中で繰り返す“さよなら”と“きらきら”という言葉。
なんだか切なく響いて素敵なエンディングですね。
列車が別れの歌にふさわしい理由とは?
ゆっくり動き出す列車に胸がキュンとなる
ところで昔から別れのシーンを描いた名曲にはよく駅のホームや列車が登場します。
何故かというと、遠くへ旅立つには鉄道が一般的だったからですね。
だけどプシュッとドアが閉まってあっという間に加速していく新幹線は、速くて便利だけど趣に欠けています。
ゆっくりと動き出して余韻を残す列車のほうが悲しい別れにふさわしいのです。
「なごり雪」にも登場する汽車と雪
イルカが歌って大ヒットした「なごり雪」は、「神田川」などで知られるフォークグループ・かぐや姫のメンバー”正やん”こと伊勢正三の作品です。
この曲の季節は早春で、汽車に乗って東京から去っていく彼女を見送る彼が主人公となっています。
「KIRA★KIRA★TRAIN」も季節は冬の終わりで、歌の最初に雪が登場しますね。
「なごり雪」の彼女は汽車の窓の向こうで何かを言おうとします。
だけど悲しくてそれを見ることができない彼は、ホームで雪を見ながら彼女を思うという切ない歌です。
別れと旅立ちの季節でもある早春を舞台にしたところも共通していますね。
この曲の歌詞について詳しく書かれた記事があるので、ご紹介しておきます。
イルカ「なごり雪」ってどんな雪?!伊勢正三が手がけた永遠の名曲!歌詞の意味を紐解いてみた! - 音楽メディアOTOKAKE(オトカケ)
1970年代の曲でありながら、いまだ多くの歌手に歌い継がれている名曲「なごり雪」。実は、イルカさんが歌っているのもカバー曲だった、って知ってましたか?名曲にまつわるエピソードを添えて、歌詞の意味を紐解きます。
大切な人を乗せてゆっくりと動き出した列車が、だんだんと遠ざかって行く。
線路は遠く目的地まで繋がっているけれど、ふたりの距離はどんどん離れていく。
別れを描いた歌に昔からよく汽車や列車が登場していた理由が、なんとなくお分かりいただけたでしょうか。
ゆっくりと離れていく、ここが肝心なのです。